2019.04.23

人生100年時代の“ 航海図 ”を描く! 50代から考える「トリプル・キャリア」【第16回】トリプル・キャリアの人生設計の土台に「幸福学」を据える

『定年後不安: 人生100年時代の生き方』(角川新書)の著者であり50代キャリアの専門家、
大杉 潤講師による連載コラム!

50代社員が定年後を見据えつつ、モチベーション高く会社に貢献するための「トリプル・キャリア」の考え方を伝授します。


トリプル・キャリアで、定年後も稼ぐための「戦略的に準備すべき4つのスキル」
総集編冊子はこちらからダウンロードください


人生100年時代に、「トリプル・キャリア」という人生設計を立てて、長く働き続けるために必要な「戦略的に準備すべき4つのスキル」を順番に解説してきました。

前回までで、以下の「4つのスキル」について、すべて説明してきましたので、今回からは、それらスキルを活用して人生設計図を描く際に、その土台とも言うべき考え方について、数回にわたって述べていくことにします。

  • 時間術
  • コミュニケーション術
  • 情報リテラシー
  • 健康法

 

私が、長く働き続けるための「トリプル・キャリア」を提唱しているのは、「仕事の幸福」が人生の幸福の根幹をなすものであり、やりがいのある仕事を生涯にわたって続けることが、人生の幸福のベースになる、と考えているからです。

こうした考え方をするに至ったのは、やはり複数のビジネス書を読んだ影響によるものです。最も参考にしているのが、世界トップの世論調査会社である米国ギャラップ社の元幹部二人が書いた『幸福の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という本です。
同書は、ギャラップ社の50年以上におよぶ幸福の調査・研究でわかった「充実した人生を実現する確かな方法」を提唱・説明している書です。そして冒頭で、世界150ヵ国調査でわかった、人生を価値あるものにする「5つの要素」が次の通り記されています。

  • 仕事の幸福
  • 人間関係の幸福
  • 経済的な幸福
  • 身体的な幸福
  • 地域社会の幸福

これら「幸福の5つの要素」は、世界150ヵ国共通です。

そして重要なことは、1つの要素だけ突出してうまくいっても、残る4要素をないがしろにしていると「日々幸せを感じる生活」は手に入らない、ということです。

5つの要素のそれぞれについて、少しずつでもよりよい状態を目指して行動していくことで、幸福度が高まっていくのです。

「仕事の幸福」がもっとも人生の幸福度に影響している

ギャラップ社の「幸福度」調査によれば、このなかでもっとも重要で、根幹をなすのが「仕事の幸福」です。「仕事の幸福度」が高い人は、そうでない人に比べて「自分は素晴らしい人生を送っている」と思う割合が2倍も高いということがわかりました。

つまり、あなたが健康で、人間関係もうまくいっていて、経済的な不安もまったくないとしても、いまの仕事が嫌いだったら「幸福度」は高くならないのです。

『幸福の習慣』という本には、イギリスの経済誌『エコノミック・ジャーナル』が行ったユニークな研究結果も紹介されています。

それは、人生のさまざまな出来事が、長期にわたって人生の満足度にどのような影響を与えるかという、13万人の被験者を数十年にわたって追跡調査した研究結果です。

同研究によれば、短期的に人生にもっともダメージを与えるのは、「配偶者の死」でした。しかしながら、このダメージは数年後には回復できるものとされ、もっとも長期にわたって幸福に影響を与える出来事は「長期間の失業」でした。

具体的には、「仕事を一生懸命探し続けているのに見つからない状態が1年以上続くこと」です。それほど「仕事の幸福」は重要で、「失業状態が長期間続くことは、配偶者の死よりもダメージが大きい」とこの本では述べています。

 

ウェル・ビーイング(=「幸福・人生の満足」)とは5つの要素が一体となっている状態

では、人生を価値あるものにする「5つの要素」について、いったいどんな状態になっていれば、人は幸せと感じるのでしょうか?

『幸福の習慣』の著者であるトム・ラス氏は、以下の通り、「5つの要素」が一体となっている状態だと述べています。

  • 仕事に情熱を持って取り組んでいる
  • よい人間関係を築いている
  • 経済的に安定している
  • 心身共に健康で活き活きしている
  • 地域社会に貢献している

5番目の「地域社会」について疑問に感じる人がいるかも知れません。しかし、自らが暮らす地域が、例えば治安が悪くて生命の危険を感じたり、自然災害が頻発して生活に不安を感じたりする状態では、とても幸福度が高いとは言えないでしょう。

 

では、次回からはこれら幸せの「5つの要素」について、順番に詳しく見ていくことにしましょう。

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