2022.10.27

【2022若手意識調査:徹底解説①】キャリア観を明確に「持たない」若手が6割、一方持つ若手に明確な挑戦傾向も~今こそ若手に「キャリア」観育成が必要な理由

目次

「他社を含めた今年の新人傾向を教えてほしい」
「若手と育成側の世代間ギャップに悩んでいる」
「キャリア研修をしても、若手に響いている感覚がない。何を考えているのかわからない……」
こうしたお悩みに、研修会社・講師の目線だけでなく、
「若手社員自身の価値観や本音」を可視化してお答えするべく、
リ・カレントでは2020年より「働くに関する意識調査」と題した独自調査プロジェクトを立ち上げ、調査・分析を続けてまいりました。

単純集計解説:若手社員の「キャリア」の本音

「若手社員には主体的にキャリアを形成してほしい」
「漠然と目の前の仕事…ではなく、どのように成長していきたいか描きもっと挑戦してほしい」
若手社員の育成を担当されている人事の皆様からのご相談・お問合せでは、
このようにキャリア形成に関するお悩みを多く伺います。
わたしたち教育を企画・実施する側にはあまりにも当たり前な、「キャリア」という概念。
しかし、実際に若手社員たちの中で、それはどの程度「持っていて当たり前」の概念なのでしょうか?
「働くに関する意識調査」では、このような「そもそも」に立ち返り、以下のような設問を設けました。

解説▷あなたは、自分の「キャリア観」(中・長期的継続性を持った「どのように働き続けるか」においての譲れないものや価値観)を持っていますか

結果、「語れる明確な形で持っている」は9.1%と1割未満に留まり、
「持っていない」「固まっていない」を合わせると全体の6割を超えています。
自律・主体的なキャリアがトレンドになって久しい中、実際に現場で経験を積んでいる若手社員の中では、キャリアに対する考え方の温度差が生じていることがわかります。

さて、それでは、この設問で「明確に持っている/語れるほどではないが持っている」とした回答者の若手社員は、どのようなキャリア観を持っているのでしょうか。次の設問で詳しく聞いてみました。

解説▷あなたの仕事における「キャリア観」(中・長期的継続性を持った「どのように働き続けるか」においての譲れないものや価値観)について、あなたにとって最も優先順位の高いものを選択してください

キャリアを考える上で重要視する項目のうち最も多く選ばれたのは、
「将来高い報酬(年収)を得ていたい」(31.5%)と金銭報酬を重んじるものになりました。この傾向は、リ・カレントが独自調査を開始した2020年から共通しています。
キャリアの多様化もまた、教育業界ではトレンドにあがり続けています。
しかし「キャリア観を持っている」と自認する若手の多くがキャリアの最重要事項を「金銭報酬」に据え置いていることからは、彼らがそうした多様なキャリア観を育む前に、キャリアに対する、ある種の固定観念を内面化していることが読み取れます。

解説▷前の質問でご自身のキャリア観を「持っていない」「固まっていない」と回答した方にお伺いします。以下のうち、キャリア観を持っていない理由としてあてはまるものをすべて選択してください。

一方、キャリア観について「固まっていない/持っていない」とした回答者が、その理由についてどう答えているかを見てみましょう。
キャリア観を持たない理由の最上位に上がったのは「キャリアとは何かそもそもよくわからない」(40.2%)でした。
次点に「考える機会がない/なかった」が多く選ばれています。

若手社員から見るとキャリア観形成の機会は不足傾向~キャリア観を「持つ若手」「持たない若手」の共通項

キャリア観を「持つ」とし「金銭報酬」を最上位のキャリア観として固定していく若手社員。また「持たない」としその概念を自身に紐づけることができない若手社員。
共通して言えるのは、今の社会・組織が彼らに要請する“成熟し自律したキャリア観”に対し、それを育む機会が明確に不足・欠如している可能性があるということです。

クロス集計解説:キャリア観醸成は挑戦し続ける若手社員を育てるためのカギ

今回の意識調査では、より若手社員の本音に近づくべく、年次ごとの回答比率や、特定の設問における回答ごとの他設問での回答傾向など、詳しくクロス集計を行いました。

まず、特徴的な結果としては、「新しい環境で仕事に取り組む際の姿勢(失敗観)」を聞いた設問で、年次が高まるにつれて挑戦傾向の減衰が見られました。

解説▷年次及びQ14「どのように働き続けたいか(=キャリア観)の有無」を集計軸として見る「失敗観」の回答分布

回答者の年次を集計軸として、新しい環境での挑戦について見ると、年次が上がるにつれ「失敗は気にせずまずはやってみる」とした回答割合が減少していることがわかります。

多くの企業では5年目ごろをひとつの区切りとし、若手育成のひとつのゴールである「一人前」の目安としています。「5年目(以降)」には、一人前の社員としてのリーダーシップの発揮はもちろん、今後入社してくる若手社員のロールモデルとなることが期待されていきます。
そうした年次において、むしろ挑戦傾向の減衰が見られる現状は、育成を担う人事の皆様や、リ・カレントはじめ教育を提供する企業の明確な課題といえます。

解説▷年次及びQ14「どのように働き続けたいか(=キャリア観)の有無」を集計軸として見る「失敗観」の回答分布

この課題をより深く読み解くにあたり、全体として特に挑戦傾向の低かった正社員5年目・6年目以上の回答者を詳しく見たところ、興味深い回答傾向が見られました。

以下のグラフは、正社員5・6年目の回答者を、Q14 「キャリア観を所持しているか」設問の回答結果ごとに分け、それぞれが「失敗観(=挑戦傾向)」をどのように示しているかを表したものです。


回答者全体の中では挑戦傾向の低下を示した正社員5年目・6年目以上ですが、
キャリア観を「明確な形で持っている/(語れるほどではないが)持っている」とした回答者は、5・6年目以上であっても、「失敗は気にせず、まずはやってみる」を多く選び、挑戦傾向を保っていることが明らかになっています。

育成のポイント:今こそ若手の「キャリア」観育成が必要~年次と共に低下する挑戦傾向維持のカギ

今回の意識調査解説コラムでは、若手社員の育成を考える上で欠かせない「キャリア」の要素に焦点を当て、

・働く若手はキャリア観を持っているか:所持の実態
・働く若手のキャリア観はどのようなものか:価値観の詳細
・キャリア観を持たない若手とその理由:価値観未所持の実態
・キャリア観の所持が若手に与える影響:キャリア観と挑戦傾向の相関関係

などについて、詳しく解説いたしました。
「キャリア観と挑戦傾向の相関関係」で述べたように、
自らがどのように働き続けたいかというキャリア観の早期形成が、若手社員が一人前に育つ時期の挑戦傾向に対し、明確な相関関係を示しています。
若手社員へのキャリア教育については、その重要性が繰り返し説かれてきたと同時に、
「かえって離職につながるのでは」
「パフォーマンスの向上に直結しやすいスキル研修を充実させたい」
といった懸念・不安もよく聞かれます。
若手社員が今いる企業で活躍していく具体的なイメージを強め、挑戦傾向と共にパフォーマンスを高めていくためにも、今まさに「個々のキャリア観」の育成が最重要といえるでしょう。

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