いまどき新人を読み解く vol.3「で、いいや」「正解を検索」メンタリティを支える成長力

2015.12.18

【成長力編】1.「で、いいや」2.「正解を検索」メンタリティを支える成長力

前半では、いまどき新入社員の特徴を「5つのメンタリティ」としてご紹介しました。本編では彼らを早期戦力化するために身につけるべき力を「10の成長力」としてご紹介します。

この「10の成長力」は、「5つのメンタリティ」にそれぞれ2つずつ対応しています。また、研修場面だけではなく、職場でのOJTでも取り入れていただけるよう、育成ポイントも併せてご紹介します。

1.「で、いいや」メンタリティを支える成長力」

1-1:Must&Valueで考える

言われた以上のことしかやらない「で、いいや」メンタリティについては、Must(やらなければいけない最低限のこと)とValue(プラスαの価値となること)の2つに分けて考えさせることが有効です。出そうとしているアウトプットはMustだけになっていないか、Valueを加えるとしたら何ができるか、という観点で見直す習慣をつけます。貢献欲が高いことにも注目し、何をしたら相手が喜ぶのかという観点でValueを考えさせることも有効だと思います。

なぜMustだけではだめなのか、なぜValueが必要なのか。これを腹落ちさせるためには仕事そのものに対する捉え方にアプローチしなくてはいけません。入社時の新入社員研修(以下導入研修という表現で統一します)では社会人へのマインドチェンジが主テーマとなる企業が多いと思いますが、以下の点を中心に伝えることがいまどき新入社員には効果的だと考えています。

学生と社会人の違い

つまり仕事とは、常に相手があり、相手の期待を超える=価値を生み出すことであるということです。いまどき新入社員がこれまで育ってきた環境を見ると「人間として他者と関わる力」が圧倒的に鍛えられていないという、これまでの新入社員との変化があります。彼らが配属後、仕事や職場でつまずきやすい点を考えると、「仕事を通じて他者と関わる力」1点に絞り、学ぶ内容は同じでもアプローチを変えることが最も効果的だと思います。

近年では「相手目線に立つ」ことをコンセプトに導入研修を組み立ててほしいという依頼をいただくことが増えています。ここには、仕事で求められる人間関係と学生までのそれとは違うことに気付かせることも含まれています。具体的な関係づくりのためのスキルトレーニングも必要となりますが、その重要性を座学で頭で理解するだけでは不十分です。ある種、大きなパラダイム転換を求めることにもなりますから、なるべく社会人になりたての早い段階で体感知として学習させることが重要です。

やはり職場ではなかなか体系立てた学習が難しいテーマですから、導入研修の主テーマとして取り組むことに大きな意義があるでしょう。
その際、相手の期待を意識するためのキーワードを2つ目の成長力にあげています。

1-2:Why&What思考で考える

「で、いいや」メンタリティは「言われた作業をこなす」という思考につながります。ここで欠如している「仕事の目的意識」や「相手からの期待」を考えさせるため、Why(なぜこの作業をするのか)/What(何のためにこの作業はあるのか)という2つの問いを常に自問する習慣を身につけることが有効です。そのためには、あらゆる場面で私たちからWhy/Whatを問い続けるしかありません。

しかしこの問いを投げかけるにはコツがあります。
Why/Whatを聞かれた新入社員としては思考を巡らせるのですが、思いついた答えが間違っているのではないか、もしくは答えられないことに対してマイナスの評価をされるのではないか、という恐れから思考停止になったり回答を得られない可能性があります。


Why/Whatを投げかける際に重要なことは、正しい答えを導きだすことではなく、Why/Whatの視点が重要であることを理解させ、自問する習慣を身につけさせることにあります。むしろ、Why/Whatをきちんと捉えられるということはWhy/What思考が身についているということになりますので、新入社員の時点ではすぐに答えられなくても良いのです。

大事なことはWhy/Whatで自分の仕事を捉えようとしていたのか、ということです。その点を事前に伝えたうえで、質問を投げかけることがカギです。(詳細のコツは3つ目の成長力でお伝えします)

2.「正解を検索」メンタリティを支える成長力

2-3.ワタシ主語で語る

2つ目の「正解を検索」メンタリティに対しては、ビジネスに正解は無いということを理解する必要があります。その際、新入社員自身がどう感じたのかを言語化させる「ワタシ主語」で語る習慣を身につけさせましょう。

これも先述のWhy/What思考を鍛える際と同様、「あなた自身はどう思うの?」といきなり問うても評価を恐れてだんまりということが起こります。「ワタシ主語」を引き出すために、Why/What思考のトレーニングと併せて、おすすめしている2つのアプローチをご紹介します。

●思ったことを「キーワード」で語らせる
●内容ではなく、発言に対して「ナイストライ!」

あなたはどう考えるの?と意見を求めても、質問者が求める正解を言おうと反射的に思考を巡らせてしまいます。正しいことを言おうとしてフリーズしてしまったり、長々と要を呈さない話を始めるときには、彼らの強みであるキーワード力を生かして「感じたことをキーワードでいいから言ってごらん」と促します。同時に、評価を恐れて自分の意見を言い出しにくい新人には、内容に関わらず発言したことそのものを賞賛しましょう。

正しい答えを言うことではなく、自分が感じたり考えたことを発信することが大切であること、それによって周囲に貢献し、周りがあなたの存在を認めるようになることを理解できたらしめたものです。最初は自分の考えを発信することの心理的ハードルを下げることからスタートすることが有効です。

2-4.Do-CAPで量稽古

Do-CAPとは、PDCAをP(プラン・計画)からではなく、D(実行・実践)からスタートさせましょうという意味です。つまり、1にも2にも実践が大事、ということを理解し習慣化することです。

「正解を検索」メンタリティにおいては、正しいプロセスを探すという思考が働くことに加え、失敗を恐れるがゆえにP(プラン)からスタートするといつまでもD(行動)に結びつかないということが起こります。新入社員にとって、行動の質をあげていくためには絶対的な行動量がまず必要なわけですが、なかなか行動に結びつかないという話は良く耳にします。特に優秀(勉強ができる)で知識が豊富な新人ほどその傾向にあります。まずはやってみる、挑戦してみる、そしてたくさん失敗することが宝であるということ、また合わせて行動量を重ねることで成長するという感覚を、仕事のおもしろみとして体感知で学習できる場をぜひ導入研修で取り入れていただきたいところです。

導入研修も、学習→実践→振り返り、から実践→振り返り→学習という仕立てをお勧めしています。その中でDo-CAPの小さなサイクルをくるくるとたくさん高速で回すことで、小さな成功体験を持つことができると自走することができるようになります。
導入研修では、失敗からの学び取る力を鍛えることで失敗は怖くなくなるということを理解させたり、叱られノートを配属後にも書き続けることをお勧めしています(叱られノートについては詳細は後述します)。

楠 麻衣香
リ・カレント株式会社 若手人材開発事業部マネジャー中央大学総合政策学部卒。経営コンサルティング会社、外資系研修会社を経てリ・カレントに参画。社会人1年目の挫折が原点となり、現代の新人教育のあり方の 追求に取り組むようになる。大手企業を中心とした人材開発支援に携わる傍ら、ゆとり世代新入社員育成のための「ゆとレスプロジェクト」を発足しゆとり世代 にフィットした新人研修を開発。現在は講師として登壇する傍ら、同社マーケティングや新卒採用も担う。
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