人生100年時代の“ 航海図 ”を描く! 50代から考える「トリプル・キャリア」【第17回】「幸福な人生」に最も大切なのは「仕事の幸福」だった!

2019.05.17 / Written by 大杉 潤(合同会社ノマド&ブランディング/リ・カレント プロフェッショナルパートナー)

『定年後不安: 人生100年時代の生き方』(角川新書)の著者であり50代キャリアの専門家、
大杉 潤講師による連載コラム!

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なぜ「仕事の幸福」がそのほかの幸福の根幹をなすのか?

前回紹介した「トリプル・キャリア」という人生設計を立てるきかっけとなった書籍『幸福の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)で、著者のトム・ラス氏(ギャラップ社元幹部)が提唱していた人生を価値あるものにする「5つの要素」の筆頭に挙げられている「仕事の幸福」は、
なぜその他の幸福(人間関係・経済的・身体的・地域社会の4つの幸福)の根幹をなす「ベースの幸福」であると言えるのでしょうか?
しかも、その結論は世界150ヵ国の調査で共通であったということなのです。

  その答えを考えてみる前に、もう一冊、私が「仕事の幸福」が最も大切だという確信を得るに至った書籍を紹介しましょう。それは、NHKスペシャル取材班による『人生100年の習慣 百寿者の健康の秘密がわかった』(講談社)という本です。
2016年10月に放送された「NHKスペシャル あなたもなれる“健康長寿”徹底解明100歳の世界」という番組を書籍化したものです。

NHKスペシャル取材班は、世界のセンテナリアン(百寿者)を訪ねて取材し、なぜ「亡くなる直前まで元気」なのか、を医学・栄養学・心理学・環境学・社会学などあらゆる角度から迫り、分析しました。
その結論として、元気に日々を過ごす100歳を超えるセンテナリアンには、次のような共通点があったのです。

  • 糖尿病の割合が少ない
  • 慢性炎症のレベルが低い
  • 腹八分目の食生活
  • 運動による微小循環が認知症を防いでいる
  • 人生の満足度が高い
  • 生きがいを持ち、今に幸せを感じている
  • 老年的超越という豊かな精神状態
  • 仕事を通じた社会とのかかわりを継続している

つまり、適切な食事と運動の習慣を持ち、仕事を続けることで生きがいや人生の満足度が高く、「老年的超越」と呼ばれる豊かな精神状態、幸福感を日々感じているのです。

こうした好循環の生活習慣のベースになっているのが、100歳になってもなお、現役でやりがいのある仕事を続けているという「仕事の幸福」です。

定年退職者が、会社との人間関係が切れてしまうことで、社会との繋がりをなくしてしまい、たとえ好きな趣味に打ち込んだとしてもやがて飽きてしまって、生きがいを失ってしまうのと対照的です。

『人生100年の習慣 百寿者の健康の秘密がわかった』(講談社)で紹介されている各国のセンテナリアンは例外なく仕事を続けていて、例えば、和菓子店の看板娘、雑貨店の店番、靴職人、ダーツプレーヤー、医師、ぶどう農園作業、羊飼い、ヤギ飼育、アスリート、理容師、デジタルアート芸術家など。

そして共通しているのは、楽しく生きがいを持って仕事を続けていること。ストレスなく楽しんで仕事をしていることです。

老化の原因となる慢性炎症を抑える働きとは?

こうした「生きがい型の満足感」は、老化の原因となる慢性炎症を抑える働きがあることが、医学的に解明されています。
つまり、自分のことだけを考えるのではなく、世のため人のために生きること。社会に貢献する「生きがい型の満足感」こそが、健康長寿に結びついていたのです。人生における目的や意味を感じていることがカギになってきます。

具体的には、次のような活動になります。

  • 社会のために働く
  • 家族を大切にする
  • ボランティア活動
  • アートなどの創作活動

カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部のスティーブン・コール教授は、「ポジティブな感情や、生きがいを感じることは長寿につながる」、つまり「“ 健康で長生きすること” と“よい感情を抱いたり、人生の目的や意義を意識すること”の間には相関関係がある」と述べています。

なぜそうなるのか。コール教授の説明は、以下の通りです。

「人類は社会的な集団生活を行い、生き延びてきました。つまり、人間の脳や神経は、社会とつながり、助け合うように生物学的にプログラムされていると考えられるのです。」

人はだませても、自分の心はだませません。大切なのは、ほかの人や社会に対しても「満足感」を得られる利他的な心を養うことです。

仕事と「心の持ちよう」との関係                                <a href="https://babel's artworksさんによる写真ACからの写真

精神的に満足していることと、健康長寿の間に「相関関係」があるのは間違いないのですが、「因果関係」はどうなのかは、まだ研究途上で、これから解明されなければならない、とコール教授は述べています。

105歳まで現役で仕事をして亡くなられた日野原重明先生(聖路加国際病院)は、自らの体験から「心の持ちようというのは、とてもわれわれの健康に強い影響を与える」と発言されていました。

さらに、哲学者のマルティン・ブーバーさんの次の言葉を紹介しています。

「新しいことを創める想いがある限り、人はいつまでも若くいることができる。」

そして、日野原先生のモットーは「プロダクティブ・エイジング」(=生涯現役人生)でした。そして「キープ・ゴーイング」(進み続けること)と若い人に向けて発信していました。

仕事を続けることが社会とのつながりを継続し、「生きがい型の満足」を育み、健康で幸せな人生をつくる、ということです。

では次回は、幸せの「5つの要素」の2番目「人間関係の幸福」について、詳しく見ていくことにしましょう。

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