ヒューマンキャピタル2017「キリンビール高知支店に学ぶ!メンバーの心に火がともる組織マネジメント」 Part.3

2017.08.3

戦略、実行力、理念という3つの要素をスパイラルで上げていくために必要な考え続ける姿勢


 私がキリンビールに在籍していたなかで、得られたものは4つあります。ひとつは、高い顧客満足度です。これは当然ですよね。そこに向かってやっているわけですから。

 また、高い生産性が得られました。実行力が上がり一人ひとりの力が上がっていき、作戦が正しいものになっていくと、無駄がなくなってくるので、生産性が上がりました。私がキリンビールの最後の4年間、本社にいてトップシェアを奪回したとき、コストが3割も下がっていました。このコストとは営業の拡売費と広告費のことです。1,000億円を使っていたんですけれども、4年間で300億円減っていた。毎年100億円ずつ減っていったんです。これは市場のへの理解、実行力が高まったからです。

 3つ目は、高い組織能力を手に入れることができました。お客様のために一所懸命やっている、仕事に対しての誠意とか感謝の気持ちとかチームのため、会社のため、お客様のためという献身という文化があり、高い組織能力という点で非常に大きな効果がありました。

 この戦略、実行力、理念という3つの要素をスパイラルで上げていくにはどうしたらいいか。それは考え続ける姿勢を持つということです。考え続けるということです。

 松下幸之助さんの「途中で諦めるから失敗する、やり続ければどんな人間でも成功するに決まっている」という有名な言葉があります。あの言葉に尽きるのです。考え続ける。正しい戦略といっても、実行力を上げていこうと考えても、自分たちの理念はどこにあるのか、何を目的にやってくのかという問題は非常に難しい。ただ、これは能力の問題ではありません。頭のどこかに入れて、置いておくことなんです。このレジュメにも「考え続ける」と書いてありますけれども、人間は忙しいので考え続けることはできません。頭のどこかに置いておくのです、この3つを頭のどこかに置いておけば、日々の仕事の中で心の中で対話ができるのです。

 そうして1年、2年すると……僕の場合には3年近くかかりましたけども、必ずどこかの時点でクリアになります。IQの高さとか記憶力とか条件反射能力とか関係ないんですよ。頭のどこかに置き続ける姿勢。これだけ変化の激しいスピーディな時代ですから、問題はどこに本質があるかを見抜くことです。その本質をつかんで実行する力を持つ。そういった人間をいかに養成するかということが、最後の自分のミッションだと思ってやっていました。

 本質をつかむ人間を見ると考え続けているんです。頭のどこかに置き続けている人間です。使命感とか帰属意識。自分はチームの一員、会社の一員だという帰属意識が非常に大事だということがよくわかりました。それは、冒頭に申し上げた平等の原則などを通して、培われていったように思われます。

 仕事を通じて本当に個人が変わっていく。エゴの仕事ではなくて誰かのためのという、そういった仕事を通じて個人が変わっていくのです。DNA=遺伝子は膨大にありますけど、いい遺伝子がどんどん浮かび上がってくるという、そういう感じですよね。このあいだ遺伝子学会の村上和雄さんが、「誰かのために仕事で絶対勝つんだ」という気持ちに立つと良い遺伝子のスイッチがオンになるというようなお話をされていましたが、仕事を通して個人が変わっていくのです。

 そのためにも、「戦略」「実行力」「理念」の3つのスパイラルを上げていくということ「高い顧客満足度」と「高い生産性」を両立させることが大事だということです。

メンバーのこころに火をともすには……世の中に必要とされるように挑戦していく

 最後に「メンバーの心に火をともすには」という今日のテーマでございますが、私自身はメンバーの心に火をともすにはどうしたらいいかということを考えたことがない人間でしたので、当時のメンバーを集めて聞いてみました。

 まずは、やはりリーダーがぶれないこと。だから火がともったと。2つ目は自分たちで自立して考えて、自分たちで工夫してやったと。自立して考え、創意工夫を発揮させる仕事の進め方ですね。これで奮い立ったと。それから透明性ですね。情報がオープンだったと。そういったことを言われました。

 この3つは、非常に当たり前のことなんです。私が入社したころは、日本の会社にはどこもこれがあったんですね。それがなくなってきてしまっているということが、現在の日本の企業の競争力を落としている。いくら円安になっても海外との競争力が落ちているのは、このようなことが原因です。

 これらは3つとも「人」の問題です。人というのは、企業の価値を増やす。そういった大事な存在なんです。ところが、いまは人をコストとして捉えるようになりました。したがって、今日ご来場いただいているみなさん、人の仕事といいますか研修などに携わる仕事をされている方が多いと思いますけれども、ぜひみなさんに考えていただきたい。業績を上げ続けていくことと人の人生の幸せというのは、高いレベルで両立させることができるし、それによって大きな尊敬や信頼を獲得し、社会的な使命を果たすことができる。どんな会社であっても、世の中に必要とされているから存在しているのです。

 であれば、もっと世の中に必要とされるように挑戦していく。挑戦し続ける。企業の理念とかそういった大事なものがあるはずです。そこに向けてもっともっと挑戦していく。それが自分たちの使命です。心の置き場を変えるというのはそういうことなんです。そうするとまったく違う世界が見えるようになります。

 ちょうど時間が参りましたので、終了とさせていただきたいと思います。今日はみなさん真剣に聞いていただきまして、本当にありがとうございました。おかげさまで集中して話すことができました。みなさんに感謝いたします。

 

講演後は、「ヒューマンキャピタル2017」内のリ・カレントブースにて、田村様の著書のサイン会が行われました。

ごらんの通りの長蛇の列で大盛況となりましたが、田村様はお客様一人ひとりと言葉を交わされ、終始和やかにお話をされておりました。

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