2018.08.10

人生100年時代の“ 航海図 ”を描く! 50代から考える「トリプル・キャリア」【第3回】トリプル・キャリアで、定年後も稼ぐための「コミュニケーション術」<その1>

監修者
大杉 潤(合同会社ノマド&ブランディング/リ・カレント プロフェッショナルパートナー)

『定年後不安: 人生100年時代の生き方』(角川新書)の著者であり50代キャリアの専門家、
大杉 潤講師による連載コラム!

50代社員が定年後を見据えつつ、モチベーション高く会社に貢献するための「トリプル・キャリア」の考え方を伝授します。

トリプル・キャリアで、定年後も稼ぐための「コミュニケーション術」<その1>

 前回は、平均寿命が延び続け、「人生100年時代」と定年後の人生が長くなっていく中で、定年後も働いて稼ぎ続けるためには、どんな準備をすればよいかという観点から、まず「時間術」について見てきました。

前回取り上げた「時間術」とはずばり、40~50代における時間の使い方です。
定年後も元気に働き続けている人の中には、40代に大きな挫折を経験している人が多い、ということをお話ししました。

それは、現役でいる早い時期に、自らの人生を振り返り、新たな人生設計に踏み出したことによって、結果的に長く働き続ける基盤を築いた人が多いためです。

人は仕事が順調に進んでいるときは、人生を俯瞰する、ということがなかなかできないもので、何らかの出来事があって、人生設計を見直すチャンスがあった人はむしろラッキーだとも言える、ということでした。

戦略的に準備すべき4つのスキル その2「コミュニケーション術」

さて今回は、定年後も稼ぎ続けるために「戦略的に準備すべき4つのスキル」その2として、コミュニケーション術について述べてみます。

定年後の3大不安は、お金・孤独・健康ですが、とくに大手企業の会社員や公務員の人たちに多いのが「孤独」の不安です。

1つの組織にずっと勤め続けて定年を迎える定年退職者の場合、退職と同時に、会社関係の人間関係がパタっと切れてしまい、他に何のコミュニティーにも属していない人が多いのです。

とくに仕事一筋で、確たる趣味もなく過ごしてきた男性会社員の場合は深刻です。自宅にいる時間が長くなって、奥さんから煙たがられたり、あるいは行くところがなくて、図書館にずっと居座って時間を潰したりしている高齢者をよく見かけます。

そういう生活を続けていると、生活にメリハリがなく、次第に規則正しい生活も緊張感を持った一日の過ごし方もできなくなり、働くことからも遠ざかってしまうでしょう。

そうならないためにはどうすればよいか?

私がお勧めしているのが、サードプレイスという、第1の場所である「家庭」、第2の場所である「職場」とは違った、第3の場所と言えるコミュニティーを、現役の会社員の時から持っておくことです。

このサードプレイスでの人間関係を構築できれば、定年後にすべての繋がりが失われるということはなくなります。では、このサードプレイスとはどんなイメージのコミュニティーなのでしょうか?

アメリカの都市社会学者のレイ・オルデンブルグTHE GREAT GOOD PLACEという書籍の中で、「サードプレイスとは、第一の家、第二の職場という場所での役割から解放され、一個人としてくつろげる居心地のいい場所」と定義しています。

具体例として、イギリスのパブやフランスのカフェなどが、地域の文化や国民性が生み出す情報交換・意見交換・活動の拠点として、存在していることを挙げています。

米国シアトル発祥で、今や世界中にカフェをチェーン展開するスターバックスは、もともとこの本で提唱するサードプレイスを店舗コンセプトにして事業展開をしている、と言われています。

こうした場所に集う目的として、例えば私の場合は、本が好きな人が「まちの本屋」に集まって行う「読書交流会」や、会社員を中心に「新しい働き方」を考えるトークショーイベントを毎月、開催しています。

そうしたコミュニティーに所属して活動したり、自らコミュニティーを主催したりする場合に重要になってくるのが「コミュニケーション術」なのです。

よく地域のコミュニティーに溶け込めない人の例として、大手企業の経営幹部だった人や公務員や教員の管理職経験者が、現役時代の肩書や職制をひけらかして威張った口のきき方をしてしまい、コミュニティーのメンバーから敬遠されてしまうことがよくあります。

コミュニケーションの基本はまず、相手の話をよく聞くこと。つまり「傾聴」のスキルが大切なのです。

そして、さらに話を深めるためには、相手に興味を持って「質問」すること。自分の話をきちんと聞いてくれて、質問までしてくれる人のことを悪く思う人はまずいません。ですから、コミュニティーに参加する最初の段階で、まずは第一の「傾聴」と、第二に「質問」のスキルを磨いておくべきなのです。

そうして信頼関係の基盤が出来てから、自らのことや自分の意見・主張・提案などを伝えていくのがよいでしょう。

伝える際に大切なのは、相手のタイプをよく見極めることです。人にはいろんなタイプがいて、私はよく、「自分の感情を表に出す / 出さない」を横軸に、「自己主張が強い / 弱い」を縦軸にとってマトリックスで4分類するタイプ分けの話をします。

これはコーチングの分野でよく使われる分類で、株式会社コーチ・エィの鈴木義幸氏が書いた『熱いビジネスチームをつくる4つのタイプ コーチングから生まれた』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)では以下の通り、分類しています。

人間の性格は、おおざっぱに言えばこの2軸で分けた4つのタイプに分類できて、それぞれコミュニケーションの取り方にクセがあるのです。

  • コントローラー(感情表出低い / 自己主張強い)
  • アナライザー(感情表出低い / 自己主張弱い)
  • プロモーター(感情表出高い / 自己主張強い)
  • サポーター(感情表出高い / 自己主張弱い)

それぞれのタイプの組み合わせによって、コミュニケーションの取り方が違うために、人によって感じ方が異なってくるのです。

そこを十分、考慮した上で「伝える」ことが大切で、「コミュニケーション術」のキモになってきます。

 

そのあたりの詳細については、次回に、「コミュニケーション術」<その2>として、お伝えしていくことにしましょう。

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