20代社員の「ゆでガエル化」を食い止めろ!~いまどき新人をリーダーへ導く1~7年目一貫育成体系のススメ~

2016.07.29

今回は2016年6月9日(木)に行われた「Human Capital 2016」

20代社員の「ゆでガエル化」を食い止めろ!
~いまどき新人をリーダーへ導く1~7年目一貫育成体系のススメ~

のセミナーレポートです。当日の雰囲気をそのままに、今回は講演当日の口語スタイルでお送りします。

【開始前】
TEDトーク:Meg Jay氏『30歳は昔の20歳ではありません-30 is not the new 20』を会場にて流しました。

かつて40代・50代に起きていた「ゆでガエル化」が20代に起きている危機感

「人生は20代で決まる」
先ほどTEDトークのメグ・ジェイという心理学者が本を出しました。
メッセージの中に、「人生を決定づける重要な決断や決定は、ほぼ35歳までに行われている」というものがあります。もし、自分自身のキャリアを変えたいのであれば、20代のうちに努力しなさいというメッセージをされています。

申し遅れました、リ・カレント代表をしております石橋と申します。本日は満員御礼ありがとうございます。私は、年間117日ほどセミナーを担当しています。受講者は5割が20代、30代が3割、残りが40~50代です。最近特に20代の方とご一緒しておりまして、危機感が湧いております。

ゆでガエルというのは、元々40代・50代の中間管理職のキャリアの危機状態(クライシス)を表すためにメッセージされた言葉でした。企業の中で自分の能力未満の仕事をしていると、市場の変化、会社の変化が激しくてついていけなくなってしまいますよ、というものです。カエルを冷たい水に入れて、下からゆっくり熱すると沸点の温度変化に気づかずに茹であがってしまう状態を比喩として用いたメッセージです。しかし、40代・50代で起きるこうした現象は、いま20代から始まっているんじゃないでしょうか、という問題提起です。

いまどき新人、という言い方は申し訳ないのですが-当社も新人が3人入社してがんばってくれています-そんないまどき新人をリーダーへ導く、入社1年目から7年目までの育成体系を組み立てておりますので、そんな趣旨で講演させていただきたいと思います。

いまどき新人から若手までみられる特徴

ここに、いまどき新入社員の5つのメンタリティというものを示しています。
(1)「で、いいや」メンタリティ
(2)「正解を検索」メンタリティ
(3)「クローズドマインド」メンタリティ
(4)「貢献憧れ」メンタリティ
(5)「勝手にプレッシャー」メンタリティ

近年の若手のメンタリティ、つまりこれまで育ってきた環境や時代の中で築いてきた気持ちの持ち方の傾向です。では、いまどき人の特徴について、新入社員に限らずで結構ですので、お隣の方と2分間共有してみてください。

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皆様ご協力ありがとうございました。
ここで申し上げたいことはこういうことです。
私は、来月7月で50歳になります。28年前にリクルートという会社に新入社員で入りました。私たち、「新人類」と呼ばれていました。
新人のころ…”そこそこで満足”でした。周りの先輩が怖くて自分の表情出していませんでした。リクルートの「情報が社会を熱くする」という理念に憧れていました。めちゃくちゃストレスに弱かったです。
というように、おそらく時代が変わっても、そんなに大きくは変わらないのではないかと思うのです。ということは、色眼鏡を持たずに「自分もそうだったよな」と新人を見ることが大事ではないかなと思います。

しかしながら、配属後に起こること。
それは「受難」「リアリティギャップ」。これは誰しもが感じることです。私自身も、リクルートという会社が営業でとても厳しい会社だということは先輩から聞いておりましたので、入社前に心づもりはしておりましたが、予想以上にハードでした。深夜残業あたり前、数字いってないとつめられる、夜中にオフィスで残業していると「おーい、石橋―」と先輩から電話、新橋烏森のたこ八、つぼ八じゃないんですよ、ここ笑うとこですよ、に夜中まで詰められるということを結構やられておりました。厳しい社会の現実に悩むんですね。でもこれは新入社員だけではないと思います。異動で職場が変わる、仕事内容が変わる、上司が変わる、各成長過程で受難を経験するのではないかと思います。

このことで陥る状態-

(1)ソコソコ:こなし仕事になってしまう
(2)アタマ打ち:自信喪失、限界感
(3)もやもや:目標喪失
(4)いっぱい・いっぱい:今の仕事で手一杯
(5)ヒラメ:上ばっかり見てる
(6)ご不満:自己中心的批判的
各状態、新入社員にこういう人もいれば、7年目でまだまだこういう人もいれば、状況によって様々だとは思います。

その育成体系は「20代の羅針盤」になっているか

ここにいらっしゃる多くの方は、こうしたモチベーション低下している社員に対して、頭打ち感を変えるため、教育担当者として現場のOJTを強化したり、教育体系を整えるということを仕事としてやっていると思うんですね。

今回の問題提起は、こうした1/3/5/7年目の人たちが、「20代将来に向かっていかに成長すればいいのか」といった観点で、20代にとって明快な羅針盤になっているでしょうか、ということなんです。
各社、各ステージの期待人材像がおありだと思いますが、職能要件定義や役割要件定義といったもので組み立てられていると思います。しかしそれらが、
・一貫性を持って
・わかりやすいメッセージ性を持って
・デザインされている=受けとる側の社員にとってキャリアがなんとなく見える
というものになっているでしょうか、という問題提起です。

大企業の教育体系でよく起こっていることが「一貫性の無さ」です。
各研修の担当者が違うということで、人事部として一貫性が整っていない。各担当者個人に選択権があるゆえに、言ってみれば好きな研修内容を入れてしまう、ということで一貫性が保たれないんですね。
そして内容を組み立てるに際して、人事制度上の職能要件定義をいろいろとこねて書いて、「こういうことを満たしてくださいね」と研修中に話しても、受講者からは「なんのこっちゃ」と。まったく伝わって来ない、「わかりにくい」ということが起ます。

・一貫性
・メッセージ性
・デザイン
このようなことをもって変えていかないと、自分たちの将来像を各ステップを踏んで描けないんじゃないでしょうか、ということなんですね。
「幸せ」は自分でつかまなければいけないですが、30代に向けての「階段」は教育担当者、人事が見せてあげるということが必要なんじゃないかな、ということなんです。

1~7年目でそれぞれ目指す姿を一言でキャッチーに

じゃあ、これだけでいいのでしょうか?
先ほどの考え方に基づきまして、1~7年めそれぞれに向けてのメッセージを当社なりに考えました。

1年目:全力行動メンバー

成果は出ずともいいんです。うまくやらなくていい。全力で行動しようというメッセージなんです。そして職場のメンバーとして認められないか、想像でしり込みしてたってしょうがないよ、一歩踏み出そうよ。そういうメッセージです。

3年目:完遂型プレイヤー

3年目にもなってくると、今度は全力で動いてるだけじゃダメ。当事者意識を持って、目標を完遂する。完遂型の一人で仕事ができるようになる、そういうプロにならないか?というメッセージです。

5年目:先回りフォロワー

一人で完遂できるようになったら、周囲を見渡しませんか?5年目にもなると評論家になっちゃったり作業者になっちゃってる人いますから。自ら働きかける、先手を打ってフォロワーシップを発揮して、主に上司を動かす力を身につけませんか?というメッセージです。

7年目:巻き込み型リーダー

上司を動かせるようになったら、後輩の指導を行う、他部署を動かす、関連会社を動かす、個人の枠を超えて問題の解決に向けて、自分が求心力になって周りを巻き込むリーダーになる、というメッセージです。

教育体系に盛り込むべき2つのこと

じゃあ研修だけやればいいんですか?体系だけ整えればいいんですか?言葉のお遊びなんじゃないですか?そういうご批判もあると思います。でも、職能要件ずらずら書き並べて「こんな人材になれ」というよりはわかりやすいと思うんです。

大事なことは教育体系を整えるだけではなく、その運用部分で2つのことをビルトインすることです。
(1)内省の習慣
(2)組織の関係性を整える

今回は20代の方たちの成長に関わる話ということで、(2)の組織の関係性を整えるという部分については時間がありませんので、別途勉強会等でお会いできればということで割愛しまして、内省の習慣について共有したいと思います。

先ほどの、ゆでガエル状態になっている理由を、多くの人は外的要因に求めたがりますよね。自分の仕事がうまくいかない、となると
・「自分の能力が発揮できない仕事なんですよ、仕事替えてください」となる。下手をすると会社を替わってしまいます。
・「上位者が尊敬できない、上司の指示がよくわからない」
・「自分で動こうと思っても権限が無いんです」
・もっと年次があがると「戦略がころころ変わってついていけません」
・「無駄なルールが多く存在して邪魔だ」
これらソフトの4S、ハードの3Sといったものが、自分自身のモチベーション低下の外的要因だといって批判しがちなんです。
ここで考えなければならないことは、20代前中盤の人たちがこういったことを変えられるかということなんです。なかなか変えられませんね。ではどうすればいいか。
ここで内省の習慣が必要なんじゃないでしょうか、ということなんです。

モチベーション低下の9つの内的要因

つまり、うまくいかない現実やチャレンジできないという現象は外的要因ではなく、
・自分が失敗回避思考になっているんじゃないか【失敗回避】
・現状安住の意識が20代中高半で起きているのではないか【現状安住】・
・失敗を上司や組織の責任に転嫁してないか【責任転嫁】
・うまくいってないことを自己正当化し【自己正当化】
・ヘタをすると被害者意識に陥ってないか【自己正当化】
・その他【自信喪失】【保身】【現実逃避】【依存】
といったように、自分自身に矢を向けて、内省する習慣を身につけることが重要なんじゃないか。自分に内的要因があることでうまくいってないんじゃないか、ということをしっかりと研修の中で返さないといけません。外的要因を根本的に無くすことはできません。大事なことは、自らが自らをできるところから変えていこうという姿勢を若いうちから身に着けることじゃないかと思っているんですね。

当社でも、2年目にして辞めたいですという人間もおりました。
徹底的に、こういう点(外的要因)を聞きました。確かに自分自身のマネジメントが悪かったなと反省することもございました。しかしながら、こうした内的要因が自分の中にもあるのではないか、と渾身のフィードバックをしました。結局、環境とか組織の奴隷化している自分、ここに気づかなければ外の会社に行っても同じことが起こるよ、もし外に出ていくんだったらこの会社で解決してから考えろ、一緒にやろうじゃないかと。最終的には思いとどまってくれました。
これはですね、クライアントの受講者のみならず自社でも起こることです。足元が揺らいでいますので非常に大きな問題なんですね。

というわたくし自身も偉そうに言っておりますが、リクルートに入りまして、最初は894人中の同期でビリでした。自信を喪失してやる気を失いました。落ち込みました。失敗回避志向に陥りました。新人賞取れ、といわれても「私にはできません」と思いました。
3年目、バブル崩壊で市場がシュリンクしたときにはマーケットが悪いんだから仕方がないでしょう、と被害者意識に陥りました。誰しもがこの罠にはまる可能性を持っているんです。

心理学的にも言われています。人間はうまくいかない現実に対して、防衛機制という心理状態に陥ると、いわゆる言い訳をして、正当化をします。うまくいかない現実を、痛みを感じない現実に転嫁するという性質があります。しかし、この状態に長くいると、完全にゆでガエル化してしまいます。まず20代にしてそういう現実があるということを知るということが大事なのではないでしょうか。

20代のゆでガエル化を防ぐ、教育体系

では最後に、20代の各ステージで、研修における育成モデルについて、それぞれ1ポイントずつ共有をさせていただきまして、お役立ちできればと思います。

1年目~1.5年目:全力行動メンバー→2つの目標
ここでお伝えしているのは目標の重要性についてです。目標が目標たる条件というのは「自己決定」つまり、他人から言われた目標ではなく、自分なりにやると決めることなんですね。自分で決めた目標と言うのは、そうでないものに比べると達成率は3倍違うそうです。

実力を認めてもらうためには、2つの目標があるよ、と伝えています。
1つは成果目標。これは「できる人」として認めてもらうことです。
もう1つは「態度目標」。端的な話、挨拶、約束を守る、遅刻をしない。社会生活において当たりまえの行動です。でもひとつ決めて徹底して行うんですね。すると「できた人」となる。ある意味しつけなんです。大事なことは、積み重ねると、できた人になるんだ。
成果と合わせると評価される人になるんだ。すると自分にとってプラスになるんだよということなんです。

私はリクルートの時にマネジャーから徹底的にしこまれました。新人研修でどべをとってしまいましたので、新人賞をとるために、新規開拓件数ナンバー1という目標を掲げて徹底的にやりました。それは成果目標ですね。
もう1つ、事業部オールで朝1番に行きました。そうしましたら、周りの人たち、営業所の年上の人たちが認めてくれたんですね。「彼は、苦しくても朝来て1番におはようございます!とずっとやってくれる人だね」といって、他の課の問い合わせも紹介してくれた。これが結局達成につながったんです。
当時、別にねらったわけではないんですよ。でも、これでやればできるという自信がついたんです。この体験は本当にラッキーでした。あの時の経験が無ければ今の私は無いですね。

3年目:完遂型プレイヤー→価値想像力
仕事を完遂しようとするときに、この目標だけでやっていくというのはちょっとつらいですよね。そこで「価値想像力」です。
仕事というのは、社会に仕えることです。相手の期待にプラスアルファの価値をイマジネーションして提供しようよ、と。キーワードは、ブルースリーです。「考えるな感じろ!」仕事では、与えられる価値を想像するんです。意外と若手にはこういう考え方は刺さります。つまり、「自分のやる気は自分でつくれる」そういうような話です。

5年目:先回りフォロワー→組織役割を演じる
ここで、チームとしての役割を意識していくようになります。上司がとるのがリーダーシップ、我々がとるのはフォロワーシップ。役割を自ら演じようよ、ということなんですね。上司の取るリーダーシップに対して、5年目は模範となるべきところを補佐する、上司が決定することに対して提言する、健全な批判精神を持ちながらもっとこうしましょう、ああしましょうとオプションを提示する。そうして将来のリーダーとして上司の立場からいろいろと物事を見る。ここが悪いあそこが悪いというアンチリーダーにならずに、それは自分のプラスになりませんよ、と。反面教師からだって学べちゃうよ、提言して動かそうよ、というメッセージです。

7年目:巻き込み型リーダー→広げるべき「思考の枠×働きかけの枠」
自分の狭い枠の中から飛び出して、思考の枠と働きかけの枠を広げて、組織の問題解決に力を発揮しませんか、ということです。
ここでは「1つのコアと4つの駆動力(ドライバー)」という形でお伝えしています。
4つの駆動力のうちの1つが「意思発信力」、こうしたい、という意思を発信することです。リーダーシップは言いだしっぺが大事。問題点を捉えて、関係性を作りながら「やりだしっぺ」となったときにリーダーシップは初めて身に付くんです。このプログラムは、各社の状況によって大体5年目から7年目、管理職手前くらいまでやっていますが、最も刺さるセッションが「意思発信力」の仕事の使命を語るというセッションです。

ここではある事例を使って考えてもらっています。それは本田技研さんのCVCCエンジンの開発物語です。
1973年マスキー法という法律が上院で可決されまして、3年後にはエンジンの排ガス物質を10分の1までにならない車は米国市場で売らせない、ということになりました。当時本田宗一郎さんは、米国ビック3に追いつけ!という目標を掲げるんです。しかしそこに若手技術者のリーダーたちは、くってかかります。
「おやじ!おれたちは、数字のためにやってるんじゃない。子供たちに青い空を取り戻すためにやってんだ。だから命のかけ甲斐があるんだ」と。当時は寝ずの番で、いまの時代でいうところのメンタルギリギリの状態でやっていたということなんですが、この使命を掲げてみんなを巻き込むことで、本来なら何年もかかるのを2年もたたずに達成した、という感動の物語です。

実はこれは脳科学でも証明されています。
「なぜ・なんのために」ということについて、特に社会的意義を本気になって考えて発信し、集団で共有化すると、脳の共振状態が起こり、大脳辺縁系で情動、つまりディープエモーションにすごい刺激があると言われています。だからみんなで頑張れてしまうんですね。
こうした事例を通じて、果たして自分が仕事を通じて成し遂げたい使命とは何なのか、受講者の皆様と内省をしながら一緒に考えているわけです。

最も伝えたいメッセージは「選択肢を自分で持てるようになる」こと

いろいろとお話をしてまいりましたが、20代を通して最終的にどうあるべきなのか。

「30代の次なるキャリアの選択肢を自分で持てるようになる」

これが最も大事なことなんじゃないかと思うんですね。会社からこうしろという指示ではなく、自分から「組織を率いるリーダーになりたいんです」、「私はある道のプロフェッショナルになって世界ナンバーワンをとりたいんです」といった自分の意思で決めて、自分で茨の道を進むこと。その選択をできる力を20代のうちに身につけなければいけません。

「パッション」に火をともす、といいますね。パッションというのは実は2つの意味があります。みなさんご存知の「情熱」と、もう1つは「受難」です。
情熱を持てば持つほど、受難が立ちはだかるのです。たちはだかる困難を乗り越えて働く力を20代のうちに身につけてほしい。これが私たちの20代の社会人の皆様に送るメッセージであり、皆様と同じ人材開発に携わる者の責任として、このような育成体系を通じて一緒に今後の未来を背負う若者たちの育成を支えていきたいと思う次第です。

講演でご紹介した「いまどき新人から若手までみられる特徴」を詳しく知りたい方は
「いまどき新人を読み解く!5つのメンタリティと10の成長力」がダウンロードできます

 

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