2019.06.27

人生100年時代の“ 航海図 ”を描く! 50代から考える「トリプル・キャリア」【第19回】「経済的な幸福」に大切なこととは?

監修者
大杉 潤(合同会社ノマド&ブランディング/リ・カレント プロフェッショナルパートナー)

『定年後不安: 人生100年時代の生き方』(角川新書)の著者であり50代キャリアの専門家、
大杉 潤講師による連載コラム!

50代社員が定年後を見据えつつ、モチベーション高く会社に貢献するための「トリプル・キャリア」の考え方を伝授します。


トリプル・キャリアで、定年後も稼ぐための「戦略的に準備すべき4つのスキル」
総集編冊子はこちらからダウンロードください


大杉講師による、50代キャリア 1DAY講座(個人向け)が開催決定!
本コラムでご紹介している「トリプル・キャリア」を実践し、
定年後も「幸せに働き続ける」ための戦略的人生設計をご受講いただけます。
▶ セミナー詳細を見る

これまで紹介してきた通り、『幸福の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の中で、著者のトム・ラス氏(ギャラップ社元幹部)が提唱していた人生を価値あるものにする「5つの要素」は、以下の5つでした。

  • 仕事の幸福(仕事にやりがいを持っている)
  • 人間関係の幸福(良い人間関係を築いている)
  • 経済的な幸福(経済的に安定している)
  • 心身の幸福(心身ともに健康である)
  • 地域社会の幸福(地域社会への貢献ができている)

この「5つの要素」のうち、筆頭に挙げられている「仕事の幸福」が、その他の幸福(人間関係・経済的・身体的・地域社会の4つの幸福)の根幹をなす「ベースの幸福」であることを前回は説明してきました。

今回は、3番目に挙げられている「経済的な幸福」について述べてみます。

金融庁「老後資金2,000万円不足」報告書の衝撃

先日の金融庁「老後資金2,000万円不足」報告書が大きな波紋を呼んだのは、多くの人が何となく「年金だけでは老後資金が不足するのではないか」と感じていた不安が、まさに現実のものになってきたという感覚のようです。

今回これだけメディアが大きく取り上げ、中高年者だけでなく20代、30代の若者までもが年金に対する不安を感じるようになっているのは、以下の3つの理由によるのではないかと私は分析しています。

  • 霞が関の役所の頂点に立つ、権威ある旧大蔵省(現在の財務省および金融庁)による発表であったこと
  • これまでよく言われてきた3,000万円とか1億円とかではなく、2,000万円という数字が妙に現実感をもって受け止められたこと
  • 「何となく年金だけでは足りなさそう」と感じていた不安が的中したというショックを多くの人が受けたこと

そもそも、年金を所管する厚生労働省(直接的な運営機関は日本年金機構)がこれまでにも様々な試算を公表し、3,000万円不足という、もっと大きな数字を出していたにも関わらず、今回これほど大きなインパクトを与えたのは、やはり「金融庁」という権威のなせる技でしょう。

メディア関係者の間では常識ですが、日本の財政や予算を牛耳る旧大蔵省にすべての情報が集まり、国を動かす仕組みになっているため、財務省や金融庁から出た情報を、メディアは最も早く、大きく扱います。

世論の形成には、この旧大蔵省―大手メディアの連携が多大な影響を及ぼす構図なのです。

次に、2,000万円という何とも言えない微妙な数字。3,000万円だ、1億円だと言われると、もう初めから開き直って諦める人が大半ですが、2,000万円だと何とかなるかも、と考える人が意外に多いのかも知れません。

実際には、一人ひとりの生活レベルや、そもそも厚生年金か国民年金かによって不足額は大きく違いますし、勤続年数や現役時代の年収レベルによっても千差万別。企業年金や個人年金の有無など、それこそ全く同じ不足額の人はいないと言ってもいいでしょう。

それをザックリと「2,000万円不足」と騒ぐのは、あまりにも滑稽ですし、野党も悪乗りし過ぎでしょう。

騒ぐなら、「国会議員の議員年金のカット」をまず打ち出してからにしてもらいたい、と言いたくなります。
麻生大臣の「庶民感覚の無さ」を攻めるのであれば、そのくらいの提案を出してからでなければ、野党にも言う資格はないでしょう。

「経済的な幸福」に大切なこととは?

さて、老後資金、すなわち経済的な不安ですが、その根本は「年金以外の収入がない」ことに起因しています。現在は定年の60歳を過ぎてからも再雇用で65歳まで働く人が多数派になっています。
さらに今後は、それを70歳まで延長しようという動きが具体的になってきました。人生100年時代になると、実は70歳でもその後に全く年金以外の収入がなくなってしまうと多くの人々は不安を感じる、というのが私の見方です。

やはり働く時間や場所は制限してでもずっと働き続けて、金額は大きく減るかも知れませんが収入を得続けることが重要です。

私は人生100年時代なら、少なくとも85歳まで現役で仕事をして稼ぎ続けることが幸福につながると考えています。
私自身はもちろん「生涯現役」を目指しています。「経済的な安定」とは、実はフロー収入を途絶えさせないことによる「心の安定」にある、と私は思うのです。

そういう意味では、最初に挙げられている「仕事の幸福」と、この「経済的な幸福」は表裏一体となるものです。
何歳になっても誰かの役に立っている、社会の役に立っているという証として、いくらかの収入を獲得し続けることが大切なのです。

そのために必要になってくることとして、世の中のニーズをしっかりとインプットし続けること、つまり「学び続ける」ことが欠かせません。

さらにもう一つ、個人で事業を継続し続けるには、アウトプット、すなわち「情報発信」が必要です。
今はインターネットで個人が誰でも自由に、世界中に向けて情報発信できる時代になりました。しかも極めて低コストで行うことが可能なのです。
「経済的な幸福」とは、収入を稼ぐ仕事をいかに長く続けることができるか、そのための情報のインプットとアウトプットをいかに継続して行えるかがキーになると私は考えています。

では、次回は「心身の幸福」について考えていくことにします。

関連セミナー

2019.07.24 開催 reception_off 【公開講座/個人向け】定年後不安を一気に取り除く「生涯現役キャリア」 50代で会社を辞めた 人生のキャリアコンサルタントがお伝えする 講師:大杉 潤 キャリア研修

記事一覧に戻る

お問い合わせ 資料請求