2021.10.27

【セミナーレポート】脱「頭でっかち」問題解決研修!現場実践を阻む5つの壁を乗り越える

「毎年、問題解決をテーマにした研修をやっているけど、毎年似たような現場実践課題が出ている気がする」
「社内で繰り返し問題提起がされていても解決に至っていない」

問題解決スキルの育成に取り組む人事の皆様から、よくこんなお声を耳にします。

一方、実際に問題解決に取り組むリーダー層は、現場からこう訴えています。

 「問題解決が出来るもできないも上司次第」
 「問題解決が出来るもできないも部下次第」
 「本音を言えば、誰かが勝手に解決しておいてほしい」
 「変革を起こすリスクは小さくないので、現状維持が一番だと思っている」

せっかく問題解決の手法を理解することが出来ても、行動に移すことが出来ていない…あるいは「移したくない」現状が多く発生しているようです。

「問題解決につながらない”頭でっかち”研修やめませんか?

とやや挑戦的に題した本セミナーでは、問題解決の手法を「知ってはいても実践できない/やりたくない」の壁をいかに越えていくかをお伝えしました。

これまで多くの問題解決研修に登壇し、だからこそ「研修」だけでは実践できないことに強い課題感を感じてきた森仁講師が、現場の「ぶっちゃけ」「とはいえ」を明快に拾い上げて解説します。

目次
1 なぜ「問題解決研修」は「問題解決実践」につながらないのか?
1.1 現場実践を阻むのは「やってみたら損をした」経験の学習
2 新・問題解決ワークショップのススメ:「とにかく何でもありでやってみる」から始める
2.1 現場実践「したくない」を取り除く設計の工夫
3 ワークショップ受講生の声~「安心感」がもたらす問題解決”行動”
4 問題解決は「やらせる」と成功しない!「やるだけ損」をまずアンラーニングせよ

なぜ「問題解決研修」は「問題解決実践」につながらないのか?

セミナー冒頭では、参加された人事の皆様が「問題解決研修に期待するもの」をずばり聞きました。
やはり、「学習内容を使って職場の問題解決をしてほしい」との回答がほとんど。
「学んでほしい」にとどめた方はいませんでした。

森講師は、一時期は週に一回のペースで問題解決研修に登壇していたという問題解決のエキスパート。だからこそ、アンケートでも表れた「“学ぶ”の先に進まない…」というお悩みに強く共感します。
研修後のアンケートは評価も高く、受講生もよく学んでくださっていて理解も深い。人事部からも「来年もよろしくお願いします」とお声かかりがある。
しかし、2年・3年と研修を続けていく中で
同じ部署から、同じ問題が引き続いて問題としてあがってくること
に気づかざるを得なかったといいます。

「もしかして、学んだ問題解決は現場で実践されていないのか?」
改めて受講生の研修後アンケートを調べ直した結果、以下のような発言が抽出されてきました。

現場実践を阻むのは「やってみたら損をした」経験の学習

なぜ、学んだ問題解決手法を実践できないのか?
森講師は、
「やってみただけ『損をする』、という学習をアンラーニングしない限り、問題解決を学んでも人は動かない」
と結論づけました。

・職場の問題を指摘したのに「それは君にやってほしいことじゃないから。」とばっさり拒絶。
・「こうしたらいいのでは?」と提案したら、「じゃあやっといて!」と自動的に仕事が増える。
・問題解決を実践してみたら「なんでこんなことやってるの?」と後から否定される。
・「もっとこういうふうにやればよかったのに」と後出しで批判される。

などなど……。
問題解決実践に取り組んだ多くの人は、「ああ、こんなことならやらなきゃよかった」を積み重ねてしまいます。

そうでなくても、論理的なフレームでよく言われる「必須であり緊急度が高い」課題、最優先で取り組んだほうがいいことはわかっていても、いざ自分が主体者として取り組むとなると…となるのが人間として当たり前。
「え?わたしがやるの?」となるのが本当のところではないでしょうか。

論理的に正しい問題解決手法、問題提起があったとしても、それが「個人のモチベーション」につながらない。
それどころか、現場に持ち込むことで生まれる様々な負の反応を受けて、実践者が「やるだけ損」を学習してしまうのが、問題解決の難しいところなのです。

問題解決を真に実践へ導いていくためには、「“賢く”“合理的に”考えれば、取り組まないほうがよい(損をしない)」という現場実践からの学びをアンラーニング(これまで学んできた知識を捨て新しく学び直す)することが必要になるのです。

新・問題解決ワークショップのススメ:「とにかく何でもありでやってみる」から始める

「“やるだけ損”をアンラーニングすることからスタートするワークショップをつくってみよう」
そんな森講師の発想から生まれたワークショップは、この「やるだけ損」のモチベーション・周囲の負の反応という壁に着目し、「手法・知識の習得」ではなく、「まずはとにかく問題解決方法をとってみる」ことから学習を始める設計になっています。
従来の問題解決研修とは、いわば学ぶ順番を逆転させているのです。

このワークショップでは、
△問題解決の手法・知識を学ぶこと
を目的においていないのは勿論、ワークショップ後の実践においても、
△職場の問題を“解決する”こと
をも、一旦目的から外しているのが特徴です。

森講師によれば、ポイントは「範囲をとにかくしぼる」こと。
「問題を解決する」に目的・目標をおいて実践しても、前述の様々な壁に阻まれ、すぐには難しいのが多くの職場での現状です。
「やるだけ損」をこれ以上学習させないためにも、「問題解決をやってみる」を目的におくのが非常に重要なポイントになるのです。

ワークショップ内でのワーク、ワークショップ後の実践は、この「壁を超えるためのチーム学習サイクルモデル」に基づいて設計されています。

知識→実践の直線構造ではなく、
問題解決行動を実際に行うなかで起こり得る様々なことを、清濁あわせて「体験」しながら、よりよい学習・実践を生み出していくサイクルになっています。

図の中で表されている黒く細い矢印は、これまでの「ひとりで行う問題解決」において、実践から離脱してしまう際の壁・負の感情を表しています。
このサイクルモデルでは、これに対し、負の感情に対しても「チームで体験」の中に組み込んで対処していきます。理想論・根性論では続きにくい実践を、実際に行動する人の立場・感情に寄り添って設計することで、より現実的にしているのです。

現場実践「したくない」を取り除く設計の工夫

各ステップでは、障壁になりやすい負の感情にチームで対処する工夫が細かくこらされています。

例えば、どんな問題解決行動をとってみるのか、アイデアを発散するフェーズにおいては、
「ドラえもんのポケットでなんとかする」を発案してもよい、と森講師は言います。
そんなの現実性がない、というのが当然の反応。ですが、実際に行動案を発案する際、
 ・現実性がない……
 ・自分の権限ではできるわけがない……
 ・予算がつかない……
といった「ないない探し」でアイデアが枯渇し、無言になってしまうのが、これまでの問題解決実践ではよく見られました。
一旦すべての制限を取り外し、“なんでもあり”の解決策アイデア出しをチームでどんどん行っていくのです。

その後、実行に移すための準備段階で、改めて予算や権限などの条件を設定し、たくさんのアイデアの中から、実行するものを選んでいきます。
選んだ最後にチームの中から実行の「担当者」を決めていきますが、ここまで「なんでもあり」を強調して進めてきているため、かなり実行へのハードルが下がるのも副次効果。意外にも、自分から手を挙げて担当してくれる参加者が多いそうです。

また、実践に際しても、「実行のハードル」を限界まで下げ、とにかく問題解決行動を“とる”重点をぶらしません。
ワークショップ後の実践を踏まえ、また短いワークショップが設計されていますが、その際持ち寄るのは「問題解決の成功例」ではなく、「行動結果=とにかくやってみた結果、何が起きたか」を持ち寄ることを事後課題とします。

その行動結果が仮に大失敗だったとしても、周囲からの負のリアクション・やはりチームが機能しなくなってしまったという体験であっても、それそのものを次回のワークショップで持ち寄ります。そして、また次の行動に向けて一緒に学び、「なんでもあり」で考えていくことで、失敗や機能不全で問題解決行動が止まってしまうことを防ぐのです。

詳しいワークショップの内容・現場実践の設計事例を含めた詳細資料は以下からご覧いただけます

ワークショップ受講生の声~「安心感」がもたらす問題解決”行動”

セミナーの締めくくりでは、実際のワークショップご支援の中から寄せられたお声を紹介しました。

・情報や思い・感情を共有し、話し合う機会をチームで持つことができた
安心感を得た
・これから実行したいことを全部上司に見せることができた
・一人で出す意見と、話し合って出す意見では、問題点やアイデアにかなり差があった

など、これまでの問題解決研修では伺えなかったお声が多く見られます。

特に安心感といったキーワードは、これまでの研修に大きく欠けていたものです。
「失敗してもよい・うまくいかなくてもよい・ひとりで頑張らなくてよい」という実感が生まれていることがよく表れています。これらは、セミナー冒頭で大きな課題となった「やるだけ損」の負の経験学習の解きほぐしが成功しはじめていることでもあるのです。

問題解決は「やらせる」と成功しない!「やるだけ損」をまずアンラーニングせよ

森講師は、問題解決が阻まれている要因として、
「“問題解決をやらせる”と絶対に成功しない」
「問題解決を”やらないメリット”が結果を上回っている限り、現場では実行されない」
ということをセミナーの最後でも強調しました。

これに対処するためには、チームアップし、実行のハードルを極限まで下げ、
「問題解決をちょっとだけやってみて、しかも楽しかった」という経験をデザインすることで、「やるだけ損」経験のアンラーニングを行っていくことが何よりも重要です。

もし、自組織で取り組む問題解決研修が、「学びっぱなしで終わり」「職場の問題解決につながっていない気がする」という方は、是非一度、この新しい問題解決ワークショップを実践してみませんか。

詳しいワークショップの内容・現場実践の設計事例を含めた詳細資料は以下からご覧いただけます

 

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