2020年度の新人傾向・ハコ型新人

2020年度の新人傾向は、自分の内的世界にとどまる”ハコ型新人” いまどきの新入社員の可能性を育む育成施策とは?

2020.03.9

2020年卒内定者の入社を控えて、人事の皆様は導入研修や入社後フォローの準備など、日々お忙しくされていることと思います。

毎年、新人研修を担当する人事の方々や新人を受け入れる現場の皆様とのお話しのなかで、「新入社員が何を考えているか分からない……」というお悩みをお聞きします。なかには、新入社員がうまく職場で活躍できず、3年経たずに辞めてしまうという問題を抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

ただし、このような問題は新入社員だけの責任ではなく、育成する側でも新入社員の傾向をきちんと理解できていないため、新入社員の可能性を育てるという育成の関わり方ができていないことに原因がある可能性もあります。

今回は2020年の新入社員の傾向を理解し、新人の可能性を最大限に育む新しい育成施策についてお伝えします。

目次・いまどき新入社員の可能性を育む育成施策

  1. 2020年いまどき新入社員の傾向
  2. 新人自身の課題と新人の可能性について育成側が持つべき課題
  3. 2020年度の新人傾向は、自分の内的世界にとどまる”ハコ型新人
  4. 新入社員の「可能性」に目を向ける新しい育成施策

 

1.2020年いまどき新入社員の傾向

「最近の若手は、なかなか育たずにすぐ辞めてしまう……」そう感じている方も多いのではないでしょうか。これは、新入社員にとっての価値観のなかに「仕事は我慢、お金を受け取るためのもの」と捉える傾向があることに原因があります。

公益財団法人日本生産性本部の平成31年度「新入社員働くことの意識調査」によれば、

新入社員に対する働くことの意識調査によると、新入社員の「働く目的」の主な項目の1位は「楽しい生活がしたい」です。「経済的な豊かさ」も増加傾向にある一方で、「自分の能力を試す」「社会貢献」などは下降傾向にあります。

また、「人並み以上に働きたいか、人並みで十分と考えるか」という質問に対し、「人並みで十分」と答えた人が6割以上、「人並み以上に働きたい」と答えた人が3割以下にとどまり、この差は年々大きくなっています。

最近の新入社員は「仕事は給料のため、人並みに頑張る程度でかまわない」と考える傾向があることは他の様々な調査で明らかになっています。

そこで、いまどきの新入社員が持っている「仕事は我慢によって給料をもらうこと」という考え方・価値観を、「仕事は自ら価値を生み出すこと」と変換できれば、新入社員も職場で活躍できる人材に育っていくはずです。

では、新入社員が活躍できる人材に育っていくことを阻んでいる原因は何でしょうか。

2.新人自身の課題と新人の可能性について育成側が持つべき課題

これまで、新人が知らないことで起きうることを指導することが、新人の育成方法だと一般的に言われてきました。社会に初めて触れる新入社員は、コンプライアンスに抵触する可能性がある態度や行動については知りません。現場の社員にとって当たり前の行動も、新入社員にとっては当たり前でないのです。新入社員が意図的に問題を起こすことはしないので、その行動・姿勢の危険性と正しい方法を指導する育成側の施策は間違ってはいません。

しかし、新人に対して正しい方法を指導する、という育成だけで充分でしょうか。育成側である人事や現場で指導する上司や先輩が、新人の可能性についてしっかりと理解できているでしょうか。これは新人の問題ではなく、育成側の問題です。新人の可能性について、そもそも新人が可能性を持っているという観点から見なければ、知らないものについて褒めたり認めたりということもできません。

新人の可能性における育成側の無知について、その行動・姿勢の可能性を一緒に模索する。新人の可能性に光を当てる新しい施策が必要とされているのではないでしょうか。

3.2020年度の新人傾向は、自分の内的世界にとどまる”ハコ型新人”

いまどきの新入社員は、自分の枠内で思考・行動する傾向があります。

新入社員の特徴を3つのハコと枠組で説明しましょう。

 ①思考のハコ・考え方の枠:自己解釈を外すことが苦手

 △自己解釈の枠組みに囚われてしまい、周囲が意図したFBと新人の解釈がズレる

 ◎与えられた情報に対し、自らの考え・価値観を反映させて内省し、持論化することができる

なんでも手元のスマートフォンで情報を検索することが当たり前の世代。人の意見を聞くより、自分の解釈で物事を考えがちで、周りが期待したものと異なるアウトプットをする可能性があります。

一方で、適切に情報を提供することで、適切に解釈し、自分の意見を持つ力を持っています。

 

 ②安全のハコ・人間関係の枠:新しい挑戦・未知の世界が苦手

 △評価される/されない行動を入念に確認し、自らの行動を決める

 ◎安全だと感じる範囲内では積極的に行動することができる

いまどきの新入社員は、SNSで育った世代です。したがって、彼らにとってのコミュニケーションは、自分の好きな時間に好きな人とだけ関係性を持つという側面を持っています。彼らにとって、考え方が異なる人との関係を築くことは大きなストレスであるため、避けようとする傾向があります。

しかし、心理的安全性の保たれた関係性のなかでは、自分の能力を活かして、相手に貢献しようとします。

 

 ③関係のハコ・安全圏の枠:異なる考えを持つ相手との関係構築が苦手

 △周囲を自分と考え方が似ている人/似てない人に切り分け、似ていない人との関係構築を避ける

 ◎心理的安全性のある関係性に対しては、自分の能力を最大限に発揮して貢献しようとする

ゆとり・さとり世代の新入社員は、「手つなぎゴール」に象徴されるように、横並び一直線で進むように教育されてきました。このため、他の人がやらない未知の領域に自ら飛び込むことは苦手で、人からの批判を恐れます。

その反面、彼らが既知の領域と感じる部分、安全だと思える領域では自ら積極的に行動することができます。

界にとどまる”ハコ型新人”

このように、いまどきの新入社員が持っている特徴は、一面的にみれば短所に見えるところでも、育成側の新人に対する捉え方を変えることで、長所として育むことができることが解ります。

新入社員が自分の枠で考えて行動するように、新人に関わる上司・先輩もそれぞれの自分の枠で思考して行動してしまいがちです。そこで、これまで通りの新入社員が知らないことを指導だけでなく、育成する側も新入社員を積極的に知り、彼らの可能性を見る視点に切り替えることができれば、単なる短所を指摘するだけの指導から、新入社員のポテンシャルに光を当て、長所を伸ばす関わりへと変えることができるでしょう。

4.新入社員の「可能性」に目を向ける新しい育成施策

それでは、新入社員の「可能性」として、具体的に何を見ればよいのでしょうか。

育成の目標とするポイントとして、次の3つの項目が挙げられます。

 

 ①知識(専門知識、一般知識、商品知識、業界知識など)

 ②スキル(ITスキル、思考・発想、プレゼンテーションなど)

 ③姿勢(動機、モチベーション、想い、やる気、使命感など)

 

このなかで、「①知識」と「②スキル」は、会社での経験や学習が必要であるため、入社間もない段階では評価できません。つまり、新入社員の可能性を見る視点は、「③姿勢」です。

ただし、新入社員が入社後すぐに取り組む担当業務で、いきなり高度な専門知識・スキルが求められる難易度の高いものを担当することはできません。そのため、もともと入社前に持っていた動機やモチベーションを実現しづらい環境に陥る可能性もあります。

このような環境で、新入社員が仕事に対して動機付けられ、「想い」「やる気」を持って取り組むようになるためには、まず現場で指導する上司や先輩が業務を通じて「動機を言語化する」というサポートが重要です。

「このためなら頑張れる」という動機を言葉にすることで、新入社員の主体性が育まれ、自ら行動して知識やスキルを得る人材となる準備ができるのです。

 

新入社員が主体性を持ち、自ら価値を生み出す人材になるためには、まず育成側である私達が彼らの傾向を知り、新人の課題と育成側の課題を切り分け、育成側には新人の可能性に焦点を充てる視点の切り替えが必要であることを説明しました。

いまどきの新入社員が持っている特徴を「短所」と決めつけずに、彼らの特徴を理解して、育成のポイントとしては新人の姿勢、「想い」「やる気」に目を向けて、彼らの可能性を伸ばすような施策を行ってみてください。

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