2022.09.8

新人フォロー研修は”経験+心情”でふりかえれ! 配属3カ月目の成長ブースター「内省・持論化による3つの自己成長習慣」

いま、新人導入研修や現場配属後の現場では、次のようなことが起きています。

  • 廊下ですれ違っても新人が挨拶をしない
  • エレベーターホールで騒いでいて周囲からの目に気付いていない
  • 研修期間中、集合や開始時間を守れない日が続いた
  • 言葉遣いや行動に学生感が抜けない
  • 報連相やスケジューリングなど教えたことができていない

人事担当者、現場の上司や先輩が指摘しても、新人の行動や振る舞いが改善されず、現場実践が「できない」印象が強くなっています。

今回のセミナーでは、昨今の新入社員の傾向を踏まえたうえでの、配属3カ月目の成長ブースター「内省・持論化による3つの自己成長習慣」についてお伝えしました。

2022年の新人傾向〜リーダーシップの不足と”まじめですなお”なZ世代〜

はじめに、2022年の新人傾向は、次の3点です。

  • 自分の能力を発揮したい
    (個性尊重の環境で育ってきたため、自分の強みや創造性を発揮したいという意欲が高い)
  • 「ありがとう」を直接言われたい
    (間接的な感謝よりも、直接的な感謝を求める傾向が強い)
  • One of themでいたい
    (目立つことで「他者と比較されること」を避け、優劣の評価などは望んでいない)

これら3つの傾向は、2022年の新人に限ったものではなく、これまでの傾向がより強まったという見方です。
学生時代の2年間をwith コロナで過ごしたこと、コロナ禍における不安感や社会情勢などが、少なからず影響していると考えられます。

さらに2022年の新人が属する、いわゆるZ世代は、自己肯定感が高く、自己効力感が低い世代傾向があり、”まじめで素直、言われたこと以外はやらない”印象が強いです。

Z世代は、人生経験において傷ついた経験と修羅場体験が不足しているため、ありのままの自分を尊重している一方で、初めてのことに挑戦する自信がないのです。

課題の分析〜必要なのは、自律的なキャリア形成〜

冒頭で、現場実践が「できない」新人の現状についてお伝えしましたが、実際には現場実践「できない」のではなく、現場実践「しない」だけなのです。

新人は「ちゃんとした社会人になる」ことを目指しているわけではないため、人事担当者や現場がそのためのマナーやスキルについて指導をしても響きません。
伝えるべきは、マナーやスキルが彼らが憧れのプロジェクトに参加したり、希望の部署で活躍したりといった「自身のキャリアを実現するため」に必要だということです。

ただし、こうした指導には、新人がキャリア形成に対して自律的かつ主体的であり、仕事を自分事化していることが前提となります。受け身や他人任せのマインドを持つ新人には、自律的なキャリア形成の重要性から理解してもらう必要があります。

『2020人材育成に関する経団連調査』によると、多くの企業で会社主導(受身的)のキャリア形成から自律的なキャリア形成を重視するようになっていることが明らかになりました。

このことからも、キャリア形成に関する考え方を、受身的から自律的なものに大きく変革する必要があります。

★自律的なキャリア形成に必要な自己効力感を醸成するための4つのポイント

Z世代に対して自律的なキャリア形成を促すためには、研修・育成施策のなかで「自己効力感(セルフエフィカシー)」の獲得を仕組み化することが重要です。

心理学者のA・バンデューラは、「自己効力感」を醸成するポイントとして次の4つを提唱しています。

①成功体験 … やり遂げて達成した経験

②代理体験 … 他者を通して学ぶこと

③言語的説得 … 承認やフィードバック

④情動的喚起 … リラックスした心身やメンタル

そして、これら4つのポイントを研修・育成施策のなかに落とし込むと仕組み化が図りやすくなります。

例えば、①の成功体験としては、新人の挑戦行動=「1カ月でやること、1週間で取り組む課題など」を明確化することや、実践して「うまくいったことは何か」という振り返り(内省)の場を作ることなどを推奨します。

課題解決の具体的な方法〜経験と心情でふりかえる習慣づくり〜

実際の新人フォロー研修・施策を検討するにあたっては、まず、これまでの考え方から切り替えることが重要です。

これまでの考え方 これからの考え方
ビジネスマナーやスキルを教えたけどできないから、フォロー研修でスキルや業務遂行力を再習得 ビジネスマナーやスキルを教えたけどしていないから、フォロー研修で仕事への向き合い方をアップデート

ビジネスマナーやスキルができないようであれば教え直す必要はあります。
ただ、新人は理解しているがしていないことの方が多いため、フォロー研修では仕事への向き合い方をアップデートしてあげることを重視すべきです。

★1年目から始める3つの自己成長習慣〜高める・広げる・深める〜

気付きやメタ認知を得て、自己成長できる習慣を身に付けるためには、次の3つのことを継続していくことが重要です。

①能力を高める(能力向上)

②関係性を広げる(関係構築)

③思慮を深める(思考深化)

さまざまな経験(シゴト・ヒト)を通じて、多くの気付きを得て思考を深め、自身の考えや思いを言語化し発信し続ければ、自己成長できる習慣が身に付くのです。たとえどれだけ小さな経験でも、自分の糧となります。

そして、経験を学びに変えるうえで有効な方法が「経験学習サイクル」です。「経験学習サイクル」は何度も回してこそ効果が高まるため、先述の「高める・広げる・深める」とあわせてOJTや研修の場で新人に繰り返し伝えるとよいでしょう。

キャリア自律を促すには、内省と持論化

先述したとおり、新人(Z世代)は受身的なキャリア形成になりがちですが、キャリア自律を促すには内省と持論化が必要不可欠です。そのためには、経験と心情の振り返りが重要です。

仕事を通じて、うまくいったり失敗したりしたときに、「どうしてうまくいったのか/失敗したのか」という経験にだけ焦点を当てるのではなく、「そのときどのように感じたのか」という心情にも目を向けさせることが大切です。

新人(Z世代)は感情や思考を言語化し誰かにぶつけた経験が少ないため、初めは苦労するかもしれませんが、粘り強く継続していきましょう。

今回のセミナーの登壇資料をご覧になりたい方や研修施策について詳しく知りたい方は、こちらからダウンロードしてください。

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