「Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ))」それでも、会社が何とかしてくれると思いますか?~変革リーダーのへマインドセットに特化したプログラム体験~

2019.06.6

このセミナータイトルを見て、ピンときた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)」(変革か、死か)とは、“マネジメントの父”ピーター・ドラッカーの言葉です。変わることの大切さを説く至言として、Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)を挙げるビジネスリーダーは枚挙に暇がなく、国内ではファーストリテイリングの柳井正会長兼社長やカルビー元CEOの松本晃氏らがよく知られます。
この「Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)」をあえてタイトルに冠して、研修プログラムを開発するに至った背景には、経営者や人事担当者の皆様からお伺いした、自社の組織や個人に対する以下のような切なる声がありました。

「変わりたいのに変われない、変わってほしいのに変わろうとしない」
「現場は危機感どころか、やらされ感でいっぱい」
「教育研修は万策尽きた。何をやっても刺さらない」

マインドセットに関する知識や理論は世に溢れていますが、それらをただ頭に入れるだけの研修を受けても、その時は変われそうな気がするだけで、結局は変わり切れないことが少なくありません。目指すべき姿──ミッションやビジョンが肚落ちせず、各自が変革を自分事として決意するに至らないからです。

「Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)」は、「変革マインドの自分事化」に特化し、まさに“変革か、死か”という奥深いレベルにまで受講者の内省を導くプログラムです。反響も大きく、受講者の方々からは「衝撃を受けた。変わるために何をすべきかを痛感した」といった感想が多数寄せられています。今回のセミナーは、その“衝撃”の一端を人事担当者の皆様にご体験いただく機会となりました。

「Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)」それでも、会社が何とかしてくれると思いますか?~変革リーダーへのマインドセットに特化したプログラム体験~

なぜ対話してもモヤモヤするのか──バックキャスト思考とフォアキャスト思考

「『Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)』は、スキルではなくマインドに特化したプログラムです。したがって、万人に通じる型やロジックは出てきません。『こうすればマインドが変わる』というような体系だった理論の解説もありません」
セミナーの冒頭、堀井講師はこう口火を切りました。
「『マインドが変わる』を実際に体験し、その体感・実感を持ち帰っていただくこと──それが『Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)』の醍醐味であり、本セミナーの目的でもあります」
研修のなかで、変革へのマインドを自分事化するためのポイントは次の二つです。

・思ったことや感じたこと、自分の情動を自分の言葉で率直に語る
・ノンフィクションのリアルな物語を、実際に体験した当事者の言葉で聞く

こちらを踏まえて、本セミナーでもディスカッションや発表、変革者が登場する映像の視聴など、参加者の方々の体感・実感を深めるさまざまなワークが盛り込まれました。
まずはイントロダクションとして、一人ひとりが自社の現状を振り返り、課題感や問題意識を言語化し、4~5人ずつのグループで共有。ディスカッションしながら、改善に効きそうな打ち手をできるだけ多く洗い出し、評価・検討するというグループワークに取り組みました。

もっとも、このワークを行ったからといって、本当に効果的な解決策が導き出せるわけではありません。むしろ、参加した方は「対話をしながら、“モヤモヤした感覚”を抱いたと思います。じつは、そのモヤモヤする思考プロセスをあえて体感することがこのワークの狙いだったのです」と堀井講師は“種明かし”をします。

「みなさんがモヤモヤしたのは、全員が明確にイメージできる“ありたい姿”=ビジョンを設定・共有しないまま対話していたからです。そのプロセスをわざと省くことで、逆に、みんなで“同じ絵を描く”ことの大切さに気づけたのではないでしょうか」
ビジョンを明確にしないまま、漫然と現状改善を求めて、場当たり的に打ち手を重ねる思考パターンを「フォアキャスト思考」といいます。この思考パターンはこのセミナーで行ったワークに限らず、職場でもよく起こっており、変革の阻害要因になりかねません。変革を実現するために必要なのは、まずビジョンを全員で明確に共有し、明確になったビジョンから逆算していま打つべき手を考えるというフレームワーク。いわゆる「バックキャスト思考」です。

Changeanddie_Backcast

「ビジョンは理屈ではなく、感じ合うもの。イメージなのです。だから、全員で同じ絵を描くための濃密な対話が欠かせません」と、堀井講師は明言します。

バックキャスト思考への気づきは、「Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)」のマインドセットを学ぶ大前提といっていいでしょう。

Changeanddie_backcast_horii

理屈ではなく情動の人材育成が“できない悪循環”のブレークポイントに

イントロに続き、3つのパートから成るセミナー本編へ移ります。第1部「なぜ変革は止まるのか」では、組織と人材が思考停止に陥る要因や構造、変化への対応が必要な理由などをあらためて整理し、「Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)」導入の背景について理解を促しました。ポイントは以下の通りです。

・変化対応が止まっている組織では、「やるだけ損、言うだけ損」「言いたいことが言えない」といった風潮が蔓延し、社員のモチベーションが低下。組織全体が思考停止に陥っている。その主原因は、社員が自社の“外”を知らないことにある。

・個々の人材も、思考停止に陥りがち。その原因は年代によっても異なるが、現状への安住や当事者意識の欠如が大きい。思考を再起動させるには、五感を刺激することが効果的。

・日本企業の国際競争力は弱まるだろうという危機感が広がっている。競争力を高めるためには、人材の能力開発による独自性の高い商品・サービスの創出が欠かせない。しかし、それを担う肝心の次世代リーダー層は減少傾向にある。こうした“できない悪循環”が、多くの企業で変革を阻んでいる。

では、どうすればこの循環を断ち、変革を前へ進めることができるのか。
どこから手を付ければいいのでしょうか。

「理屈ではなく、イメージを語り、情動で周囲に働きかける人材の育成から始めるべき。『Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)』の導入がブレークポイントになる」と堀井講師は言います。「外を知り、外とつながり、外を巻き込むリーダーを創ることによって、個人ではなくチーム全体での創意工夫が促され、競争力の強化につながっていくはずです」

チェンジ・オア・ダイが必要となる背景

過去のchangeを自分の言葉で振り返ることで、未来のchangeに肚が決まる

本セミナーの第2部は「何が情を動かすのか」と題して、「Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)」のプログラムのポイントを参加者の方々に体感していただきました。

「Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)」の全体像は下図の通りです。マクロからミクロへ迫るストーリーで、change→challenge→creationへと誘導する学びの流れの仕掛けになっています。

チェンジ・オア・ダイ全体像

本セミナーでは主に上図の上半分にあたる、過去から現在に至るプロセスを取り上げました。

人が環境変化に適応して生き抜いてきた「歴史上のchange」から始まり、技術革新が社会・経済に構造転換をもたらしてきた「業界のchange」、企業が経営環境の激変を乗り越えた「自社のchange」、個々人の転機となった「自分のchange」──それぞれのchangeを語るストーリーを動画などで展開し、受講者の情動に働きかけます。
さらに、そうした過去の変化に対する自分自身の成功体験や、抵抗感、不安などを自分の言葉で語るワークを重ねることで、これらの変化を自分事化して、未来のchange(図の下半分)へと自然と意識が向かうようにするのです。
たとえば、「業界のchange」を語るストーリーとして、いわゆるスマート社会が実現する近未来=「Society5.0の時代」をリアルに表現した映像が紹介されました。しかし、現実には「Society5.0の時代」はもう目前なのに、そうした技術革新が自分や自分の仕事に何をもたらすかまで具体的にイメージするのは意外に難しいものです。映像を観た参加者の方々もいまひとつピンと来ない様子でした。

そこで、堀井講師がこんなメッセージを伝えました。

「インターネットも、スマートフォンやSNSも、いまではそれらがなかった頃のことを思い出せないくらい身近になりました。しかし、私たちはほんの20年前に情報化社会の到来、つまりSociety4.0へのchangeをたしかに経験したのです。“20年前の自分”をイメージして、次の2つの問いを考えてみてください」

Q1: 20年前の自分に「情報化社会」によってどんな未来になると教えてあげますか?

Q2:「情報化社会」に対応するために、20年前の自分へどんなことに挑戦してほしいと教えてあげますか?

この問いに対する答えこそが、目前に迫ったSociety5.0へのchangeに対応する際に、自分が大切にしたい価値観を表しているのです。堀井講師は「かつて経験したchangeを自分自身の言葉で振り返ることによって、次なる変化対応への不安や抵抗感が和らぎ、肚が決まるはず」と強調しました。

本気になれるビジョンを本気で語ることでしか不安や怖さは乗り越えられない

「業界のchange」に続いて、「自社のchange」の一例として取り上げられたのは、変化対応がライバルとの明暗を分けた「富士フイルム VS コダック」のストーリーです。
勝敗の行方は周知の通りですが、富士フイルムが成し遂げた事業構造の大転換は、同等規模の企業体では他に類を見ないほどドラスティックなものでした。フイルム需要の行く末をいち早く見定めた古森重隆CEOは、「社員の家族の笑顔を守りたい」との思いを内外に熱く語りかけ、“第二の創業”ともいうべき変革を牽引したといいます。

その物語を動画で共有し、感想や気づきをグループ内でディスカッションしたところ、心を動かされた受講者の方も多く、「『家族の笑顔』というビジョンは、全員が同じ絵をイメージしやすい」といった共感の声が上がる一方で、「立場的に偉い人が語るから刺さるのはわかるが、変わるために若い自分たちが一人で挑戦するのはやはり怖いし、不安だ」という正直な感想も出てきました。

それを受けて、堀井講師が語ります。「怖いとか不安といった情動に関わるホンネが出てきたのは、すばらしい! 学びの場がうまく機能している証しです。なぜ自分は変わるのが怖いのか。不安は本当に立場や年齢からくるものなのか。乗り越えるにはどうすればいいのか。changeをもっと自分自身に引きつけて深掘りしてみましょう」

そしてもうひとつ、今度は「自分のchange」を考えるためのストーリー動画が紹介されました。内容は、弱冠16歳でスマホ決済ビジネスを起業した、一人の日本の高校生へのインタビューです。激しい競争への危機感をあらわにしつつ、「全社会の全経済へ入っていきたい。手段はあるのだから、若さや経験の少なさは関係ない。やらない理由もない」と、ビジョンを語る若者の姿が印象的でした。

立場や年齢ではなく、誰よりも自分が本気になれるビジョンを本気で語ることでしか、changeへの不安や怖さは乗り越えられません。

「社員の家族の笑顔を守りたい」と語った古森CEOの決意。
「全社会の全経済へ入っていきたい」と未来を見すえる16歳の高校生の“熱量”。

マクロからミクロまでさまざまなchangeストーリーを体感した上で、参加者の方々はあらためて内省を深めるワークに取り組みました。これまでの失敗経験を語る「自己分析シート」です。

チェンジオアダイ 自分のChange 自己分析シート

「みなさん自身も、一人ひとり変わってきたからこそ、現在があるわけです。どのような局面で何を目指したのか。自らの個人的なchangeの変遷を振り返り、言葉にすることで、その時々に思い描いた夢や肚に決めたビジョンをイメージできるはずです」

私のビジョン”を“みんなのビジョン”へ──情緒的共感が組織開発のカギに

このようにして、changeを“私”という一個人のレベルまで落とし込み、本気でビジョンを見出そうとする取り組みは、「Change, or Die(チェンジ・オア・ダイ)」プログラムのハイライトでもあります。体験・体感された参加者のみなさまも、「変革へのマインドを自分事化する」とはどういうことか、それぞれに納得の表情を浮かべられていました。

今後、実際に自社を変革していくためには、さらに“私のビジョン”を“みんなのビジョン”へと展開・浸透させる、組織開発のプロセスが欠かせません。フォロワーシップを発揮し、個人ではなく、チームで新しいchangeを創る。そうすれば、先に参加者の方の懸念としてあがっていた「変わることへの不安や抵抗感」も乗り越えられるはずです。

本セミナーではその乗り越え方として、組織開発における「情緒的共感」の重要性についてお伝えしました。ビジョンを語るなかで、「なぜ」(Why)を語ることで脳の大辺縁系にある情動が突き動かされてハイモチベーションの状態になることは、科学的にも明らかになっています。そのためにも、「1人のWhy」ではない「みんなのWhy」になるまで繰り返し語ることが大事になります。

また、何を目標とし、何を使命とするかを語ることから、自社のchangeに繋げることもできます。キリンビールでは、飲酒運転が世間で問題視されていたことから、当時26歳の女性社員が「飲酒運転を社会から撲滅する」という使命を抱き、自分の使命ではなく、みんなの使命にしたいとことあるごとに伝えることでみんなの使命となり、世界で初めてアルコール度数0%のノンアルコールビール開発に繋げることができました。ほかにも、ラグビーワールドカップ2015で優勝候補の南アフリカに奇跡の逆転勝利を収めた日本代表チームのエピソードなども、changeが起きた事例として取り上げられました。

情緒的共感をどのように現場に展開するのか?~階層別教育・組織開発への応用

さらに、第3部「どのように現場に展開するのか」(階層別教育・組織開発への応用)では、実際に情緒的共感を職場でのチャレンジに結びつけていくための方法論や具体的なアイデア例が示されました。例えば、他責思考から自責思考へ転換する方法として、自分の使命なのか、会社の使命なのかを確認しながら、自分事にするためのチェックリストなどのツールを取り入れることも有効な方法です。

また、堀井講師から職場のタスクにchangeをもたらすために必要な「腹落ちをした目標設定の三つのステップ」として、「1.腹決め現状把握」→「2.腹割り対話」→「3.腹落ち目標設定」の仕方も示されました。
まず、不都合な真実も必ずデータと突き合わせ、定量定性どちらも抽出した上で、腹を割ってメンバー間で対話することで共感を生み、評価のためではない成長実感が得られる、腹落ちした目標を設定することができるというものです。

なぜ対話が必要か。それは、自らが言いたいことを言うと、相手の意見を受け入れる準備ができるからです。たとえば部署間やメンバー間で対話を通して本音で話すと、何が自分たちの強み・弱みかを把握できるため、自分事として捉えることができるようになります。

チェンジオアダイ-自社のミッションを考える

今回のセミナーは「なぜ変革は止まるのか」「何が情を動かすのか」「どのように現場に展開するのか」の3部構成でお伝えしました。本セミナーをきっかけに、現場で少しでもトライし、組織に眠る能力を引き出し、自社を変革していくchangeに繋げていただければ幸いです。

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