ベテラン社員の心を動かし92%の行動変容をもたらしたポイントとは!?~たった1回の面談で50代の社員が動き出す理由~

2021.11.8

人材の5割がミドルシニア層となる時代、高齢化社会の企業戦略の鍵はミドルシニア層の活躍にあります。

培ってきた経験を活かしてミドルシニア層に活躍し続けてもらうためには、何が必要なのでしょうか。

HRアワード2020受賞『ビジトレ』著者であり、ミドルシニア層2,000人のキャリア面談で92%の行動変容を実現した、現役キャリアコンサルタントの浅井公一氏に登壇いただき、実際のキャリア開発施策事例を交えつつ、ミドルシニアに「行動変容」をもたらしたノウハウをお伝えいただきました。

浅井 公一 氏

NTTコミュニケーションズ株式会社
ヒューマンリソース部キャリアデザイン室
キャリアコンサルティング・ディレクター

 

1.ベテラン社員のキャリア自律と行動変容

ベテラン社員は本当に活躍していないのか?

多くの会社で、「ベテラン社員は活躍していない」と思われている現状があります。なぜでしょうか?
それは、中堅や若手と比較して見ているからかもしれません。

浅井講師からは「ベテラン」活躍の例として、プロ野球で活躍した川相昌弘選手と、サッカーで今も現役の三浦知良選手を挙げられました。

両選手とも全盛期の力はなくても、誰よりも練習をすることで若手や中堅が「俺達も頑張らなきゃ」と感じ、チームの見本としての役割を果たしています。このように、ベテランの活躍はビジネスにおける成果をだすことだけではないと言えます。

講演では、ベテラン社員活性化の3つのポイントが紹介されました。

ベテラン社員活性化 3つのポイント

ベテラン社員は年齢を重ねるほど、確かにパフォーマンスは落ちてきますが、気持ちは落ちていません。
「パフォーマンスが落ちているので、気持ちが落ちている」ように見えるだけです。

ベテラン社員の活躍に関する課題を解決するポイントとして、3つのポイントがあります。

この中でも特に重要なのが「①ベテラン社員自身の課題」。
ベテラン社員自身が、野球の川相選手やサッカーの三浦選手のような、若手に影響を与えられる存在に「なりたい!」と思えるようになることが肝要だと、浅井講師は言います。

ベテラン社員を活性化させる取り組みと行動変容

講演では、NTTコミュニケーションズでのベテラン社員活性化の取組みをご紹介いただきました。

主となるのは、キャリアデザイン研修と面談でのフィードバック。
取組みの結果、9割以上の人に行動変容が見られたのに加え、シニア社員の昇格数の増加・業績のアップ・メンタルヘルスなど複合的な効果が出ているとのことです。

行動変化の実例としては、「あいさつをする」という小さなものから、一念発起してパフォーマンスを発揮し平社員から係長に昇格するような劇的な変化まで様々です。
周りが認める変化を行動変容とカウントし、ベテラン社員に対する研修・面談の3カ月後に、上司を対象にアンケートを行うことで周りの評価を測定しています。

こうした取り組みを継続した結果、NTTコミュニケーションズでは2014年から2020年にかけて「自主的にキャリアを自律した」と評価できる人材の割合が20倍以上にまで向上したといいます。

ところで、なぜ、ベテラン社員のキャリア自律が必要なのでしょうか。

それは、自律してキャリアを考えている人ほど、高いパフォーマンスを発揮しているからだと浅井講師は語りました。

「仕事をがんばるだけではパフォーマンスを発揮できるとは限りません。
ですが、ベテラン社員自身が『私はこうなりたい!』という強い意志があると、自主的に研鑽し、活躍できるという関係性が見受けられました。
そのため、面談時にその人が『どうなりたいのか?』を明らかにすることが重要となるのです」

2.ミドル・シニア向けキャリア施策の設計方法

 

続けて、こうしたベテラン社員の行動変容を生み出す施策について、NTTコミュニケーションズで取り入れている3つの型について解説いただきました。

  • 壱ノ型:きっかけを掴むまで終わらない面談
    「いつから?」「客観的にどうやって確認できるのか?」
  • 弐ノ型:本当に行動を起こしたかの確認
    「どうせチェックされないだろう……」を見逃さない
  • 参ノ型:リバウンド防止の再面談
    目標の修正にこそ時間をかける!

また、こうした型が機能するための施策設計の大前提として、3つのキーがあるといいます。

1.現状把握

現状把握は、具体的な数値と名指しで把握していることが重要です。
例えば、「50歳の社員のうちモチベーションが落ちている人が何割いるのか?」という調査をする場合に、「5割~7割くらい落ちているだろう」と大まかに捉えるのは現状把握ではありません。「300人のうち215人」というような、具体的でミクロな数字があり、固有名詞で「○○さんと○○さんです」と把握できて、初めて現状把握と言えます。

シニアの活性化が上手くいかない会社は、現状把握があいまいなことが理由の1つと考えられます。

2.成功定義

そもそも、どうなれば「ベテランの活性化した」と言えるのでしょうか。

定量的な目標を立てて、立てた目標値の測定方法を決めることが重要です。
この成功定義を最初に決めていなければ、成功か失敗かの判断すらできないのです。

3.展開順序

施策を展開するためには、正しい順序で展開していく必要があります。

第一順位:経営幹部の理解を得る

第二順位:担当者に専念させる。担当者の上位者は担当者が専念できる環境づくりをする

第三順位:施策のアイデアを求めたり、面談のテクニックを習得したりする

多くの企業で「幹部を説得できない」「専任の担当者を置けない」という悩みが発生している原因は、施策設計を第三順位から始めていることにあると浅井講師は話します。

3.王道の研修を自社流にアレンジする

最後のセッションでは、NTTコミュニケーションズが実施している、キャリアデザイン研修と面談についてご紹介いただきました。

「研修会社の研修をうけたり、ハウツー本を読んだりしても、それだけでは成果につながりません。
重要なのは自社にあった設計をすることです」

とおっしゃった浅井講師。
“自社流”の研修をつくるためにNTTコミュニケーションズでは、

「研修の前に、実施目的をe-ラーニングで学ぶ」
「研修内のグループワークは価値観が近しい人同士で組む」
「講師との相性に合わせた受講者選び」など、
研修を自社にあった形にカスタマイズするために様々なことを行なっているとご紹介いただきました。

同様に、キャリア面談前にも「どんな面談なのか?」をE-Learningで学んでもらうことで相談の「態度」を決めて面談に臨む人が増え、面談の効果を高めることができていると言います。

飛躍的な行動変容率向上の裏側には、最大の効果を発揮できるよう細かな調整をされていることが伺えました。

4.行動変容をもたらす「良い面談」

講演の締めくくりに、浅井講師は「良い面談と悪い面談」の例を挙げて、参加者にメッセージを送りました。

「『良い面談』をいくらできたとしても、その後の行動が変わらなければ、ただ『面談をやった』というだけ。悪い面談と結果は同じです。
ベテラン社員の活性化は簡単にできます。重要なのは、上司や人事がベテランに、どれくらいコミュニケーションの量と時間をつぎ込みことができるかです。一日15分でもいいから関わり続けること。良いコミュニケーションを着実に積み重ねることが、ベテラン社員活用の第一歩です」

2021年4月の高年齢者雇用安定法の改正を受け、各社経営陣から人事部門への「シニア人材活用」に関する要望が高まっている昨今。
ミドルシニア層の活性化は、彼ら自身の活躍のみならず、その先の年代の活性化施策にも活かされます。

50代ベテラン社員のパフォーマンスを引き出すヒントとして、本講演・レポートをお役立ていただければ幸いです。


リ・カレントが提供する、50代キャリア研修の資料は下記よりダウンロードいただけます。

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