HRカンファレンス2018春「中外製薬流! 個人×組織の成長を加速させる変革型次世代マネジャー育成4つの成功要因」
2018年5月15日(火)~18日(金)「HRカンファレンス2018春 -東京-」(主催:株式会社アイ・キュー)にリ・カレント株式会社が出展しました。
今回は、5月16日(水)に行われた、弊社協賛講演
中外製薬流! 個人×組織の成長を加速させる
変革型次世代マネジャー育成4つの成功要因
の様子をお届けします。
【講演者】
中外製薬株式会社
営業人財マネジメント部 人事戦略グループ 副部長
犬飼 浩文 氏
17年間の営業現場経験を経て、本社人事部へ異動。営業時代の顧客対応手腕を活かし、採用マネジャーとして1000人以上の採用~育成に従事。07年より育成部マネジャー。今回の事例となる次世代リーダー育成施策においても、マネジメント階層の企画~ファシリテーターまでを一貫して担当する。
株式会社いとわくす 代表取締役
住永 信之 氏
富士写真フイルム株式会社(当時)にて同社の経営改革の本質を学んだ後、ドイツ、イギリス支部にて管理職を歴任。株式会社キュービック、株式会社スコラ・コンサルト代表(組織風土改革)を経て、09年 株式会社いとわくすを創業。役職や部署、あらゆる層の「本音」を引き出し、個と組織を機能させることを強みとする。
今回の講演は、前半で中外製薬株式会社 犬飼氏より同社営業本部での次期マネジャ―候補育成施策の事例をお話しいただき、後半は同事例にて研修講師・コーチングを担当した住永講師を交え、次世代リーダー育成についての質疑応答形式での対談を行いました。
次世代リーダー育成について、よく聞かれるのが次のようなお悩みです。
- 研修内容がMBA系やイノベーション系に偏りがちで、選抜者教育として適切か疑問
- 数カ月かけた事業立案プロジェクトで最後は役員提案。鉄板だけど意味があるのか……
- 意識変革も行動変容もさせたはずなのに、なぜか職場での「実行習慣」が定着しない
- 現場評価のいい人材を選抜。いざアセスメントすると期待値には程遠い実力で肩透かし
- そもそも次世代人材のコンピテンシーが自社に最適なものか分からなくなってきた
こうした課題に対して、今回の事例では4つの成功要因があったと犬飼氏は言います。
次期マネジャ―候補者育成 4つの成功要因
Consultation:マネジャー登用における本部課題の仮説・検証
→研修企画担当者の実務経験からくる持論をもとに、マネジャーを対象とした360度診断で降格者分析を実施。降格者とそれ以外のマネジャーの間で、ギャップのある項目を洗い出した。
Produce:研修企画のコンセプト設定とプログラムアレンジ
→仮説検証の結果から導かれた重点能力の強化をコンセプトとし、次の2点を目的にした研修施策を立案した。
①評価:研修等を通じて得られた、マネジャー登用候補者それぞれの所見や成果物を問うように向けた判断材料とする
②育成:マネジャー登用候補者に対して、登用前にマネジャーとして必要な能力を強化する
プログラムのアレンジポイントとしては、MBAフレームワークなどの一般的な課題ではなく、研修で取り組むテーマを受講者それぞれの所属組織の課題点とし、全4回の研修の合間に上司・周囲を巻き込んだ現場実践が行われる仕掛けを取り入れた。
Co-facilitation:外部講師・アセッサーとの“三位一体”体制
→仮説検証した項目と、求められる意識や視座として5つのバリューを2軸としてアセスメントを実施した。
ベンダー選定においてこだわったのは、登用判断(アセスの質)、講師力(指導力、受講者へのインパクト)、協働力(講師・ベンダーとチームワークを発揮できるか)の3点。
住永:三者がフラットにやりとりができたのが良かったですね。
何のためにこの研修をやるか、を互いに遠慮せず侃々諤々話し合いながらできた。受講者からの反発や改善点が出てくるのは当然だと考え、研修担当、講師、リ・カレントが三位一体で「次にどうするか」を徹底的に考えたのが良かった。
受講者に真剣に向き合っていることが伝わればプロセスはいくら変更があっても大丈夫。むしろ紆余曲折、受講者からの反発があった方が最終的には良いものになると考え、取り組みました。
Outcome:評価・育成両面でのアセスメントデータ活用
→受講者の研修での発言、態度、課題への取り組みを、数値評価だけではなくコメント形式でアセスメントを実施。
マネジャー登用の判断材料として、人事部門向けの報告書に加えて、受講者への成長促進フィードバックシート、上長向けの強み・弱み考察をリ・カレントのアセッサーが作成した。
次世代リーダー育成についての質疑応答
後半の対談パートでは次のような質疑応答が行われました。
- 講師からの、面談・研修の中でのフィードバックのポイントは何か
- フィードバックに際し、なぜ軋轢を恐れずに受講者に対峙できたのか
- 犬飼氏から見て、住永講師のフィードバックは受講者の成長にどう影響したか
- 犬飼氏は上層部や受講者の上司をどのようにして動かしたのか
- 講師・研修事務局それぞれの立場から、運営上でどんな苦労があったか
- 犬飼氏が、なぜここまで研修に力を注げたのか
- 研修を通しての、犬飼氏・住永講師両名の気付き
ここではいくつかの質問をピックアップしてご紹介します。
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面談・研修の中でのフィードバックのポイントは何か
住永:受講者に「あなたが変わらないと会社も変わらない」という危機感を醸成することが一番のポイントでした。マネジャー候補に挙がってくる人は、能力がある・成長したいという気持ちがある。ただ、指導がされておらず、仕事でのうまくいっていない点に向き合えていなかった。
自分の実務経験に照らし合わせて、「外から見て、あなたはこう映っているよ」ということを伝えたことで、受講者自身も正面から向き合う姿勢に変わってきましたね。 -
フィードバックに際し、なぜ軋轢を恐れずに受講者に対峙できたのか
住永:相手にとってベストになることを言おう、それで反発されたら仕方がないと思っていた。
富士フイルム時代、仕事を最後までやりきらせる風土を学びました。「ゴールに向けて、自分がまずは動く」ことを強く伝えたことが、今回は良い方向に働いたのだと思う。自分を押さえて本当のことを言わない方がうまくいかない。
はじめこそ反発する人も中にはいたが、それも当然と思って、中外製薬様、リ・カレントと徹底的に話し合いながら研修プログラムを変化させていきました。 -
研修を通しての気付き
住永:危機感を醸成することが大切だ、ということに改めて気づかされた。業績のよい、順調な会社こそ、危機感を持つ人間が必要。結果を出し、成果をあげたときにはじめて、喜ぶ受講生の変化の兆しが見えてくることでこちらもどんどんと前のめりになっていきました。
ご参加いただいた方の声
- 変革マネジャー育成のための「本気」度を込めた研修の考え方が参考になった
- 予定調和になりがちなトレーニングをいかに実になるものにするのか、改めて大切なことに気づくことができた
- これまでの傾向とは異なる研修やアセスメントを取り入れることはリスクももちろんあるが、足を踏み出す価値があると感じた
- できそうな施策に見えても、実際に実行してやりきるのは大変だったと思う。同時に、「行き当たりバッタリ!」の面もあって興味深かった
- 危機感をいかに醸成させ、受講者、組織長、上層部を本気にさせるかが重要だと感じた
後日、HRカンファレンス公式サイトにて、講演内容の詳細レポートをお届けいたします。
次回、リ・カレントはヒューマンキャピタル2018(開催期間:7月4日~7月6日)に出展いたします。今回ご登壇いただいた、中外製薬 犬飼氏・住永講師のタッグによる講演も予定しております。次世代リーダー育成にお悩みの皆様、ぜひご参加ください。
講演に登壇しました住永講師による、次世代リーダー育成についてのセミナーを実施いたします。
下記、関連セミナーより詳細をご覧ください。
次世代リーダー育成についての資料をお求めの方は、
下記より「次世代リーダー育成 プロジェクト案」がダウンロードいただけます。