【 新入社員研修】いまどき新人を読み解く5つのメンタリティと10の成長力<Vol.1>

2015.11.27



【メンタリティ編】

1.「で、いいや」

2.「正解を検索」メンタリティ

「ゆとり世代」ブームから5年、当時言われていた「ゆとり世代の特徴」は少しずつ変化してきたように思います。

このコラムは、リ・カレントが様々な企業の人材開発ご担当者様や研修現場で新入社員とお会いする中で感じられる「いまどき新入社員」の特徴を整理することで、今後起こりうる彼らのキャリア開発・育成上の課題を紐解き、育成方法について検討するための材料とすることを目的としています。
来年度の新入社員はもちろん、若手社員育成の一助となれば幸いです。

 

いまどき新入社員を読み解く3つのカギ


まず、いまどき新入社員の特徴を理解するために、大きく影響していると思われる3つの要素をみていきましょう。
1つ目は親子関係、2つ目に学校教育、3つ目が社会経済です。

 

 

1.親子関係
2016年の大卒入社予定の新入社員は1993年(平成5年)生まれですが、彼らの親は新人類と言われた世代。20~30代にバブルを謳歌、過度な受験戦争と管理教育の反動で勉強以外の個性を大事にしようという傾向があると言われ、親との対等な関係や、勉強以外の分野で自由にさせることを良しとしてきました。
「ともだち親子」「モンスターペアレンツ」という言葉が生まれた世代でもあり、それまでの親子関係・家庭環境とは異なってきたと言われています。

2.学校教育
ゆとり教育がスタートしたのが2002年、小学校3年生の時ですから、義務教育の大半はゆとり教育の中で育ちました。ゆとり教育というと、「学習要項の削減=学力低下」と結びがちですが、私たちがお会いする企業の新入社員は塾や個別指導などの課外学習によって受験戦争を勝ち抜いた人が多く、勉強についてはできる方が多い印象を受けます。

ゆとり教育の実態は、勉強以外の側面、例えば運動会の徒競走で見られた「手つなぎゴール」はその象徴とするところですが、そこで「1番になれる」という場が学校社会からなくなってしまったことです。

それまでの詰め込み教育からの脱却と応用力養成のため、個性をはぐくむことを目的とした施策でした。個性とは、集団生活で挫折・成功といった他者との関わりや、自分の得意とすることを極めたり熱中する活動を通じて徐々に「見つかっていく」ものだと思うのですが、実態は個性が見つかりにくい環境となったばかりか、「いろいろな1番」が存在しにくい学校社会において、他者と違うことがいじめへとつながっていきました。

さらにSNSというツールによっていじめが陰湿・悪質化したことで、なるべく目立たぬように、安全に無難に過ごすことで自分の身を守る、本心は気心のしれた限られた友人にだけ明かす、そうした思考を持つようになりました。

3.社会経済
バブル崩壊後に生まれた彼らにとって、ものごとは「努力すれば必ず良くなる」という実感値は持ち合わせていません。リストラを経験した家庭に育つ同級生は珍しくなく、働くことに夢を見るのは難しい中で育ちました。

そして携帯電話やSNSの台頭により、コミュニケーションとは「好きなときに好きな人と好きな形で間接的にとる」ものとなりました。

しかし、阪神大震災や9.11、東日本大震災といった生存欲求を揺さぶられる経験も多く、本当は人とつながりたい、役に立ちたい、貢献したいと思っているのにそのやり方がわからないという、私たちからするとある種のジレンマのようなものを抱えている人も多いように感じます。

いまどき新入社員には、以上の3つの要素が大きく影響しているといえるでしょう。

いまどき新入社員の5つのメンタリティ


メンタリティとは、意識する心理状態のことです。行動や発言の根底にある、通常、表には出てこない、人それぞれの内部統制の状態を指す心理学用語です。

いまどき新入社員がこれまで培ってきたメンタリティを理解することで、その強みを活かし、弱点を補強する形で育成につなげることが出来ます。いまどき新入社員の特徴を5つのメンタリティとして、その言動と併せてご紹介をしていきます。

1.「で、いいや」メンタリティ


先日ある人事の方が「ナゾな自分基準」とおっしゃっていたのが印象的です。よく聞いてみると、新入社員研修中のグループワークで10分間のディスカッションを指示したところ、5分そこそこで話を終えて黙って座っているグループがあり、「終わりました」と言うのだそうです。

内容を聞くと、それぞれが思っていることを順番に確認し、くっつけてまとめただけのアウトプット。こちらが求めているような「深まった議論」ではなく、「情報を集めたもので満足している」とのこと。

10分という時間を使い切らないことにも驚きですが、目的を意識せずに「ただ話して共有して満足」という状態に唖然とし、その担当者はいまの新人の「ナゾな自分基準」とおっしゃっていました。

リスクの多い時代に育ってきた彼らにとって、「より最上なものを求めて歯を食いしばって頑張りぬく」という概念は辞書にありません。人から抜きんでるように頑張ったことで嬉しかったり評価されたという原体験が減っているためです。「否定されないよう、間違わないように無難に安全に、正しいことをやる」ことで、身を守ってきました。

職場では、「指示された以上のことはやらない」と嘆く上司の話はいまや珍しくありませんが、新人にとっては「言われたことをしっかり正しくやることが良いこと」なのです。裏を返せば、とても素直で従順な人が多く、実に一生懸命です。言われたことは一生懸命実行するのですから、新人時代の仕事の進め方においてこんなに素晴らしいことはありません。目の前の指導者が自分に一生懸命関わってくれていればなおさら、その人の役に立ちたい!という思いから、より頑張ることが出来るという強みを持っています(この点は詳細を後述します)。

2.「正解を検索」メンタリティ


いまや「ググる」は一般用語となりました(英語圏でもgoogleは動詞として使われていますから世界的ムーブメントですね)。わからないことがあれば検索窓に入力し、ボタン一つで「正解候補」から「正しいものを選ぶ」ことで解消できます。

2つ目の「正解を検索」メンタリティは、
1.わからないことは、「検索すると見つかるもの」であること
2.「正解」は「自分の外側にあるもの」であること
という2つの側面を込めています。

以前テレビで、ある若い女優さんが、「わたし、趣味が無いんです。なので最近『趣味』ってググってみたんですよ」と真顔で話していてぎょっとしました。

しかし、まだ続きがあります。その話を受けた司会者は「で、趣味は見つかったの?」と半ば驚きながら聞くと、「はい、見つかりました。陶芸がおもしろそうかなって」との回答。「おお、それはよかったね。で陶芸はどう?」と司会者が聞き返すと、「まだやってないんです。どうやるのかわからなくてやり方を検索してます」と真剣に答えていました。

ビジネスにおいては、当然ながら「正解」というものは存在しません。いまや変化の激しい時代、過去の経験ややり方は通用しませんから、上司が答えを持っていないケースが増えています。自分で考え仮説を立てて実行して検証していく、その過程で先輩や上司に相談しながら自分の意図を持って答えをだすことが求められています。いわば、妥当解を出し続けることでその精度を高めていくことが「正解」ですし、ビジネスにおける唯一の正解は、「正解がない」ということです。

ですから職場も、新入社員には指示待ち受身ではなく、1を言ったら10やってくれる新人を求めるわけですが、そこにギャップが生じています。

正解を求めたい新人にとって、この感覚はおそらく大きなパラダイム転換が求められるでしょうし、なかなか頭でわかっていても体感知に落とすには時間がかかるように思います。「そもそも正解のないフィールドに来たのだ」ということを最初に、できれば職場配属前に理解できるかどうかで、その後の行動に大きく影響することは間違いありません。

一方で、そのサーチ力・情報処理能力には目を見張るものがあります。彼らは1つ興味を持つとそこから関連する情報を芋づる式に見つけ出すことに非常に長けています。
また、膨大な情報の中に暮らしていますから、情報処理能力が高く、難しい状況をキーワード化して整理することがとても上手です。

社内のナレッジを形式知化するプロジェクトで、1人の新入社員に目的と概要を伝えて解決策を考えてほしい、と仕事を依頼したところ、ある業務フローに関して誰もがわかるようなフロー表とマニュアルをとてもスピーディーに形にしてくれて驚きました。まさに情報処理能力、キーワード化力という強みを見た瞬間でした。これは先輩世代ではなかなか真似できない力だと思います。

次回は、いまどき新人のメンタリティ、
3.「クローズドマインド」メンタリティ」「4.「貢献あこがれ」メンタリティ」「5.「勝手にプレッシャー」メンタリティ」を紹介します。

楠 麻衣香
リ・カレント株式会社 若手人材開発事業部マネジャー中央大学総合政策学部卒。経営コンサルティング会社、外資系研修会社を経てリ・カレントに参画。社会人1年目の挫折が原点となり、現代の新人教育のあり方の 追求に取り組むようになる。大手企業を中心とした人材開発支援に携わる傍ら、ゆとり世代新入社員育成のための「ゆとレスプロジェクト」を発足しゆとり世代 にフィットした新人研修を開発。現在は講師として登壇する傍ら、同社マーケティングや新卒採用も担う。

 

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