1on1ミーティング導入定着のカギは 新人OJTとの連携にあり! ~来たる氷河期マネジャー時代を救う、唯一の施策1on1対話術~

2019.01.10

「ちょっと話があるんだけど」と上司から、あるいは「ちょっとお話が」と部下から――。
不意に2人きりでの対話を求められたら、みなさんはその瞬間、何を思いますか?
たいていの場合、“よくない話”を想像するのではないでしょうか。

相手が上司なら、小言に叱責、無理難題。部下や後輩なら、もしかすると「じつは会社を辞めたいんです」といった衝撃告白が、頭をよぎるかもしれません。
そんなふうに警戒心を抱く人が多いのも、そもそも日本の職場ではまだ、上司と部下があえて1対1で向き合うこと自体が異例だから。機会が乏しく、慣れていないのが現状でしょう。

最近、こうした対話の質・量を向上させる施策として、「1on1ミーティング」が有望視されていますが、たしかに経営トップや人事の関心は広がりつつあるものの、実際に現場への導入・定着となると、そう簡単にはいきません。
大切なのは、古い上下関係の常識にとらわれず、“いまどきの上司・部下”の特徴や世代傾向をふまえて支援することです。

今回は、各社で登用が進む“ロスジェネ(就職氷河期)”世代のマネジャーとその部下にあたる“いまどき世代”の若手人材の関係性に焦点を当て、新卒OJTのスキームに1on1ミーティングを連携させて取り入れる新手法をご紹介した、

1on1ミーティング導入定着のカギは新人OJTとの連携にあり!
~来たる氷河期マネジャー時代を救う、唯一の施策1on1対話術~

のセミナーレポートをお届けします。


OJTを通じて、企業の中長期的な成長を担う若手が自ら考え、行動し、成長していく自走体制を構築するためには、新入社員とOJTトレーナーだけでなく、OJT上長であるロスジェネマネジャーまで巻き込むしくみが欠かせません。それが、今回お伝えしたい、1on1ミーティングの活用術なのです。

「1on1」そして「OJT」「ロスジェネ」「いまどき世代」――セミナーはまず、これらの要素から成るテーマの全体イメージ(下図)を確認・共有するところから始まりました。

1on1は「上司が部下のために使う対話の時間」

「忙しくてやる時間がない」
「何を話していいのかわからない」
「業務の進捗確認になってしまう」
「1on1ミーティングをするほど信頼関係ができていない」

冒頭、参加者同士の自己紹介を兼ねたオープニングトークでは、1on1に関する印象や自社での推進状況、課題感など、各グループで自由に話し合っていただきましたが、はたしてこうした不安も多く聞かれました。導入・定着への壁の高さがうかがわれます。

そこで、まずは定義の再確認から。そもそも「1on1ミーティング」とは、本来、何を意味するのでしょうか。

簡単にいうと、1on1とは「上司が部下のために使う、1対1の定期的な対話の時間」のこと。楠講師は「とくに『部下のための時間』という認識が大切」と強調します。

1on1は『部下のための時間』であると組織全体として明確に打ち出し、実践する上司・部下双方に自覚を促すことが、1on1の目的や効果を実現するための第一歩です」

では、その目的や効果とは何か。業種や職種、組織の年齢構成、どの部署に導入するかなどによっても違いますが、中心になるのは次の3点です。

信頼関係の強化

上司からみると、「部下のことがよくわかる」ことが1on1の目的・効果の一つです。
また、「だれかとつながっていたい」欲求が強い世代である部下にとっても、「上司には自分のことをよく理解してもらっている」という心理的安全性が担保されます。

部下の自走習慣づけ

1on1は、経験→内省→概念化→挑戦……という経験学習のサイクルを回すための手段。
コーチングをベースに、部下自身が「自分で考え動く」力を身につけ、何が問題でその問題を解決するために必要な情報が何かを考え、自ら取りに行く習慣をつけるよう後押しします。

問題の早期発見

1on1が定着すると、さまざまな問題について、部下からより早く相談や不満、改善案が上がるようになります。
大火事になる前にアラートが発せられるので、上司は先手を打つことができるのです。

 

さらに、楠講師は「より具体的なメリットとして、評価面談の納得性が向上優秀層の離脱を防ぐ効果も期待できる」と指摘します。
上司としては、つい“手のかかる部下”に注意を向けてしまいがちですが、そうなると、優秀層が「自分はこれだけ成果を出しているのに……」と不満を募らせかねません。優秀な人ほど、注目してほしい、認めてほしいという「承認欲求」が強いからです。

もう一つ、1on1のポイントになるのが実施頻度でしょう。
定着・習慣化するまでは週1回30分程度、他にも2週間に1回や月に1回などが一般的に導入しやすい頻度のようです。一度習慣化した後は決まった日時設定をせずとも、例えば営業職であれば部下を同行させて顧客回りの合間に話すなど、「ちょっとずつをマメにたくさん」行うことが理想的です。

1on1が現場に受け入れられない理由とは何か

とはいえ、現実には1on1を導入しようとして、なかなか現場に受け入れられない/定着しないケースが少なくありません。それはなぜなのか。とくに多い反対理由として、講師は次の3つを指摘しました。

 

忙しい・面倒くさい――「いや、そんな時間忙しくて取れませんよ」

② 必要ない――「コミュニケーションならとれているから大丈夫です」

③ イメージがわかない――「『聴く』といっても……何を?」

 

いずれも現場のマネジャー、つまり上司側からの抵抗です。オープニングトークで共有した各社の事情と一致する部分も多く、参加者の方からも共感の声が聞かれました。

上司の多くはプレイングマネジャーですから、①の理由で難色を示すのは無理もありません。
むしろ、大切な部下のために一回30分程度の時間もつくれないと感じてしまう上司自身の余裕のなさに対して、組織としてケアすべきだと言えるでしょう。

②の理由で反対する上司の場合は、実際、部下が優秀で数字も上げているし、飲みに誘えばついてくるような関係性がそれなりに築けているようです。ただ、手応えがあるだけに、部下のちょっとした不満や不安、チーム施策に対する改善案といった“声を上げにくい声”までは、拾い切れていない可能性があります。

また、1on1は「部下のための時間」といっても、ほとんどのマネジャーは自分が部下だった頃、当時の上司からそうした扱いを受けた経験がないので、対話するイメージも、その効果の実感も湧きません。自分がされた経験のないサポートをしろと求められても、意味を感じられない。これが現場から③のような声があがるゆえんです。

こうして反対の原因を分析していくと、打つべき手が見えてきます。
リ・カレントが考える「1on1導入にあたって必要なしかけと支える力」は下図の通りです。

「コーチングの理論によると、『自己基盤』といって、コーチングを行う人自身の状態が満たされていないと、相手をうまく導いたり、後押ししたりできません。その意味では、まず誰よりもマネジャー自身が1on1を受けてみて、『いい!』という実感を体験すべきでしょう。自分の話を傾聴してもらうだけで、どれほど安らぎ、問題解決に近づけるか。その効果に納得できる機会を設けることが、しかけの一番のキモになります」

 ロスジェネマネジャーチームが企業の現場を担う時代

1on1導入に必要なしかけの中で、楠講師がもう一つ強調するのが「免罪符」の重要性です。
ちなみに、ここでは「免罪符」という表現を、組織内の批判や摩擦を抑えるための大義、名目といったニュアンスで使っています。

では、抵抗も少なくない1on1の実践を現場で推進していくためには、何を「免罪符」とすべきでしょうか。最も有効と考えられる導入施策は、新入社員育成を軸としたOJTとの連携。新人育成も、そのためのOJTも、企業として“やらないわけにはいかない”取り組みだからです。

具体的には冒頭で示したとおり、OJT上長のロスジェネ(氷河期世代)マネジャーと、その部下にあたる“いまどき世代”の新人およびOJTトレーナーとの間で、1on1を実践していく形になります。ただし、その上司も、部下も、先行世代と比べると人材としての特徴が大きく変わってきていることに、策を講じる側は留意しなければなりません。

一般的な傾向として、各企業では、今後3~5年で組織の世代交代が大きく進み、ロスジェネ世代がマネジャー、次世代リーダー層の大勢を占めるようになる一方、新卒採用の拡大により、“ゆとり世代”といわれるいまどき世代の新人・若手もさらに増えていくと予想されます。まさにロスジェネマネジャーチームが、企業の現場を担う時代に入ったといっていいでしょう。

ロスジェネは1971年~81年生まれ(47歳~37歳)で、バブル崩壊後の就職氷河期を経験した世代。
有名人では、ホリエモンこと堀江貴文氏やジャーナリストの津田大介氏、実業家で「GREE」開発者の田中良和氏、プロ野球の松坂大輔氏、絵本作家としても活躍するお笑いタレントの西野亮廣氏あたりが該当します。自身も同世代である楠講師は、企業で働くロスジェネの生態を、実体験も踏まえてこう分析しました。

「10代の頃まではまだバブルの雰囲気が残り、豊かな時代の記憶も刻まれているので、努力すれば結果は出る、挑戦すれば報われるという感覚を原体験としては持っています。しかし、社会へ出るときにこれが裏切られてしまったのです。
苦労して就職したものの、職場では大きな成功体験はなし。教えられたり育てられたりした経験もなく、準備期間もないままマネジャーに登用され、自力で数字を出してきたというタイプが多いのではないでしょうか。
そんなロスジェネだけに、古い体制にはうんざり。会社や上司の言うことは基本的に信じません。部下や後輩に対しても、『なぜ育てなければならないのか』『自力で上がってこい』というのがホンネです」

こう聞くと、ロスジェネマネジャーは、1on1には向かない上司のように思えますが、「がんばれば結果は出るという原体験があるので、1on1の実践が数字や成果につながるとわかれば、粛々と取り組むはず」と楠講師。導入にあたっては、やはり効果を実感する体験がカギになるでしょう。

いまどき世代の「5つのメンタリティ」を知る

一方、いまどき世代の新入社員(1995年生まれ)や若手社員の特徴を、彼らの生まれ育った時代背景から読み解いてみると、2つの大きな環境要因が浮かび上がってきます。「生まれたときから不況」と「IT化によるコミュニケーションの変化」です。

前者は、「がんばれば結果を得られる、目標を達成できる」というような右肩上がりの原体験が、いまどき世代には乏しいことを意味します。したがって、「上司から『目標を達成することに仕事の面白さややりがいがあるんだぞ』なんて言われても、まったく響きません。これは、ロスジェネマネジャーとの大きな感覚の差、パラダイムの違いです」と、講師は強調します。

また、物心ついた頃からIT環境に恵まれていたため、彼らのコミュニケーションには、取りたいときに取りたい相手と、取りたいだけ取る傾向があります。しかし、企業で求められるコミュニケーションは、取りたくない相手と取りたくないときでも取って、それを成果に結びつけなければならないものです。パラダイムの変化を促す必要があるのです。

リ・カレントでは、こうしたいまどき世代の特徴や傾向を「5つのメンタリティ」に表しています。

「メンタリティとは、いわば、そういう“眼鏡”をかけて世界を見ているという心理状態のこと。行動や発言の根底にあって、ふだんは表に出てこない心理的な内部統制の状態を指します。
いまどき世代が培ってきたメンタリティを理解することで、その強みを活かし、弱点を補強する育成につなげることができます」

5つのメンタリティをOJTというシチュエーションに当てはめると、新入社員とOJTトレーナー、それぞれにこんな人物像も見えてきます。

・新入社員:「言われたことはちゃんとやろう。教えてくれる先輩や上司のために頑張りたい。あれもこれも教えてください!」

・OJTトレーナー:「まだ自信がない。一生懸命に教えすぎる。新人との間で問題を抱え込んでしまう」

こうした特徴を持つ新入社員、OJTトレーナーにとって、先述してきたように「信頼関係の強化」「自走習慣づけ」「問題の早期発見」を狙いとした1on1ミーティングは有効な施策となります。

いまどき世代の新人・若手社員のメンタリティをよく掴み、1on1ミーティングを軸としたOJT体制を機能させることは、彼ら自身が考え行動し、成長していく自走マインドの醸成につながるのです。


今回セミナーでご紹介した1on1導入プログラムの詳細を含めた、1~3年目社員+OJTトレーナー育成体系の資料は下記フォームからダウンロードください。

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