できない理由を並べる停滞集団を、アイデア飛び交う建設的提言チームに変える! チームの推進力を高め、成果を上げる問題解決4ステップ実践法
あなたのチームは、目標達成に向けた問題解決ができているでしょうか。
一部の責任者だけに頼って問題解決をしようとする組織と、組織全体で問題解決ができる手順を持っている組織を比較すると、成果が異なることは明らかです。
では、全員が問題解決に向けたアイデアを出し合い、本質的な問題をあぶりだして解決に導くにはどのようにすればいいのか。
今回のセミナーでは、目標達成のプロフェッショナルである加藤講師より、実践的な問題解決手順を体験型で講義いただきました。
◆講師プロフィール
加藤 雅士(株式会社目標管理トレーニング 代表取締役)
一般社団法人 全国地域生活支援機構 代表理事
一般社団法人 日本デジタルトランスフォーメーション推進協会 理事
一般社団法人 日本教育推進財団 評議員
日本NLP協会 評議員
学校法人立志舎 学校関係者評価委員会 評価委員
新卒で、大手専門学校で税理士及びSE教育ができるマルチ講師として活躍。
その後、富士通㈱にて財務パッケージソフトのSEとして国際会計、連結会計の設計・開発に携わる
ITベンチャーでCFOとして株式公開業務に携わる。その後、経営コンサルティング会社に入社
上場企業から中小企業の業績向上(目標管理)支援業務に携わる
あなたの会社で、会議室でこんなことが起きていないでしょうか。
・大勢参加者がいても、部長などの責任者や数名の影響力のある人だけが発言している
・「意見のある人は?」と聴いても、誰も手を上げない
・「〇〇さんはどう思う?」発言を求められても、「わかりません」のリレーになる
・意見が一つ出ると、他のメンバーも右に倣えで同じ意見を繰り返す
チームで問題解決しようとする場合、会議という「場」で行われます。
この時に大事なことは、その会議の場が、全員がアイデアを言い合える環境にあることが重要です。
では、どのようにすれば、全員がアイデアを言い合える会議に変えることができるのか。
全員がアイデアや意見を言い合える仕組みを作るには、「紙に書く」のがカギ
全員が発言できる仕組みを作るカギとなるのが、「意見を紙に書く」ことだと加藤講師は言います。
いきなり「この問題の解決策について意見がある人は?」と質問しても、手を挙げる人はなかなかいません。
一方、「3分とるから、アイデアを書いてみて」というと、全員何か書く。つまり、「紙に書く時間を与えることで、問いに対する答えを必ず出せることができる。
加藤講師曰く、「チームを【考える組織】に変貌するための仕組みの1つ」とのことです。
アイデアの天敵「否定的な会話」を、チームからどう一掃するのか
問題解決に向けてアイデア出しを行うときの最大の敵は「人の意見を否定すること」です。
意見の否定は会議の流れやムードを崩し、結果的に、メンバーから創造的なアイデアを出にくくしてしまいます。
では、会議の場でよく見かける光景の1つ「否定合戦」を防ぐにはどうすればいいでしょうか。
加藤講師から、相手の否定を防ぐ一つの方法として、ある「枕言葉」をつけて発表することを提案しました。
そうすると不思議なことに、受講生同士、相手の方の意見を否定しづらくなっている光景がそこにありました。
セミナーでは、メンバー同士で意見を言い合うときは、その枕言葉をつけて、自分の意見を主張するとともに、相手の方に意見を受け入れるというワークを行いました。
参加者の方からは、「確かに、この枕言葉を使うと、自分の意見を相手から否定されなかったし、自分も相手の方の意見を最後まで否定せずに聴けた」といった感想が挙がりました。
問題の「言い訳」を語るチームと「解決策」を語るチームの分かれ目
「なぜ?」ではなく、「どのようにすれば?」と質問する
起きた問題を解決しようとする会議であれば、本来話すべきことは「問題の解決策」。ところが、「言い訳」ばかりを語ってしまうことはありませんか。
もし、そのような現象が起きている場合、それは「言い訳(理由)」を考えたくなるような質問が、会議室で飛び交っているからかもしれません。
例えば、「なぜ、遅刻しましたか?」と質問すると、「電車が遅れました」など理由が返ってくることでしょう。
それを、「どのようにすれば、遅刻しなくなりますか?」と質問を変えると、「朝、もう20分早く出発します」という対策が、答えとして返ってくるでしょう。
つまり、問題提起の仕方を変えることで、言い訳を語るチームから、解決策のアイデアを出し合うチームに変貌するというものです。
参加者の皆様には、各自「チームで起こっている重要な問題」を書き出し、それを問題提起の質問である「どのようにすれば、~できるか?」の文章に書き換えるワークをご体験いただきました。
あわせて、加藤講師からは、更に質の高い解決策を生み出すためのポイントも話されました。ここでも問題提起の仕方として、一般的な対策を引き出す質問と、組織にブレークスルーをもたらす質問が提示されました。
受講生が試しに2つの質問にチャレンジすると、「確かに、出てくる対策の質が違う!」との感想が挙がりました。
問題解決に導く解決策を引き出すための重要な手順とは
ここまでご紹介してきた「問題提起のやり方を変える」ことをファーストステップとしたときに、具体的な問題解決実践手順は大きく4ステップに分けられます。
STEP1 問題を棚卸する
STEP2 事実・データを洗い出す
STEP3 解決策となるアイデアを出しまくる
STEP4 実行するアクションプランを決める
ここでは、STEP3とSTEP4から一部を抜粋してご紹介します。
STEP3 解決策となるアイデアを出しまくる
問題を棚卸し、事実・データが集まったら、解決策となるアイデアを出し合います。解決策は、制約条件なしに具体的に出すことがポイント。
加藤講師の経験上、「~管理する。~徹底する、~サポートする」というものは、効果が出ないものが多いとのこと。「管理をするために、週1回は○○をする」など、具体的な対策を出さない限り、対策は実行されることはないと言います。
また、アイデア出しで煮詰まってしまったら、一見すると「くだらない」と思うようなアイデアを出しあってみるのも効果的です。
STEP4 アクションプランを決める
解決策のアイデアが集まったら、いよいよアクションプランの作成に移ります。
アクションプランは一般的に「誰が、いつまでに、何をする」の3点で構成されている企業が多いのですが、実はこの3点だと成果につながりにくい傾向にあるそうです。
大事なのは、この3点に加えて「どういう成果を出すか?」まで落とし込むことだと加藤講師は言います。
更に、このステップでは、メンバー間で考えられた「たくさんのアクションプラン」に対する優先順位の付け方や、その後の実施状況管理についても、実際のアクションプランシートを用いて紹介されました。
ケーススタディ:高級フレンチレストランの売上不足打開策
4ステップの問題解決実践編として、加藤講師が扱った実際の事例をもとにしたケーススタディを実施しました。セミナーで学んだ手法を活かし、課題に取り組みました。
「外国人客層が多く、客単価を上げるため、外国人向け和の食事メニューをつくる」「ケータリングのサービスを行う」、「単価の高いメニューを作る」等のアイデアが出たところで、加藤講師から指摘がありました。
「みなさん、この問題提起、本当にこれでいいんですかね?」
セミナーで学んだ内容として頭には残っていたものの、いざ実践となると、学んだ内容が抜けているチームがいくつかあり、「あ、しまった」と言葉を漏らす参加者の方も。実際に職場で問題解決手法を活用できるようになるには、やはり知識だけではなく体感を通して繰り返し学ぶことが必要であると改めて分かったとの感想が挙がりました。
その後、改めて各チーム、問題提起からやり直し、集客施策を各グループで再検討しました。問題提起を変え(STEP1)、今、持っている事実・データ(STEP2)を洗い直すと、1回目のワークとは違うアイデアがたくさん出てきました。各チームで、この解決策でレストランを立て直す!というプランが発表されました。
ワークの最後は、加藤講師から、実際にどんなことが実施されたのかが発表されました。受講者の方々は、「なるほど、この情報からそういう解決策が生まれたのか!」という声があがり、セミナーで学んだ問題解決の手法を疑似体験していただきました。
問題解決をしながら、成果を出せるドリームチームを作る!
セミナーの最後のセクションでは、成果を出せるドリームチームを作るための3つのポイントを共有いただきました。
1、進捗確認は週次で、1回あたり15分以内で行う(ダラダラと会議をしない)
2、計画通りにいかないとき、最終期日に影響が出る場合はサポートを求める、または新たなアクションプランを定める
3、問題解決会議は月1回、1回あたり2時間以内で行うと良い
進捗をクイックに確認し、目標に向かってアクションプランを柔軟にブラッシュアップできる仕組みづくりが重要であることが、3つのポイントからわかりました。