人生100年時代の“ 航海図 ”を描く! 50代から考える「トリプル・キャリア」【第13回】トリプル・キャリアで、定年後も稼ぐための「健康法」 <その4>
- 監修者
- 大杉 潤(合同会社ノマド&ブランディング/リ・カレント プロフェッショナルパートナー)
『定年後不安: 人生100年時代の生き方』(角川新書)の著者であり50代キャリアの専門家、
大杉 潤講師による連載コラム!
50代社員が定年後を見据えつつ、モチベーション高く会社に貢献するための「トリプル・キャリア」の考え方を伝授します。
人生100年時代に、「トリプル・キャリア」という人生設計を立てて、長く働き続けるために必要な「戦略的に準備すべき4つのスキル」を順番に解説してきました。
- 時間術
- コミュニケーション術
- 情報リテラシー
- 健康法
これまでの1~3番目のスキルについて詳しく知りたい方は、下記から総集編冊子をご覧ください。
今回はその4番目「健康法」について、<その4>各論としての具体的な健康法の中核である「運動法」について、お話ししていきましょう。
「運動」による健康法には4つの柱がある
先に紹介した東京大学高齢社会総合研究機構が提唱する「ヘルシーエイジング」においては、健康維持のための「運動」も重要な要素として位置付けています。
その原則は、体力の衰えは不可避の現象だと受け止め、何よりも無理をせず自分に合った運動を習慣化することだ、としています。
そして、ロコモ(寝たきりの原因となる運動機能障害)にならないための「運動の基本」として、以下の4つを挙げています。
- ストレッチ
- 筋力強化のための筋トレ
- バランス運動
- 有酸素運動
人間は急に激しい運動を始めたり、自己流の誤ったやり方で取り組んだりすると故障につながって、本末転倒になってしまいます。とくに肥満の人が突然、運動を始めると膝や腰を痛めやすいので、減量してから始める必要があるでしょう。
まずストレッチについてですが、「ヘルシーエイジング」の考え方によると、ゆっくり時間をかけて筋肉を伸ばすことがポイントになります。せっかちに行うと効果がないばかりか、かえって筋肉を痛めてしまうので注意しましょう。
開脚の女王Eikoさんが書いた『どんなに体がかたい人でもベターっと開脚できるようになるすごい方法』(サンマーク出版)が100万部を超えるベストセラーになりましたが、それだけ体が硬くて悩んでいる人が多い、ということです。
このEikoさんの本で紹介するメソッドも4週間で達成するプログラムになっていて、焦らずにステップを踏んでゆっくりとストレッチを行うよう指導しています。
転ばないためのポイントは、「筋力強化」
次に2番目の「筋力強化」について、解説しましょう。
歩けなくなったり、転倒して寝たきりになったりするリスクを軽減するために、何よりも必要なのが「筋力の低下」を防ぐための運動です。
アスリートや若い時に行う筋肉をつけるためのトレーニングとは違った、筋力の低下を抑えるための筋トレが高齢者には必要になってきます。なぜなら、筋力は、40歳以上で年間1%ずつ低下していくのですが、60歳以上になると低下率が5~10%に跳ね上がります。さらに、75歳を超えると筋力の低下はさらに加速していくため、後期高齢者の医療費が急増していく要因になっているのです。
それは、下肢の筋肉が衰え、歩く速度も遅くなり、立位保持やバランス能力も低下して転倒しやすくなるのが原因です。
そうした身体上の変化はもちろん個人差もありますが、年齢とともに避けられない変化でもあるため、筋力の低下という変化のスピードをいかに緩やかなものにしていくかがポイントになります。
では具体的に筋力の低下を防ぐための運動として、何をすればよいのでしょうか?
次の2つの筋肉を鍛えることが大切だと言われています。
- 大腰筋
- 腸骨筋
大腰筋とは、腰椎の左右の側面それぞれから骨盤を通り、太腿の大腿骨のつけ根にまで達している「胴体と足をつなぐ筋肉」です。腸骨筋は、その左右外側にある骨盤周りの筋肉になります。
これらの筋肉を答えることで、多くの中高年が悩まされている腰痛や肩こり、さらに肥満や内臓の不調まで解消できるそうです。これらの筋肉を鍛えることで、骨盤を前傾させる(後傾させない)ことができるためです。
毎日続けたい「スクワット運動」と「上体起こし運動」
これら筋肉の強化のための運動方法としては、「スクワット運動」と「上体起こし運動」が無理なく継続できて効果があります。
「スクワット運動」は、①ゆっくり息を吐きながら膝を曲げて腰を下げる、②3秒静止して息を吸いながら戻る、という上下運動を立ったまま繰り返します。私は毎朝10回の「スクワット運動」を習慣にしています。
「上体起こし運動」は、仰向けに寝て、膝を曲げて、腕は胸の前で交差させて、①ゆっくり息を吐きながら上体を起こす、②3秒静止して息を吸いながら戻る、という動作を繰り返します。腹筋運動に似ていますが、膝を曲げて行うので腹筋運動ほどきつくなくて、頭や肩の下に枕や座布団を当てて行うとさらに無理なく行えます。
この「上体起こし運動」も、私は毎朝の日課としていて、完全な習慣となっています。
では、次回は「運動」の3番目「バランス運動」および4番目「有酸素運動」による健康法について解説することにします。