HRカンファレンス-2017秋-セミナーレポート Part.2 徹底した巻き込み 現場実践により 選抜教育で成果を生み出す仕組みを作る

2018.01.10

日本が南アフリカに勝てたのは、
ミッションから計画までツリーが明確になって実践されたから

石橋:たとえば、2015年のラグビーワールドカップで、日本代表が南アフリカ戦で大逆転勝利をいたしました。3点差を付けられていたところ、試合終了間際にゴール間際で南アフリカが痛恨のペナルティ。残された時間はわずかワンプレイのみ。日本はペナルティキックで同点にするか、逆転可能なトライを狙うかの選択を迫られました。
コーチの指示は同点狙いのキックでした。ただ、円陣のなかで木津選手が言った言葉は「同点では歴史は変わらない」。日本はキックを選択せず、絶対にトライを摂るという熱い想いでプレイを選択し、勝利を手にしたのです。

この話の後に、どうして日本が南アフリカに勝てたのかというディスカッションをしますと、だいたい45歳以上のリーダークラスの人たちはちょっと泣いていたり、人によっては外国人が増えたからじゃないかとか仰る人たちもいます。けれども、ここでは「勝つ」という執念がじつは重要だったんじゃないかとか、この1試合で集中ができたからだというような見方をする方が多いです。

しかし、なぜ日本が南アフリカに勝てたか。先ほどのミッションから計画までツリーが本当に明確になって実行されたということが、いろいろと調べてみると分かります。木津選手が最後のアタックのときに言ったのが、「日本ラグビーの歴史を変える」というこのチームのミッションであったということです。

そのために、日本人が体格的に劣る外国チームに勝つための戦略として、日本チームが持つ強みである俊敏性や持続力を活かすラグビーをやることで勝とうとした。そのための施策として、体の軽さや俊敏性を活かした、ラインアウトで出たボールを取るための徹底的な練習をしたり、タックルでも外国人1人を止めるために日本人が2人がかりで足元を目がけてやる。外国人から見て忍者タックルと言われていたそうですが、そういったタックルの徹底的な戦術を組んで徹底的に練習するということを、このミッションから計画までのツリーが実践されていたからうまくいったということが、エディー・ジョーンズが書いた『ハードワーク』という本のなかで紹介されております。こういった心に残るようエピソードを使いながら学習していき、いちばん最初にミッション・ビジョン・バリューを作るところからはじめています。

 

なぜミッションが明確になるとハイモチベーターになるのか。これはサイモン・シネックのゴールデンサークル理論の映像を見ていただくと、「Why」からはじまるということです。ミッションを語ると脳の大脳辺縁系、情動をつかさどる部位が刺激されてハイモチベーターになる。先ほどの日本代表チームの例で言うと、最後のアタックのときに、木津選手がそれを言ったことで、チーム全体がこのミッションに向かったということです。

これらを学習していただきながら、本当に選抜されたリーダーとしてキャリアを歩むんですか? 歩まないんですか?という、キャリア開発の動機に関してもワークに取り組みながら共有していきます。20代で働いているときの動機は自分の成長のためという利己的な動機だったかもしれませんが、選ばれたからには他者のため、みんなのためというある種の利他的なキャリア動機を持って進もうじゃないかということを共有します。その結果=アウトプットとして、1回目の研修からミッションから施策に至るまでのピラミッドツリーを描いて、さっそく職場に戻ってこれを上位者、チームメンバーと共有しながら進んでいくという段階に移っていっていただいております。

徹底した巻き込み、現場実践により
選抜教育で成果を生み出す仕組みを作る

さて、次に「選抜教育の成果とは?」ということですが、これは言わずもがなビジネスの組織成果ということが求められています。それと研修などのドッキングです。みなさまもアクションラーニングということで、おそらく行われていることかと思います。

私どもの研修も、名称で表すとアクションラーニングということになりますけれども、成果を生み出すプロセスとして、巻き込み×現場実践をいたします。そこで先ほどのミッションから施策までを描いて、研修と研修の間の2ヵ月のなかで、どれだけ上位者、同僚、現場を巻き込めたかどうかといったところにチャレンジしていただきます。これが毎回課されることになります。毎回です。

2回目の研修から冒頭に1人4分間のプレゼンテーションと相互採点を行います。採点の基準は、チャレンジした内容になっているかということと、どれだけ現場を巻き込めたかということです。ここで必ず序列付けをして発表するという仕組みにしております。

次に「成果の見える化」というところで、2回目の研修で行うのは360度サーベイです。選抜リーダーに求められるリーダーシップをすべて項目化したものを多面評価で取りまして、そのフィードバックを行います。こういった多面評価診断と職場からの自由記述式コメントをしていただき、コメントでフィードバックするものを使って行動力を評価するということを行っております。

先ほどのミッション・ビジョン・バリュー、戦略といったところに基づいて中長期的な課題と短期的な課題をまとめて、組織と個人というところで取り組むことを設定し、毎回の研修で、その成果を自分なりにコメント化してくるということをしていただいております。

こちら(のスライド)が上位者のコメントですが、受講者は上位者にも必ずコメントをもらってくるという仕掛けになります。これを継続することで、最初にチャレンジしたことがどこまで実践できていたかのプロセスを追っていきます。

そして、もう一つ、「成果の見える化」ということで、実際に第1クール、第2クール、第3クールと進むなかで、当社でアセスメントをさせていただいております。必要とされる能力要件に基づいて5段階評価でどういう行動が研修中に取られたかをアセスメントし、それがどう変化しているのか。可視化して、終わった後に個人に返していく。そういう形で、成果がなかなか見えないところに関しても、きちんと見えるようにしております。

また、人事部門がしっかりと成果を経営陣に見えるようにしないといけないので、当社では、アセスメントデータを分析して総括をし、強化能力評価アセスメント結果のほかいろいろなデータを出していきながら傾向を分析していきます。もともとポテンシャルが高い方や成長が高い方、成長に伸び悩んでいる方、ポテンシャル発揮が停滞している方、そこにおける上司の関わり方の関係性を分析し、経営側にも見えるようにして、進捗を共有する仕組みにしております。こうして、随時、経営からの関心を高めていくことも、組織体制整備といったところで必要になることと思っております。

HRカンファレンス-2017秋-セミナーレポート Part.3 選抜教育に必要な組織体制と選抜基準としてすすめる「3つのP」と4つのタイプに続きます

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