~フォロワーシップの浸透によりチームワークの最大化を目指す~
東急スポーツオアシスのスタッフへの熱い想いと共育文化の形成
経営企画部 部長 江崎貴史様
経営企画部 人事 マネージャー 穂積由紀様
「健康人生をサポートするナンバーワン企業」を目指している東急スポーツオアシス。運営するフィットネスクラブは朝から晩まで営業しており、設備はトレーニングルーム、プール、スタジオなど多種多様です。施設を使用されるお客様もさまざまなタイプの方がいて、お客様の数だけニーズがあると言って過言ではありません。
常時、目を行き渡らせないといけない設備、サポートが必要な お客様もたくさんおり、一人では到底抱えきれない仕事が日々発生します。現場は誰か優秀な人材が一人いれば仕事が回っていく、ということは決してなく、常にチームプレイが求められています。人材の特長として従属者が多い組織で、従来は良きも悪きもリーダーの存在に左右されることが多い組織でした。強いリーダーがいる店舗は高い成果があがるが、そうでない場合は成果がでづらい、往々にしてそうした結果になることが多かったのです。
「リーダーが強くなれば成果が良くなる」。組織としてより高い成果が得られる道を選択するのは当然のことで、人材開発という面では、リーダーに向けてのリーダーシップ研修ばかり実施をしていました。一人で出せる成果には限りがあります。仕事はチームでやらないといけない。そういった想いより、人事評価の中にチームワークの項目を設けているのですが、チームワークを強化する上で、特にリーダーの「巻き込み力」という点に注目をして強化を図っていました。
しかし、リーダーというポジションには限りがあるので早々入れ替わったりしない、メンバーの顔ぶれなど変化があまりないのが実情でした。リーダーシップに関するプログラムを行っても、相手にとっては「分かっている」という既知の情報になり、相手にとって新しい学びにならず、心に響かず、大きな変化は見られなかったように思います。組織のチームワークを高めるために、リーダーのみに頼るのではなく、他に何か良い方法はないものかと、模索の日々が続いていました。
企業・組織人事向けの展示会へ行った際にリ・カレントの石橋社長の「フォロワーシップ」をテーマにした講演に参加して、講演の中で「裸の男とリーダーシップ」の動画が紹介されました。
心地良さげな野外広場で上半身裸でおどけて踊る一人の男性。最初は周りから嘲笑いにされていましたが、一人二人とフォロワーが周囲に声をかけて、追随して巻き込んで踊り出し、最終的には数百名を巻き込んだムーブメントを引き起こす風景に率直に「素晴らしい」と感銘を受けました。
点と点が線になるとは、まさにこういうことかと、脳内に衝撃が走りました。強いチームを作るためにはリーダーのみならずフォロワーの力も必要なのだ、と。私たちはリーダーにばかり目が向いていて、フォロワーを育てることに目が行き届いていなかったと気付かされました。
リーダーをもちろん疎かにするわけではありませんが、数値的な影響、効率性を考えた場合に周りのフォロワーを育てていったほうがチームワークを培っていく近道なのではないかと考えたわけです。ボトムアップを重視している東急スポーツオアシスの組織に合ったプログラムであり、フォロワーシップを学んでいくことで、チームワークが向上し、組織成果が最大化できるのではないかという期待に繋がっていきました。
そのため、社内ファシリテーターにより、部門や店舗ごとで研修を実施し、フォロワーシップを全社的に展開する仕掛けを企画しました。結果的に、半期で一般社員の約8割がフォロワーシップについての研修を受講できたことになります。
研修を実施するにあたって、リ・カレント様にはファシリテーターとして登壇するスタッフが使用するフォロワーシップ研修のテキストと台本を一緒に制作して頂きました。リ・カレント様と制作したフォロワーシップ研修の台本を読んでいけば、誰でもファシリテーターとして研修を実施することができる、フォロワーシップの考え方を全社的に展開するために私たちは心強いツールを手にすることができました。
各部署の反響は良好で、ファシリテーターに任命されたスタッフから不安の声は挙がらず、むしろスタジオレッスンなど常日頃台本のない中、人前で話すことに慣れていることもあり、台本があるなら問題ないといった頼もしい声が多かったことも手応えを感じました。
フォロワーシップの研修を実施するにあたって、受講者は当然ですが、研修を担当するファシリテーター自身の学びに大きく貢献していることは言うまでもありません。「人に教える立場」は人一倍勉強しなければいけないからです。
変化として研修を実施した翌日より、社員間の会話の中では「フォロワー」、「自責・他責」、「いまのはアンチリーダー的な発言ではないか?」など研修ワードが飛び交っているのが印象的でした。
気兼ねなく職場でそういった会話が出てくるのは大きな収穫で手応えを感じています。
互いを互いに教育する共育文化ができる環境が生まれつつある、と人事担当者としては嬉しい限りです。
東急スポーツオアシスは、アルバイトスタッフの多い会社です。 貴重な時間を東急スポーツオアシスという舞台に費やしていただいて“ありがとう”といつも感謝の気持ちでいっぱいです。そんなスタッフのみなさんには「東急スポーツオアシスで働いてよかった」と思っていただけたらと考えています。
フォロワーシップを学び、文化として根付いている「東急スポーツオアシス」で働くことで、仕事観や仕事力を向上させ、どこに いっても通用する人材になっていただきたいと考えています。
今後の取り組みとしては、管理職、社員、アルバイトなど役職や立場に関係のない「学びの場」の提供をさらに進めていきます。
そのためe-ラーニングのインフラの見直しなどを図って、スタッフの方が好きなときに好きなだけ学べる環境を整えていき、東急スポーツオアシスで働いてくださっている全てのスタッフの役に立ちたいと考えています。
「貴重な時間を頂いているスタッフの皆さまに、何かお返しをしていきたい」。
江崎様、穂積様のスタッフを想う気持ちが伝わってくる素晴らしいお話をお聞きする機会を頂けたことに感謝いたします。
インタビュー当日は、実際にフォロワーシップの研修を見学させていただいて社内講師の方がフォロワーシップ研修の講師台本とテキストを活用していただいている姿に素直に嬉しく感じました。
受講されているスタッフの方の意欲・姿勢も高く「フォロワー」「自責・他責」など研修ワードが飛び交い、さらに活発な質疑応答の機会も多く見られたことに東急スポーツオアシス様で働いている方の意識の高さがにじみ出ていて印象的でした。
「フォロワーシップ」の概念をこれほどに体現化している企業様は国内で他に例を見ないと思っています。
“フォロワーシップ×リーダーシップ=チームワークの最大化”の公式が今回、東急スポーツオアシス様の研修風景を通して見えたような気がします。
今後の東急スポーツオアシス様の躍進に引き続き協力させて頂ければ幸いです。お忙しい合間を縫い積極的にインタビューに応じてくださり、ありがとうございました。