リーダーシップ×フォロワーシップのデュアル教育の薦め【HRサミット2014】

2014.07.7

リーダーシップをリーダー昇進前から鍛える唯一の方法
~リーダーシップ×フォロワーシップのデュアル教育の薦め~

 

2014年6月6日、HRサミット2014にて、弊社代表が講演いたしました。その講演内容をご紹介いたします。

多くの人がリーダーに登用されてから失敗をするのはなぜでしょうか? それはリーダーになってから教育を受けるからです。リーダー教育はリーダー昇進前に始めるべきなのです。昇進前に行うフォロワーシップ強化教育によって上位者の視点を身につけさせ、「自分がリーダーであれば○○する」という当事者意識を持たせることが重要なのです。同時に上位者に対しては、部下のフォロワーシップを引き出すリーダーシップ教育を施すべきです。本セミナーでは「リーダーシップ×フォロワーシップ」デュアル教育による相乗効果についてご紹介します。

リーダーシップとフォロワーシップの定義と相乗効果

今日お話ししたいのは、リーダーシップとフォロワーシップの相乗効果によってチームワークが生まれ、効果的に機能するということです。ともすれば組織開発ではリーダーシップが強調されがちですが、鍵を握っているのはフォロワーシップであり、両者が噛み合って生み出される相乗効果が重要です。

では、リーダーシップとフォロワーシップを定義していきましょう。
リーダーシップの役割は模範となること、フォロワーシップの役割は補佐すること。模範はリスペクトという意味を含み、尊敬される上司はそうでない上司の1.3倍の成果を上げると言われます。
そしてリーダーシップはビジョンを示し(方向)、決定します(焦点)。フォロワーシップはビジョンを翻訳して具体化し、リーダーの決定を健全に批判して提言します。人に影響を与えるのはリーダーシップであり、貢献するのはフォロワーシップです。その結果、リーダーシップは責任を負い、フォロワーシップは当事者になるのです。

そしてリーダーシップとフォロワーシップの相乗効果によってチームワークが生まれます。

マネジャー候補者に「フォロワーシップ&コーチング研修」を実施

わたしたちがフォロワーシップに着目したのは4年ほど前です。きっかけは大手企業人材開発マネジャーからの相談でした。人材開発マネジャーは「人材をマネジャーに登用しても、それまでのプレイング状態から抜け出ることができない。
そこで昇進前からチームをまとめるリーダーシップを開発したい。だが、その段階でマネジャー候補者には明確な役割が与えられていない。どうすればいいのか?」という悩みでした。そこでわたしたちは人材開発マネジャーと話し合い、次のように提言しました。

大きな問題は「マネジャー候補者には明確な役割が与えられていない」ことですが、その点について、人事としては設定を行わず、マネジャーとマネジャー候補者の個別事情と判断に任せることにしました。
その上で次の施策を実行しました。プレイング状態から抜け出していない現職マネジャーには「エンパワーメント研修」を実施してリーダーシップを身につけてもらい、マネジャー候補者には「フォロワーシップ&コーチング研修」を実施したのです。

フォロワーシップ開発には3つのメリットがあります、まず①プレ・リーダーシップ訓練 (キャリア開発)によって補佐役として提言することを学びます。次に②モデルとしての自覚向上によって上司から育てられることを学びます。そして③チームワークが健全に機能するようになるのです。

だれしも経験する「マネジャー登用後の壁」を事前に克服

だれもが管理職になる時にぶつかる「マネジャー登用後の壁」があります。リ・カレントでは5月、6月に新任マネジャーにインタビューを行いますが、いずれの新任マネジャーも以下の壁を上げます。①優先順位、②目標・方針、③コミュニケーション、④人材の評価・育成、⑤トラブルシューティング、⑥ワークライフバランスです。

部下だったときには、上司が優先順位や目標・方針を決めてくれました。コミュニケーションも上司や同僚で良かったのですが、課長になると部下とのコミュニケーションはもちろん部長や他部署の長との調整が必要になります。人材の評価・育成もマネジャーの責任、トラブルも最終的には自分の責任、そして繁忙期には猛烈に忙しくワークライフバランスどころではありません。

フォロワーシップ研修によってこのような「マネジャー登用後の壁」を知ることができます。そしてマネジャーに任用されたときの戸惑いが解消されるのです。

リーダーシップ開発は「経験70%、薫陶20%、研修10%」

さてリーダーシップ開発に影響を与えたことについて、神戸大学の金井壽宏教授が興味深い説を提出しておられます。金井説では「経験70%、薫陶20%、研修10%」というのです。わたしは本で読んでいましたが、昨年に先生の講演を聞きました。そのセミナーには多くの研修ベンダーが集まったのですが、その席で研修の効果が10%しかないと金井先生は話されたのです。

プロジェクトをまとめるなどの経験が70%、上司などの尊敬できる先輩からの薫陶が20%であるのに対し、10%はいかにも少ない印象です。

ところが金井先生は「研修は10%」とした上で「研修の影響は大きい」と言われました。なぜなら一年に働く日数は220-240日。10%とすれば22日-24日です。ところが研修を受ける日数は2日-3日に過ぎません。研修の影響・効果はとても大きいというわけです。

多様な人事課題を解くフォロワーシップ

フォロワーシップはさまざまな人材開発において有効であり、必要です。たとえばマネジャー昇進意欲を見ると、「マネジャー(管理職)になりたくない」という人がかなり多いのです。リクルートマネジメントソリューションズの調査によれば、入社年次が98~02年の社員の46.8%が「マネジャー(管理職)になりたくない」と回答しています。年齢的に40歳前の30代であり、46.8%のうちの22.1%は「現在の会社ではマネジャー(管理職)になりたくない」と答えています。こういう社員に対し、フォロワーシップは有効です。

また現在の企業の人員構成はつりがね型になっており、その内部でダイバーシティが進んで多様な社員が多様な人事課題を生み出しています。①中高年社員の再活性化、②プレイングマネジャーの部下育成力強化、③バブルミドルの再配置・活用、④放置された中堅層の強化、⑤女性活躍推進と多様な人事課題を持っています。これらの課題に対してもフォロワーシップは有効です。

バブルミドルとは43~48歳。わたしも47歳で、この世代に属しますが、長い経験年数を持つので放置するのはもったいないと思います。またゆとり世代の早期自立、人材組織の多様性開発でもフォロワーシップという視点は有効です。

関係の質が良いチームは2倍の成果を上げる

さて企業は社員に役割を期待し、社員が役割を遂行することで組織を成長させようとしています。しかし「どんな役割?」「どんな組織?」が明確であることは少ないはずです。また社員教育体系の「一貫性」「軸」もあまり無いはずです。

リ・カレントの人材組織開発は、リーダーシップ×フォロワーシップのデュアル(両軸)教育が特徴です。研修の方法は業種・企業によって異なりますが、新人若手にはメンバーシップを教えて自律的に成果を上げ、組織に貢献するマインドセットを整えます。
中堅には、周囲を巻き込む成果創出のためのマインド・スキル開発と、チーム貢献力を高めるためのフォロワーシップ開発を行います。
管理職には、部下が自らフォロワーシップを発揮する組織力の高い チームを作るためのリーダーシップ開発を行います。

研修は3時間~2日間のプログラムに沿い、ゲームを織り交ぜて体感的に学習していきます。IT系や技術系ではスキルフルな内容が喜ばれます。
そしてリーダーシップ×フォロワーシップのデュアル教育によってチームワークが生まれます。チームワークは企業業績を左右します。結果の質は行動の質が決めます。行動の質を決めるのは頭脳の質であり、頭脳の質はチームワークと関係します。そして関係の質がいいチームは、関係の質が劣るチームの2倍の成果を上げると言われています。

「フォロワーシップ診断」を持っているのはリ・カレントだけ

リーダーは人を引っ張って目的地に連れて行き、フォロワーはリーダーの指示に従う従属者と思っている人がいますが、間違いです。フォロワーシップとは、組織内で部下が上司やメンバーに及ぼす影響力を意味しています。

フォロワーは4つ大別できます。縦軸に批判力の高低、横軸に貢献力の高低を置いて4象限を作ります。「批判力」低・「貢献力」低の左下の象限は、行動する意識が希薄な「逃避者」です。「批判力」高・「貢献力」低の左上の象限は、批判力に偏っている「破壊者」です。「批判力」低・「貢献力」高の右下の象限は、批判せず貢献のみの「従属者」です。そして「批判力」と「貢献力」がともに高い右上の象限が「協働者」です。日本語の「批判」には否定的なニュアンスがありますが、フォロワーシップの批判はもっと前向きなニュアンスを持ち、「提言」のような意味です。

リ・カレントでは研修を実行する前にこの「フォロワーシップ診断」を行います。そして受講者のタイプに合わせて研修を進めます。この「フォロワーシップ診断」を持っているのはリ・カレントだけです。

上司から信頼されるフォロワーシップ5つのステップ

最後に「フォロワーシップ5つのステップ」についてお話ししましょう。

まずステップ0「上司との関係性を知る」ことが重要です。上位者との関係性がプラスになっていないとフォロワーシップも発揮しにくいのです。マトリクスを見ますと、一番理想的な関係性は「協働者」になることです。まずい関係性は「破壊者」「逃避者」「従属者」になってしまうことです。

「1. 上司の仕事・役割を知る」はリーダーが担わなければならない、多くの役割と責任を理解することです。この理解があれば、自分自身がリーダーになるときの覚悟になります。

「2. 上司のニーズを知る」は上司を掘り下げて理解することです。部下の間はほめてもらえますが、上司の地位になると放置され、ほめる人はいなくなります。しかし上司だってほめられたいのです。また早く家に帰って休日には子どもと遊びたいでしょう。そういう上司のニーズを知ってコミュニケーションを取れば、円滑な意思疎通ができるでしょう。

「3. 上司と報・連・相を自らとる」は、より高度な報・連・相を指します。入社したての頃は5W1Hを教えられます。Who(誰が)What(何を)When(いつ)Where(どこで)Why(なぜ)How(どのように)したのか?
しかし中堅になってからは、もっと高度なQCDRSで報・連・相をやらなくてはなりません。Q(Quality:品質)C(Cost:費用)D(Delivery:納期)R(Risk:リスク)S(Sales:セールス)です。
品質は相手が満足する水準以上であるか? 時間・人件費等も含め、より低コストであるか? 納期は確実に守れているか? リスクを把握し予防できているか? 売上や契約高等の向上や仕事の価値を拡大できるか? このQCDRSは、上司への報・連・相の基本です。

上司と自分の得手不得手による行動パターンと、上司への提案のコツ

「4. 上司の不足、不得手を補佐する」は、上司と自分の得手不得手を踏まえて行動することです。上司も自分も得手な場合の基本は「立てる」です。おだてるのではなく、花を持たせ、ほめるのです。ほめられた上司は悪い気はしません。
上司は不得手だが、自分が得手の場合の基本は「攻める」です。上司を積極的に補佐してください。
自分は不得手だが上司は得手の場合の基本は「守る」です。上司から指摘されないレベルまでスキルを高めておき、いざという時のために相談先を確保しておくことが必要です。
上司も自分も不得手の場合の基本は「防ぐ」です。部署内でなんとかしようとせずに“外注先”を確保しておくことが肝要になります。

「5. 上司に提言・提案する」は意思決定に上司を巻き込むために行います。提案を通しやすくするコツは、いくつかのプランを提示し、クオリティ、コスト、リスクなどのQCDRSに基づく判断基準を入れるといいでしょう。上司は「自分が選んだ」という意識を持ち、そのプランの実行に協力的になるでしょう。スケジュールを入れておくことも重要なコツです。スケジュールがあるプランは「Go」が出やすいのです。

メンバーのフォロワーシップを引き出すリーダーシップ

マネジャー対象のリーダーシップとしては、チームマネジメントのコアと4つのドライバーの開発を通じて
1.メンバーをチームに参画させることによってメンバーのフォロワーシップを引き出すことと、
2.メンバー間の相互貢献作用を促進することを目的としたチームづくりを支援しています。
【チームマネジメントのコアと4つのドライバー】
コア■自己動機づけ:リーダーシップの源を探る
4つのドライバー■1.目的 2.参画 3.協働 4.学習

ここに「裸の男とリーダーシップ」という有名な映像があります。米国のある野外コンサート会場で、ある男がトランクス一丁で狂ったように踊り始めるのです。傍から見ていると、とってもおバカです。例えばこのように私が七色のかつらをかぶると(写真のように)、皆さんは「バカじゃないの?」と思いますよね?

時にリーダーは、バカにならなければいけない時もあります。そんな時、チームのNo.2やNo.3のフォロワーがしらけていたらチームは盛り上がりませんよね?この映像では、リーダーのおバカな踊りを真似するNo.2やNo.3のフォロワーが出現します。彼らが手招きをして他の人たちを巻き込むことで徐々に踊りの輪が拡がって、最後には200名くらいの人々が踊りだす状態が起こるのです。何が言いたいか、チームの状態はリーダーシップだけではなく、フォロワーシップの影響が大きいということです。

真面目な話に戻します。
1.メンバーをチームに参画させることでメンバーのフォロワーシップを引き出す
メンバーをチームに参画させる上で、重要な要素があります。
「仕事のデザイン(タスクアサインという表現をする組織もあります)」は多くの組織で行われています。しかし、それだけではメンバーの参画を促すことはできません。役割のデザインという考え方が決定的に抜けているのです。チームにおけるメンバーの組織貢献に関する役割を、リーダーがデザインし、メンバーで共有するという考え方です。

2.メンバー間の相互貢献作用を促進すること
これは、業務支援、精神的支援、内省支援という3つの関わりを、自分ができることと、メンバー同士をどう結び付けて実行するかということを、実際の自分のチームに関して考えていきます。自分自身のリーダーシップが、部下のフォロワーシップをどのように引き出せば良いのかということを学習します。

「名プレイヤー、名リーダーならず。名フォロワーこそが名リーダーである」

ここまで、リーダーシップとフォロワーシップのデュアル教育と題してお話をしてまいりました。
「名プレイヤー、必ずしも名監督ならず」とはよく言われますが、これをあてはめますと「名プレイヤー、名リーダーならず」です。でも、名フォロワーとなれば、必ず名リーダーになります。必ずしもリーダーシップにはカリスマ性は必要ありません。デザインされた役割を実直に行い、リーダーになる前から事前シミュレーションして学習していけば、必ず名リーダーになります。
各階層で行うリーダーシップ×フォロワーシップのDUALと、各層におけるリーダーシップとフォロワーシップの両方を学ぶDUAL、ぜひ一緒に推進していこうではありませんか。そして、ぜひ、このフォロワーシップ開発というプレ・リーダーシップ訓練を軸に、リーダーに登用されたときにはすでに多くの学習ができて、すぐにリーダーとしてスタートできる、新任マネージャーとして悩んだり、それまでメンバーとして培ってきた力をすぐにリーダーとしての発揮できる、という状態を作り出せる、そういった世界をぜひ実現できればと、思っております。

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