2022年度の新人傾向は“本当の自分探し”|新人を惑わす「好きなことで食べていく」の罠

2022.03.28

外出自粛・オンライン授業・オンライン面接……
21卒新入社員と一年間関わる中で、リアルから遠ざかり続けた22卒新入社員の傾向と育成面におけるポイントが見えてきました。

今回のコラムでは、入社を直前に控えた2022年度新入社員の傾向予測について、彼らが育ってきた時代背景や置かれた状況とともに紐解いていきます。
今後起こりうる彼らのキャリア開発・育成上の課題を考え、育成方法について検討するための材料としていただければ幸いです。

新人傾向のキーワードは“本当の自分探し”

新人を迷わせる3つの罠

2021年のフォローアップ研修でお会いした新入社員の皆様から、配属後の仕事について以下のような声をよく伺います。

◆配属が希望通りではなくモチベーションがあがらない

◆就職活動時に聞いていた業務内容や組織風土ではなく“合わない”と感じている

◆大学の同期に比べて自分の仕事が物足りない

このように配属後の業務にあたる新入社員のなかには自分が思い描く“理想の社会人”像と“現実の業務”のギャップに悩み、パフォーマンスが低く留まっている方が多くいるようです。

彼らがそのように悩み停滞してしまう理由として、業務経験やフィードバックが少ないにも関わらず、自身の業務が将来のあり方に紐づかないことに不安を覚えていることが挙げられます。
そして、「自分らしくいたい」「自分はこんな仕事をするためにいるわけではない」といった“本当の自分探し”を始めてしまうのです。
21卒新入社員に見られたこの傾向は、今年度においても引き続き考えておくべきでしょう。

この「本当の自分探し」傾向を、まずは3つの観点から紐解いていきましょう。

1.認知バイアス(エコーチェンバー)

2.多様性

3.自分らしさ

認知バイアス(エコーチェンバー)

生粋のデジタルネイティブである新入社員たちは、同世代の発信に日常的に触れることが当たり前の環境で育ってきています。

SNSやYouTubeを通じて、様々な立場の人が日々メッセージを発信しています。
多様な情報に触れることは悪いことではありませんが、気を付けておくべきはその情報が偏ったものでないかということです。InstagramやTwitterなどのSNSにおける「フォロー機能」により、自身にとって都合の良い思考・価値観を持つ人の発信に触れる機会が多くなってしまいがちなのです。

このように、自分と似たような考えや価値観、思想を持った人たちが集まる閉鎖的な空間でやり取りを繰り返すことで、自身の意見や考えが、世の中における”当たり前”だと思い込んでしまう現象を「エコーチェンバー」と呼びます。

彼らにとって突出した「成功者」である存在が、自分にしかできない方法で社会貢献を行う姿に触れることが容易なために、自分もそんな風になりたい(なれるかもしれない)という想いから理想を高く持つ傾向にあるのです。

多様性

前述した通り、新入社員達は日常的に多数の情報に触れてきました。

また、22卒新入社員の多くが中学生だった2008年・2009年の学習指導要領改訂においては、「個性を生かす教育の充実」が示されました。
個々人が持つ思想や価値観の多様性が可視化され、かつ受容される中で彼らは育ってきたのです。

多様なあり方が肯定される一方で、たとえば「〇歳までに結婚、〇歳までにマイホーム」といった画一的なキャリアモデルは失われました。
そのため、彼らは多様なあり方の情報を持つ中で、自分の成功やゴールモデルをどこに置くのか、彼ら自身で考える必要があります。
ともすれば、多様性の海に溺れて自身のあり方に迷ってしまうという懸念があるかもしれません。

自分らしさ

2008年・2009年の学習指導要領改訂による影響はもう一点挙げられます。
自分らしさを示せという社会的要請です。

一方で、悪目立ちした人が叩かれる・炎上するという光景にも新入社員たちは多く触れてきたことでしょう。

これらの要素から、「好きなことで食べていく」「何者かでいなければいけない」といった地に足つかない理想像を追い求めながらも、失敗を恐れて新しいことへの挑戦を避けてしまう傾向が形作られてきたと考えられます。

Being-Doingギャップが現状への不安を生む

多様な情報や価値観に触れて育ってきた新入社員たちは、様々な“理想のあり方=Being”を持ちます。
しかし、そのBeingが現実の業務と紐づいているケースは少ないでしょう。

自身のキャリアについて考え始める大学生時代、特に就職活動期にコロナ禍に見舞われ、実際の仕事現場に触れる機会が少なかったことが、その一つの要因です。
新入社員として経験する業務のイメージを持たないまま入社を迎えてしまえば、自身が置かれているDoingとBeingとのギャップに悩むことになります。
同時に、この仕事を続けることが自身のBeingにどう関係するのか、意味づけを見出すことも不得手な世代だといえるでしょう。

弊社が2021年4月に東京都の20代1299名を対象として実施した「働くに関する若手意識調査」においても、働く理由を「明確に持っている」との回答は1割に留まっています。

【Q4】あなたは自分の仕事観=「自分はなんのために働くのか(仕事において譲れないもの・価値観)」を持っていますか

反面、自身の能力を高めたい、社会貢献に関与したいといったBeingに近づくための意欲は高いことも特徴です。

【Q5】仕事観を「明確に持っている/語れるほどではないが持っている」と答えた方にお聞きします。
あなたの仕事観(働く目的・譲れないもの・価値観)とは何ですか。選択肢から、ご自身の考えにあてはまるものを最大3つまで選んでお答えください

そのため、新入社員育成の観点として、BeingとDoingの紐づけを彼ら自身が行えるようにすることが肝となります。

ここで気を付けておきたいのが、彼らの「自己肯定感」と「自己効力感」についてです。

Z世代の特徴:自己肯定感は高いが、自己効力感が低い

新入社員に限らずZ世代に共通する特徴として、「自己肯定感は高いが、自己効力感は低い」ことが挙げられます。

自己肯定感とは、能力や結果に関わらず「ありのままの自分」を尊重する力です。

新入社員をはじめとしたZ世代は、上の世代に比べて自己肯定感を下げられる経験が少なくなっています。
これは学校教育の変化により、誰かとの相対評価ではなく絶対評価で育ってきていることの影響だと考えられます。

自己肯定感が高いがゆえに、周囲からかけられた言葉はまっすぐに受け止め、「真面目で素直」という印象を与えるでしょう。
しかし同時に、失敗・叱責・フィードバックなど自己肯定感が傷つくようなシチュエーションを極端に避けがちという懸念もあります。

自己効力感とは、行動や成果が求められる場面で「自分にはできる」と考える力です。

この自己効力感が低いがゆえに、未知のことに挑戦するときに「自分には無理だ」と思い、行動が鈍化する懸念があります。

背景・原因として考えられるのは、たとえば就職活動におけるインターンがコロナ禍の影響で中止・縮小されるなど、未知のことに挑戦して「やってみたら何とかなった、失敗したがかすり傷だ」という経験が少ないことが挙げられます。

前述したようにSNS文化の中で育ってきた彼らは、周りから白い目で見られることへの恐れを上の世代よりも強く持っています。また、先述した自己肯定感を傷つけないために失敗を避けるという特徴によるところも大きいでしょう。

2022年新人傾向予測から考える、「身につけるべき3つの習慣」

2022年度の新入社員は失敗を恐れて未知のことへの挑戦を避ける傾向から、業務は与えられるもの・教えてもらうものという受け身の姿勢に陥ってしまう可能性があります。

彼らがその状態を脱し、自ら積極的に業務を進める自律型人材となるには、日々の業務(Doing)を彼ら自身の目指すあり方(Being)と紐づけることが重要です。

リ・カレントでは、新入社員育成のポイントを「身につけるべき3つの習慣」として整理しました。

              1.学習習慣

              2.内省習慣

              3.挑戦習慣

情報を受け取る力が高い彼らの特性を生かし、導入研修や日々の業務から経験や知識といったインプットを得ること。
インプットをもとに「何のために」「自分はどうしたいのか」と本質を考えること。
これら二つの習慣によって失敗への不安を解消し、未体験の業務やストレッチが必要な業務にも前向きに挑戦すること。

2022年度の新入社員は自身の能力を高めようという意欲を強く持っています。
3つの習慣をサイクルにして繰り返すことで、自身が行なっている業務の本質を考え、Beingに紐づけられるようになっていきます。
また、先輩・上司や育成担当者からは、業務など彼らが経験することの目的を伝え、Beingに意味づけることによって、彼らの学習・内省・挑戦の習慣を後押しすることが大切です。

彼らの傾向を理解することで、新入社員自身と育成に関わるみなさまが共育の関係を築けることを願っております。

リ・カレントの考える新人育成施策のポイントの詳細については、資料・関連記事にてぜひご覧ください。

関連記事
関連セミナー