【2022若手意識調査:徹底解説②】「自分らしさ」意識は6割強も「自分らしく働く」具体イメージ所持は1割に
若手が今何を思い、「働く」をどうとらえているのか。そして、これからの時代の若手育成に何が求められていくのか。リ・カレントで昨年から実施されている独自調査をもとに紐解く本コラム第二回では、若手社員の価値観・キャリアの考え方をとらえる上で欠かせない「自分らしさ」というキーワードに着目します。
「若手社員との価値観ギャップを感じる」
「最近の新人は、キャリアで重要視しているポイントが自分たちとは違う気がする」
若手育成に関するご相談や、弊社へのお問合せでも、こういったお声を非常によく伺います。
今回のコラムでは「自分らしさ」に関する若手の本音を取り上げて解説します。
まず、2022年の調査で「自分らしさ」について若手に聞いた3つの設問結果を見てみましょう。
解説▷ここからはあなたと「自分らしさ」の関係についてお聞きします。何か物事を決定する・選択する際に「自分らしさ」という観点をどの程度意識しますか。
まず、仕事や働くに限らず、広く物事を決定したり・選択する際に「自分らしさ」という観点をどの程度意識するかを聞きました。
結果、「頻繁に意識する」(18.4%)「時々意識する」(43.2%)と、
全体の6割強がある程度の頻度で意識していることがわかりました。
一方、今回の調査では、さらに条件を絞り、自分らしく「働くイメージ」を持っているか、自分らしさという観点と労働がどの程度紐づけられているかを以下のように聞きました。
解説▷あなたは、「自分らしく」働くイメージを持っていますか。
「具体的にイメージを持っている」(8.4%)「なんとなくイメージを持っている」(35.5%)を合わせても4割弱となり、前述の広く物事を決定する際の意識の割合と比較すると、大きくイメージの所持率が低下しています。
また、「仕事に自分らしさを期待しない」(16.3%)が1割以上回答を集めているのも注目すべき点といえるでしょう。
この2つの回答結果からは、生活・消費行動では「自分らしさ」を頻繁に意識しながらも、
その観点を仕事・「働く」に対し具体的に紐づけている若手は比較的少ないことがわかります。
解説▷「自分らしく」働くイメージを「具体的に/なんとなく持っている」と答えた方にお聞きします。現在、その「自分らしく」働くイメージ通りに働くことができていますか。
続く設問では、働くイメージを具体的に/なんとなく「持っている」とした回答者に、そのイメージ通り働けているかを確認しました。
結果、「そう思う」(17.9%)「どちらかといえばそう思う」(60.1%)を合わせると約8割に近い回答者が「イメージ通りの/近い働き方ができている」と回答しています。
育成のポイント:「自分らしさ」と「働く」の接続が若手育成×エンゲージメント向上のカギ
若手社員の多くを占めるZ世代を紐解くキーワードとして、「自分らしさ」が注目され続けています。
今回の調査では「自分らしさ」について詳しく問うパートを設け、実際にその意識の度合をはかりました。
回答結果からは、彼らの多くが生活や消費行動において「自分らしさ」を意識していることが見て取れます。
しかし、「働く」というテーマに絞り込んで見てみると、
「自分らしく働く」イメージを具体的に持っている回答者は1割以下に留まり、
「仕事に自分らしさを期待しない」=仕事・働くに自分らしさを紐づけないとする回答も全体の1割を超えて一定の割合を占めています。
多くの回答者にとって、広く人生の意思決定において重要視している「自分らしさ」という判断軸が、
暮らしの中の多くの時間を占める「働く」に具体的に接続していないことが読み取れます。
2017年、米調査会社ギャラップの「熱意(engaged)あふれる社員」についての調査で、日本の熱意あふれる社員の割合はわずか「6%」と、調査対象139国中132位という結果になりました。
ギャラップの同調査の設問にも「職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている」などが設けられており、その人がその人自身の強みや「らしさ」を活かして働くことが組織へのエンゲージメントにつながることが示唆されています。
前回コラムで詳しく解説していますが、若手社員の挑戦傾向を保ち一人前に育成していくためには、若手社員それぞれの「キャリア観」を育んでいくことが不可欠です。
「私は何のために働き、どのように働き続けていきたいのか」…キャリアについて個々の軸を形成するにあたって、「何のために働けているとき『自分らしい』と感じるか」「どのように働いているとき『自分らしい』と感じるか」を見つめ直し、日々の業務の中で言語化していく必要があります。
「仕事に自分らしさを期待しない」若手社員たち、
「仕事は仕事、プライベートはプライベート」と割り切る彼らは、研修現場でも決して珍しくはありません。
しかし、今回の調査で明らかになったように、彼らの多くは、普段の生活や消費行動の中に「自分らしさ」の種を持っています。
彼らの「自分らしさ」を言語化し、日々の業務の中で「働く」に接続していくことで、
エンゲージメントを高める若手社員育成を行うことができ、
また若手社員たち自身の豊かな人生につなげていくことができるでしょう。