新入社員

「『楽しくなければ食っていけない』時代 vs.新人の『仕事は苦役』バイアス」セミナーダイジェストレポート

2020.07.8

現在、多くの新人・若手にとっての「仕事」とは「生活のため」の手段となっています。かつては、仕事を通して得たいもの、成長したいことが言語化できていた若手育成の前提となる仕事観に変化が生まれています。この新人・若手の仕事に対する価値観の変化に育成担当が気づかないと、新人と育成担当の認識にズレが生じ、新人・若手への育成がうまくいかない要因になります。

今回は、リ・カレントグループ主催HRラーニングイベント『なんじゃ祭』(2020年5月27日~29日開催)で、『楽しくなければ仕事じゃない』著者のディスカヴァー・トゥエンティワン前代表取締役 干場氏と、ノバレーゼ教育研修部長 渡瀬氏をお招きし、若手の仕事観醸成についてお話しいただいたセミナーレポートをお送りします。

新入社員の意思をもった行動を引き出すための育成とOJTトレーナーの育成ポイント
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■登壇者
ディスカヴァー・トウェンティワン 干場弓子干場 弓子氏
株式会社ディスカヴァー・トウェンティワン 前代表取締役社長
干場弓子事務所

渡瀬氏 ノバレーゼ渡瀬 舞子氏
株式会社ノバレーゼ 教育研修部 部長

1.最近の新人・若手は「仕事は苦役」と捉える傾向かある

最近の新人・若手社員の特徴として、仕事は苦役だと捉える傾向があります。

特に近年の新入社員は、SNSを使ったコミュニケーションが日常になっているため、知っている人や自分に近しい人とのみ普段やりとりをしています。そういったいまどき新人が持っているコミュニーケーションの形を、会社という上下関係のある異質な人たちとコミュニケーションをとらなければならない環境に置くと、新人は強いストレスを感じてしまいます。
自分がマイナスの評価を得ることを恐れ、「怒られたくない」「失敗したくない」という緊張を抱えながら仕事をする。そうなると、新人にとって報酬は会社での拘束時間に対する対価であり、仕事は我慢、生活のためであり、「仕事は苦役」であると捉えるようになります。

新人が持っている「仕事は苦役」という先入観を変え、「仕事を通して幸福になる」という捉え方に変えるために、新人を育成する側のアプローチとしてどのような工夫が必要でしょうか。

新人育成課題

2.若手社員が働く楽しさを見出し、自らキャリアを築くために必要なこととは?

これからの時代、若手社員が働く楽しさを見出し、自らキャリアを築くことができる人材になるために求められる、仕事への取り組み方や考え方とはどのようなものでしょうか。2つの観点について登壇者のお二人から意見をいただきました。

①仕事は苦役、会社は搾取家と考えるのではなく「仕事を通して幸福になる」と考える

『楽しくなければ仕事じゃない』という干場氏著書のタイトルのように、仕事とは本来単なる生活のためではなく、楽しく、幸福を得られるものです。
いまこの瞬間に幸福を感じられていなくても、仕事のある日々を積み重ねるなかで、誰かに貢献できたことや、仕事を通して得られた人生の豊かさを振り返り、仕事を通して幸福を認識することができるようになります。

干場氏:「当時女性は子供を産んだら専業主婦になるという時代でしたので、仕事は経済的・精神的自立という私の目標をかなえてくれるものでした。ですので、個人的に仕事を苦役と思ったことはありません。
ディスカヴァー・トゥエンティワンで社長を務めていた時、新卒採用のための会社説明会が大変評判でしたが、そこでお伝えしていたのは『仕事を通して幸福になろう』というメッセージです。仕事は誰かの役に立ち、その対価としてお金を得ることです。誰かの役に立つことの積み重ねによって自己実現につながり、自己実現が幸福につながります」

渡瀬氏:「いま振り返ると仕事を通じて自分の人生が豊かになっていると感じますが、仕事を始めた当時から現在の姿が見えていたわけではありません。しかし、仕事を通して自分が幸せでありたいと思っていました」

②好きを仕事にするのではなく「いまやっていることを好きになる」

「好きを仕事に」というメッセージがよく聞かれる一方で、いまやっている仕事が本当に自分が好きな仕事なのかと疑問に思う若手も多くいます。この点について、干場氏、渡瀬氏は次のように指摘します。

干場氏:「私は新卒で入社した会社で、雑誌の編集の仕事をしていました。こんなことも編集部がやるのかと思う雑用も多かったものの、そのときの経験が、自分が編集長の立場になってから、本当に納得したものを作るために細部にまで神経を行き届かせる習慣につながりました。またそのプロセスを楽しいと感じるようになりました。
単純な作業でも工夫しながらやることで、自分が先輩の立場になったときに、後輩が悩んだりつまづきやすいポイントがよく理解できるようになったと感じます」

渡瀬氏:「ブライダルという業態上、コロナの影響でキャンセルが続き、今年の新入社員は例年以上に想定と異なることが多い状況だと思います。思い描いていたものと現実の仕事にギャップがあることが新人時代には多いものです。面白い仕事をするのではなく、目の前にある仕事をどう楽しむことができるのかを考えると、仕事が楽しくなるよと研修で伝えるようにしています。
好きを仕事にとよく耳にしますが、本当に好きなことがある人はどれほどいるのでしょうか。好きなことや、夢といわれると、『そんなものはない』と自信を無くす人もいるかもしれませんが、初めから好きなことがなくてもいいのです。目の前の仕事をやるなかでそれが好きになっていくのだと思います」

新入社員が研修を終え現場配属になるとき、希望の部署に配属にならない社員もいることでしょう。また入社前に思い描いていたイメージと配属直後に取り組む仕事にギャップを感じ、働く意義を見いだせない新入社員も多いかもしれません。

そのような新入社員に対しては、仕事の経験を通して業務遂行能力を身に着けさせるだけでなく、経験した仕事の意義を言語化させることで仕事観の醸成を図り、自らキャリアを築く若手育成を行うことが重要です。

3.会社のビジョンや理念を新人の採用から育成まで採り入れてエンゲージメントを高める

また、渡瀬氏から株式会社ノバレーゼ様で行われている新入社員研修の事例をご紹介いただきました。

渡瀬氏:「『Rock your life』という理念に基づいた採用や教育を行っています。入社5年目までは、年に1回階層別に集まり、各自の理念を引き出し、会社の理念に立ち返れるような研修を行っています。

ビジネスマナーを伝えるときも、ただマナーを教えるのではなく『なぜそうすると思いますか?』を考え、『ビジネスマナーを守ることがお客様の幸せにつながる』というような想いをグループで共有するなど、アウトプットする機会を作っています。ただのインプットではなく、各自が考えて発することで理念が浸透していくことを最重要視して研修を設計しています」

会社のビジョンや理念といったものを単にお題目にするのではなく、ミッション=使命、ビジョン=目指すべき姿、バリュー=価値観だということを語ることが必要です。

何のためにこの会社は存在しているのか個人は何のためにその会社で仕事をしているのかを問い直していくことです。

会社の理念を、社員が自分の言葉で語ることで仕事へのエンゲージメントが高まります。そして、会社のビジョンや理念と個人を切り離すのではなく、むしろ個人が積極的に参画して自分の言葉でビジョンを語ることで、はじめて「仕事を面白い」と感じながら働くことができるのです。

4.仕事を好きになるための3つのアクションとそのポイント

仕事を通じて幸福になるためには、「今やっていることを好きになる」ことが重要です。
新入社員・若手社員が仕事を好きになるためには、「仕事を楽しむ」ようになるアクションを積極的に実践させることが大切です。

本講演では、新人・若手社員が衝突や失敗を恐れて「控え目受け身」にならないよう、多くの挑戦・行動を通して「自ら成長」することで「仕事を好きになる」マインドを身に着けるために、新人・若手社員への3つのアクションをご紹介しました。

仕事を好きになる3アクション
「やってみる」
まずは仕事をやってみることです。人間は経験から学習する生き物ですから、仕事をまずやってみることがそのまま個人の成長になります。「質より量」で経験が増えることで、成長を実感しすることができるようになります。

「関わる」
仕事を通して積極的に周囲の人たちや社内のメンバーと関わることで、他者や会社を知り視点を拡げることができます。
上司や先輩、顧客が何を求めるかを能動的に考えて行動する。そういった行動から誠意や向上心、柔軟性など、人の感性に働きかけて、相手に共感や感動を与えられるような存在になります。
結果として、相手に信頼されるコミュニケーションを取れるようになり、先輩やお客様からフィードバックをもらって、新人自身の成長の糧となるでしょう。

「自己決定する」
自己決定は、やる気を高めるほか、成功・失敗どちらの結果になってもポジティブな影響をもたらします。

他人に設定された目標では、新人若手自身が結果に対する責任を、目標を設定した他人に委ねてしまいがちになります。
しかし、自分で自己決定した目標に対しては、どんな結果に対してもポジティブな受け止めができます。また、自己決定は、他者決定の5倍のコミットメントを引き起こすことができるとも言われています。

目標などの「自己決定」は、自身で決定をすることでやる気を高めるほか、個人と仕事とを結びつける役割ができるようになるでしょう。

若手が「仕事が好きになる」OJTトレーナーの育成ポイント

では、これらの新人の傾向を踏まえて、育成側であるOJTトレーナーやOJT上長は、新入社員や若手社員にアクションを促すために、どのような働きかけをしたらよいのでしょうか。ここでは、OJTの関わり方のポイントを、3つご紹介します。

仕事を好きになるための育成ポイント
一緒に振り返る
新人が行った業務に関してはOJTトレーナーへ報連相を求め、できたことに対しては賞賛し、できなかったことを再指導します。新人が業務を行った後は、新人に対して感謝を伝えるとともに振り返りを行い、メンバーと一緒に新人に対して仕事の成果や取り組み、姿勢などの評価を行うとよいでしょう。

そうすることで、経験から学ぶ力を高め、自己成長するために一緒に振り返ることができます。

フィードバックする
新人自身の視点を拡げるために、他社からどう見えたかをフラットに伝えましょう。適宜のフィードバックを心がけることによって、新入社員が仕事に没頭できる状態を作ることができるようになります。

WHYを問いかける
仕事において、新人自身が「なぜこうするという決定をしたのか」、新人に問いかけてみましょう。そして、この仕事を行うことの意味と、目の前の仕事が新人にとってどんなメリットがあるのかを、OJTトレーナーから伝えましょう。内的な感情・動機の言語化を支援することで、新人が自己決定ができるようになります。

5.新人・若手社員の理想と現実のギャップを埋めるには

今年はコロナウィルスの影響で、例年以上に入社前に抱いていた仕事への理想と入社後の現実のギャップが大きいことは間違い無いでしょう。

入社後の現実を見て、新入社員の心が折れてしまうことが無いよう、新入社員に「目の前の仕事を好きと思えるようにする」「会社の理念に言葉を借りながら自分の信念を言語化していく育成」が求められています。

「仕事は苦役」から「仕事を通じて幸福になる」ために、リ・カレントと一緒に若手とともに育つ育成を考えていきませんか。

 

新入社員の意思をもった行動を引き出すための育成とOJTトレーナーの育成ポイント
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