2017.07.19

セミナーレポート・ヒューマンキャピタル2017「いまどき若手のナゾを解く5つのメンタリティ×育成3つのアプローチ」 Part.2

何を考えているのか分からない「クローズドマインド」メンタリティ

そして、3つ目は「クローズドマインド」メンタリティです。これはオープンマインドの反対で造語としてつけているのですが、周り、特に先輩、上司など、違う世代から見ると思考とか感情が表に出にくいので、何を考えているのか分からないということが起きます。彼らの立場からすると、自分自身の思考・感情を表現する、もしくは態度に出すという習慣がないんですね。みなさん、よく研修なんかで前に立たれると、分かったのか分かっていないのか、反応が分からないということをお聞きするんですけれども、特に集団になるとその傾向は強く出るようです。
これは何かといいますと要因は2つありまして、1つはいわゆるSNSの台頭ですね。今、24時間365日、FaceBookやTwitterなどにずっとさらされていて、いわゆる「いいね!」「いいね!」という周りからの評価にさらされている。同調圧力という状態にあるといわれてるんですね。
そういう意味では、周りから評価をされる。これはじつはSNSだけではなくて、たとえば中学校から相対評価から絶対評価に変わった世代であったりとか、あとは、世の中的にも何か一つ失敗するとものすごく足を引っ張られるとか、暴露されるとか。いわゆるSNSでの学校の中のいじめがアングラ化したり陰湿化する。そのような環境で、いわゆる本音、特にネガティブな感情を表に出すということに対してものすごく敏感で、そこから自分がマイナスに評価されることを守る。そういった世代、そういった傾向が非常にあるというふうに言われています。

もう一つの特徴は、いわゆるコミュニケーションスタイル、これもモバイルの台頭というのが大きいのですが、彼らにとってのコミュニケーションというのが、取りたい時に取りたい人と取りたいだけ取る。いわゆる携帯電話で知らない人から電話がかかってくると取らないとかですね。自分が話したくないなと思う人の着信は拒否するとか、そういったことができる世代になっているために、特に価値観の違う上の世代の方だったり、自分とはバックグラウンドが違う人と、何か一つの目標を達成するために何とか折り合いをつける、対面で相手の表情を読み取るというような経験が圧倒的に減っているといわれています。
そんな彼らなんですけれども、いい面を取り上げると、非常に対立を恐れるので人としてとても優しいんですね。基本的には、調和、対立しないことを重んじるということで、とても人間的に優しい、いい人の方が多いと思います。これが「クローズドマインド」メンタリティです。

誰かを喜ばせたい、つながっていたい「貢献憧れ」メンタリティ

そして、4つ目、「貢献憧れ」メンタリティということで、みなさん、社会貢献したいという言葉、若手のみなさんからよく最近お聞きになるんじゃないでしょうか。これじつはもう10年ぐらい前からこのキーワードは採用場面でも出てきているものなのですが、特に最近この世代の若手ですと、たとえば震災のボランティアであったり、海外NPOの活動とか。自分たちの学生世代に下の世代、大学1年生、2年生、もしくは高校生に対してキャリアの支援をするような、そういったNPOを立ち上げるといった支援活動、貢献活動というのを学生時代から精力的にやっている方が増えています。
これ自体はいいことなんですけれども、職場で問題になるとすると、彼らのいう貢献というものと目の前の努力というところで、どこか遠いところの貢献というものを描いていて、目の前の努力につながっていないということが起きると問題になってくる。
たとえば、「誰かを喜ばせるような仕事がしたいのです」という言葉。よく採用場面でお聞きします。けれども、「具体的にどんなこと?」と聞くとなかなか出てこないということだったりします。
これは、私の本当に私見、見解なんですけれども、人間はどこかでやっぱり誰かとつながっていたいという感覚はみなさん持っていると思うんですね。ただし、先ほどの「クローズドマインド」メンタリティと総合すると、やっぱりつながるためには一歩相手に踏み込むということが必要になってきますよね。そういうとき、パワーがかかる、エネルギーがかかる。そこはちょっとしんどい。なので、つながりたいんだけどつながれないという、なんとなくジレンマみたいなものを抱えているような若手がちょっと増えてきてるんじゃないかなというふうに個人的には感じてます。
彼らの強みとしては、目の前の上司、先輩、お客さまが、自分のことを受容してくれて、自分にとって味方だって思った瞬間にものすごいエネルギーを発するんですね。目の前の人のために頑張る。
よく最近お聞きするのは、先輩社員と一緒に仕事をしていて、先輩社員がちょっと失敗してしまった、失注してしまった、ミスをしてしまったというときに「申しわけない」という言葉を結構若手の方は使います。それぐらい、自分を守ってくれる、大事にしてくれる、一緒に成長したいという手をつないでくれた先輩、上司、目の前の人のために頑張るというエネルギーはものすごく強い。これはすごいなというふうに感じます。これが「貢献憧れ」メンタリティです。

叱られることに慣れてない「勝手にプレッシャー」メンタリティ

そして最後5つ目です。これが「勝手にプレッシャー」メンタリティ。一言でいうとストレスに弱いという話なのですが、これは私も新人時代言われてました。「最近の新人、ストレスに弱いよね」ということを言われてたんですけれども、最近ストレスを感じるポイントというのが変わってきているのかなというふうに思います。
いわゆる叱られることに慣れてないということなんですが、指導するこちら側からするとちょっと指摘したぐらいの感覚のものが、彼らからすると「うわ、人格否定された」というような感覚に受け取られやすいという、そういった叱られ慣れていないというようなところ。これは先ほどの「正解を検索」ですとか「で、いいや」みたいなところも絡まってると思うのですが、要は言っている相手の裏側にある意図、この人は何で自分のことをこんなふうに言っているんだろうということを考えるような力が足りないと余計にこういったところが出るんじゃないかなと。
これは、じつは挫折とか突破体験というのが一つ有効だというふうに言われていまして、高い目標を掲げて、そこに対して一回くじけながらも乗り越えるという、挫折克服体験、突破体験というものが早期に身につけられると非常にストレス耐性が強くなるといわれています。
あとは、このストレスコーピングですね。専門で学んでいらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、なるべく早い段階で、できれば仕事をした後、半年後から1年後ぐらいの段階でこのストレスコーピングというものをトレーニングしていくというのが非常に有効だというようにいわれています。

ということで、今ざっとお話をさせていただいたんですが、みなさま、今の「5つのメンタリティ」をお聞きになられまして、いかがでしょうか。
ここでまた1分間、これはそうだなというものでも結構ですし、ちょっとこれよく分かんないな、いや、うちの新人、うちの若手はこんなんじゃないよというのも結構です。何か感じたこと、気づかれたことをお隣の方とまたシェアをしていただければうれしく思います。

(シェアタイム)
お隣の方とちょっと一言
5つのメンタリティを聞いてみて

上司と若手、育ってきた時代、世代、環境が違うからこそ互いの世代理解が大事

森:私も45歳で団塊ジュニアの代表として感じるのが、先ほどお伝えした「で、いいや」、[正解を検索]ですね。実際に、みなさん、どうでしょう? 「報告書、営業資料、作っといて」と言って、真っ先に何が返ってくるかというと、「ひな型、何かサンプルはないんですか」と検索するんですね。「私、Googleじゃないよ」って言ってるんですが。
ほかにも、出てきた資料の計算をして、「いや。うーん。悪くないんだけど、よく考えたらもうちょっとこうするんじゃないの? 今日出るメンバーはこうでしょう?」と。「そうですよね。そうやろうと思ったんですけども」って言うんですね。「いやいや、ちょっと待ってくれ。やろうと思ったらやろうよ」「いや、でもミスったら」と正解を探すんですね。上司に正解を探してきます。「ま、いっか。これぐらいで」、怒られない程度でまとめてくるんですね。
われわれの世代は、大学に入るのも必死、会社入るのも必死、入社したらどんどん仕事をもらえないと。そんな、自分で考えてやる世代が彼らいまどき新人の上司なんですね。そうすると、率直にここだけの話ですけど、イラっとするんですね。「お前な」と。
45歳のマネジャーの代表の声として、実際、私はそうですね。(この会場内には)弊社の新入社員もいるのでかわいそうなんですけども、「お前、言われなくてもやれよ。考えてやれよ」と。「『ま、いっか』で終わらせるな」というようなことは――みなさん、苦笑いでうんうんとうなずく声が多いんですけども、まさに日々起こっていますね。「ま、いっか」「正解を教えてください」と。「まず、ひな型から探します」。そんな世代をどうしたらいいのか。そのようなところがあります。

「クローズドマインド」、これ、問題ですね。私が大学生の時、いわゆるPHSであったり、まだポケットベルの時代ですね。みなさん、私の世代だとうんうんとおっしゃているかもしれませんけども、その時、どうでしょう? 大学の構内、友達と遊ぶにしても、待ち合わせ場所に行ったら友達がいなかった、場所を間違ってた。その時、どうでしょうか。その場にいるやつと楽しむんですね。その場にいたやつと遊ぶしかないんですね。今だったら「どの辺にいる?」「渋谷のほう」、それで集合ができちゃうんですけど、昔はどこにいるか友達も分からない。いた場所で遊ぶのでとにかくオープンでいないと情報も入ってこないし、友達とも遊べない。今は、どこどこのほう、で待ち合わせしちゃうんですよね。そうするとピンポイントと出会えるんです。昔はピンポイントで会えないんですね。
それこそ冗談ですけど「渋谷のハチ公前の左足持っといて」というのが、こういうのがわれわれ世代の待ち合わせでしたけど、もうそうじゃないんですね。彼らはすぐ「渋谷のほうで着いたら電話して」ですけれども、われわれはもう会えない。会えないという時にどうすりゃいいかというと、その場にいるやつと楽しむので、既にこれぐらいの楽しむメンバーでいいかというところで育ったので、誰とでも仲良くなれるんです。
ただし、今の若手は、誰とでもコミュニケーションが取れるというので、育った世代がクローズになってるんですね。ピンポイントでこの人だったら話せるという。
なので、営業に行かせても、「いや、初回訪問、駄目です」「新規訪問、駄目です」「無理です」「正解教えてください」そういう世代だということですね。

楠:まさにこれはやっぱりお互いの世代理解というのがすごく大事ですよね。余談ですけど、私の研修の中で、実はこのメンタリティの話、新入社員にもするんです。彼らは喜んで読みます。読んで「確かにそうですね」とすごい納得するんですよ。一通り研修をやった後ですけどね。その後に「みなさん、上司の世代ってどういう世代だと思う?」って話をワークでやるんです。そうすると「なるほどね。いろんな謎が解けました」と。
ある種のダイバーシティですね。やっぱり育ってきた時代、世代、環境が違うから、お互いに知っていく、お互いに歩み寄っていくっていうこともすごく大事だなというように思います。

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