2022.03.28

【意識調査】育成を担う社員の本音、「会社・組織のために必要な人材を育てる」観点は2割以下に留まる、育成関係者対象・人材育成に関する意識調査レポートを公開

リ・カレント株式会社(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:石橋真、以下「リ・カレント」)は、20代の若手自身の率直な考え・価値観を知ることが若手育成の設計に重要と考え、2020年から「働くことへの若手意識調査」と題した意識調査を定期的に実施し、結果を公開してきました。
一方で、現場で実際に若手社員の育成を担う中堅~管理職層の意識について「育成」という観点から深く掘り下げて扱う調査が少ないことに課題感を持ち、2021年秋に「育成責任者・育成担当者対象 人材育成に関する意識調査」と題した調査プロジェクトを立ち上げました。
今、若手社員を育てている社員たちが「仕事」や「育成」をどうとらえ・何を感じているのか、企業の人材育成に関わる方々に参考情報としてご覧いただけるよう、調査結果をレポートとして公開いたします。

◆調査概要
・調査対象:東京都で企業内の育成に関わる20代~60代1022名
・調査期間:2021年10月
・調査方法:選択回答及び自由回答式インターネット調査
※構成比の数値は、四捨五入のため 100%にならないことがあります。
※実際の東京都の人口構成に合わせるために、回収サンプルに重みづけを行っています(ウェイトバック集計)
※非有効回答を含まないグラフもあります。

本調査では、東京都の2250名を広く回答者としたうちから、さらに企業内の育成に関わる20代~60代1022名に絞った回答結果を示しています。また、より企業人事の皆様のご参考になるよう、育成における立場ごとに主要な設問への回答結果を比較しています。さらに、~2021年までの若手社員を対象とした調査における、価値観について聞いた同文設問の結果も比較掲載しています。

育成担当者・育成責任者意識調査結果・サマリー 育成を担う社員の本音

1.育成の目的=「業務指導」の観点に留まる回答が半数占め、「ポスト人材育成」の観点は2割以下に
育成観=「育成の目的の捉え方」について回答者自身の考えを問う設問では、育成の目的を「業務に関する知識・技術・技能を伝えること」(54.6%)と捉えている回答が半数を占めた。また、次点は「部下自身の目指す姿に沿ってキャリアアップを支援すること」(18.8%)となった。「会社・組織のために必要な人を育てる」としたポスト人材育成観点での回答は15.7%と2割以下に留まった。

2.働く理由「報酬を得るため」6割弱、組織は「報酬をもらう場所」が最も多く、若手意識調査と近似
仕事観=「何のために働くか」を具体的に聞くと「報酬を得るため」(58.9%)が突出して多くなった。また組織観=「所属組織をどのような場所と捉えているか」について聞くと、「業務の対価として報酬をもらう場所である」(35.0%)が最も多くなった。これらの結果はリ・カレントで~2021年4月に実施した「若手社員の働くに関する意識調査(以降若手意識調査)」の結果と同様のものになった。
若手意識調査内では、若手社員らも働く目的に「報酬を得るため」を最も多く回答し、組織観についても同様に「業務の対価として報酬をもらう場所」を答えている。

3.育てる・働くに関する価値観は立場の変化に反してほぼ変化せず
調査内では、実際に育成を担当している社員=育成担当者、育成の責任を負う社員=育成責任者(主に管理職を想定)、育成の実務者・責任者ではないが育成的な関りを持つ社員=メンターとそれぞれ定義し、育てる・働くに関する回答結果を比較した。しかし、育成の立場ごとの回答に有意な差異はほとんど見られなかった。

調査では、様々な角度から、育成に関わる回答者の価値観や育成についての考え方を明らかにしています。
その中から、主要な設問とその結果を以下にてご覧いただけます。
より詳しい調査の全文・結果読み解きなどは、無料ダウンロード資料にて配布しております。

【Q3】回答者が職場で育成で目指しているもの(職場における「育成の目的」として一番重きを置くもの)

 

【Q14】自身の所属する組織・会社に対してどのような考えを持っているか

 

【育成における立場ごとの比較】立場ごとにみる「育成の目的」

【若手調査との比較】「仕事観(働く目的・譲れないもの・価値観)とは何か」に対する回答の比較

【まとめ】育成を担う中堅~管理職社員の「価値観の未成熟」が疲弊を生むか、個の学習支援に加えて組織全体への支援が急務

調査前半では、育成観=「育成の目的の捉え方」や、育成に携わる自分の立場をどのように捉えているか問いました。
育成観について回答者自身の考えを問う設問では、育成の目的を「業務に関する知識・技術・技能を伝えること」(54.6%)と捉えている回答が半数を占めました。また、次点は「部下自身の目指す姿に沿ってキャリアアップを支援すること」(18.8%)となりました。
「会社・組織のために必要な人を育てる」としたポスト人材育成観点での回答は15.7%と2割以下に留まっています。

調査後半では、回答者自身の仕事観=「何のために働くか」や、組織観=「所属組織をどのような場所と捉えているか」について聞きました。
回答者が「何のために働くか」を具体的に問う設問では、「報酬を得るため」(58.9%)が突出して多く、全体の6割弱を占めました。次いで「自分が成長するため」(46.1%)、 「社会に貢献するため」(39%)となりました。
この回答結果はリ・カレントで~2021年4月に実施した若手社員の働く事に関する意識調査(以降若手意識調査)の結果と近似しました。若手意識調査内では、若手社員らも「報酬を得るため」を最も多く回答し、次いで「自分が成長するため」をあげています。

また、回答者が所属組織をどのような場所と捉えているか聞くと 「業務の対価として報酬をもらう場所である」(35%)が最も多くなりました。
この結果についても、若手意識調査での若手社員の回答と同じ順位(1位「業務の対価として報酬をもらう場所である」(26.3%) となりました。

また、今回の調査にあたっては、「回答者の立場」を集計軸にとり、「育成責任者(課長など管理職)」「育成担当者(OJTリーダーや先輩)」「メンター」の立場を持つ回答者が、 それぞれどのような育成観・仕事観を示すか詳しく調べています。(定義については調査内で詳述)
しかし、仕事観・組織観について、育成における立場ごとの回答の違いはほとんど見られませんでした。
立場ごとの違いがみられなかっただけでなく、若手社員対象の調査ともほぼ同じ回答結果が出たことから、本来若手社員の仕事観を育む立場であり、また若手社員の仕事観のロールモデルにもなるべき育成関与者自身の仕事観・組織観が、立場に伴って成熟していないことが読み取れます。

「育成」という側面に光をあてつつ仕事観・組織観などについても調査した今回の調査全体を通して、「何のために働くか」「なぜ組織に所属するか」といった自分自身の土台となる価値観・考え方が未成熟なまま、育成責任や担当職を与えられている中堅~管理職社員の姿が浮かび上がってきました。
また、彼らの多くは、「何のために育成を行うか」という育成目的についても、組織的に期待されうるポスト人材育成の観点を持てていないことも明らかになりました。
若手社員育成に取り組む際は、若手社員たちの学びを支援・設計することは勿論、彼らを実際に現場で育てる育成側の社員や職場環境にも目を向けていく必要があります
今後もリ・カレント株式会社は「組織学習デザインカンパニー」として、個人の学びを組織に拡げるネットワーク型の人材・組織開発をご支援してまいります。

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