人生100年時代の“ 航海図 ”を描く! 50代から考える「トリプル・キャリア」【第7回】トリプル・キャリアで、定年後も稼ぐための「情報リテラシー」 <その3>

2018.10.31 / Written by 大杉 潤(合同会社ノマド&ブランディング/リ・カレント プロフェッショナルパートナー)

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トリプル・キャリアで、定年後も稼ぐための「情報リテラシー」 <その3>

今回は、人生100年時代に、「トリプル・キャリア」という人生設計を立てて、長く働き続けるために必要な「戦略的に準備すべき4つのスキル」の3番目として挙げた、「情報リテラシー」の <その3>として前々回、前回に引き続き「情報インプット」について説明しましょう。

定年後の「お金」や「孤独」の不安を解決するために「情報リテラシー」が鍵になることをこれまで述べてきましたが、まずその基礎となるのが情報インプットです。インプットは、何歳になっても「知的生活習慣」を持って日々、過ごすためのベースですが、21世紀に入ってからはインターネットによる情報収集が存在感とウエイトを増してきました。

20代、30代の若い人たちの間では、紙の新聞を読まないのが当たり前になっていて、一人暮らしの若者の殆どは、そもそも新聞を取っていません。

そうなるとニュースをはじめ、日々の情報はインターネットから取ることになりますが、今回は「ネット情報」に依存するリスクについて説明したいと思います。
リスクは大きく3つあると私は考えていて、リアルな情報ソースを併用することが必須だと考える理由でもあります。

ネット情報に依存するリスク①:情報の信頼性

元日本経済新聞記者の松本薫氏は、著書『「ポスト真実」時代のネットニュースの読み方』(晶文社)において、「ネット情報を活用する際に、“ おおもとの発信主体が何なのか ”を意識することは非常に重要です。これは、ネット情報は引用や転載が容易だからです。」と注意を呼びかけています。

ネットは速報性、リアルタイム性が強みではありますが、「訂正を前提としたメディア」という側面があり、未完成でも取り敢えずリリースして、あとで修正すればいい、という文化です。

これは、新聞や書籍などの紙媒体がいったん公表してしまうと情報が固定され、それを訂正するには大きな手間やコストがかかり、信用も傷ついてしまうのと対照的です。そのため紙のメディアでは事前のチェックを厳重に行うなど、プロの手による工程を何重にも経て世に出るために「情報の信頼性」が高い、と言えるのです。

ネット情報の場合は、2016年に大きな社会問題となったDeNAが運営する健康・医療系キュレーションサイト「WELQ」に掲載された記事が、他のサイトの内容を盗用したものだったり、科学的根拠に基づかないものが多数あったりしました。

ネット情報のみでインプットをする場合には、「情報の信頼性」を何らかの形で担保しないと非常に危険だと言えます。

日本でも有数の情報通として知られる二人、元NHK記者の池上彰氏と元外務省・主任分析官の佐藤優氏の共著による『僕らが毎日やっている最強の読み方 新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意』(東洋経済新報社)では、二人ともに最も重要なニュースおよび情報収集のソースが「紙の日本語の新聞情報」ということです。

では、情報の信頼性以外に、なぜ紙の新聞は情報インプットに有効なのでしょうか?

ネット情報に依存するリスク②:情報の俯瞰性や発想拡大に対する制約

ネット情報の場合、画面が比較的大きいパソコンでさえも、画面に表示される範囲はそれほど広いとは言えず、紙の新聞の場合の一覧性に比べて、どうしても視野が狭くなってしまう弱点があります。

自分が意識して見に行く情報だけをインプットするのがネット情報の特徴です。まして、現在はスマートフォンによる情報収集がメインになりつつあり、画面の制約がより強くなっているのです。

それに対して、紙の新聞では、見ようとしない記事についても見出しやリード文くらいは目に入り、何となく記憶として残ることになります。

またいっぺんに画像として取り込むことが可能なのも、紙の新聞の利点で、右脳を使ったインプットとなりスピードも速く、印象への残り方もデジタル情報に比べて長いのではないかと感じます。

この紙の新聞による「一覧性」や「俯瞰性」という特徴は、情報や発想の広がりという面と、また大量の多様な情報をいっぺんに印象に残る形で取り込める、というインプットの効率性という2つの面で、ネット情報に比べ優れていると言えるでしょう。

記事との偶然の出会いがあるのは、私たちが本を選ぶときに、ネット購入だけでなく、リアル書店に足を運んで棚を眺めると、思いもかけない良書との出会いがあるのと似ているかも知れません。それが、アナログ情報、リアル情報が必要なゆえんです。

ネット情報に依存するリスク③:表示される情報の偏り

最後に、ネット情報は自分が気がつかないうちに、大きく偏った情報のインプットになってしまうことを挙げておきます。

私たちがネットで情報を得ようとするときに、多くの場合、検索エンジンを使って調べることになります。
その検索エンジンは、今やどの検索サイトを使ってもグーグルのアルゴリズムが採用されていて、そこに情報の偏りリスクがあります。

それは一人ひとりの過去のサイト閲覧履歴、検索履歴、その他個人情報としてグーグルが収集し蓄積している検索者の年齢・性別などの属性、興味関心、趣味嗜好にマッチした検索結果を上位表示する仕組みになっているためです。

もちろん、一人ひとり検索結果は違ってきますし、検索者にとって都合のいい情報、耳障りのいい情報、興味関心の高い情報しか表示されません。
それはグーグルが、表示させるネット広告を主たる収入源とするビジネスモデルになっているためです。
そうすると、求めている情報には最速でピンポイントで到達することにはなりますが、それ以外の情報や意見などに出会う機会がなくなってしまうのです。

以上の仕組みで私たちはネット情報をインプットすることになるため、個人個人それぞれでどうしても情報の偏りが出てしまうというわけです。

さらに怖いのは、知らず知らずのうちに自分がインプットする情報が同じ意見や興味関心の情報ばかりになってしまい、そのことに気づかないことなのです。

今やインターネットによる情報の速報性や多様性、さらに影響力を活用しないことは現実的ではありません。
但し、これまで述べてきたネット情報が持つ3つの特性、①信頼性の低さ、②俯瞰性(広がり)の制約、③極端な偏り、については十分認識する必要があるでしょう。

したがって、情報インプットについては、ネットとリアルのどちらか一方ではリスクが大きく、両者のバランスが重要となります。

 

以上で、「情報リテラシー」のインプットについては終了とし、次回は「情報のアウトプット」について解説していきましょう。

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