いまどき新人を読み解く Vol.5 質問術を鍛えよう!「貢献あこがれ」を強みに変える!

2016.06.21


【成長力編】4.貢献あこがれメンタリティを支える成長力

今回は、いまどき新入社員の早期戦力化するために身につけるべき力の「4.貢献あこがれメンタリティを支える成長力」をご紹介します。

いまどき新入社員に求められる「10の成長力」

この「10の成長力」は、「5つのメンタリティ」にそれぞれ2つずつ対応しています。また、研修場面だけではなく、職場でのOJTでも取り入れていただけるよう、育成ポイントも併せてご紹介します。

4.「貢献あこがれ」メンタリティを支える成長力

4-7.目の前の人への貢献を考える

「貢献あこがれ」メンタリティはどこか遠くの世界で困っている人に貢献することで自分の存在ややりがいを感じたい、というメンタリティでした。このメンタリティが引き起こす問題は、「貢献している」という状態と目の前の経験とがつながっていないため、仕事でつまずくと「働くとはこんなことではなかった」というギャップを感じてしまうことです。

ここで有効な成長力は、目の前の人への貢献を考えることで、具体的な行動につなげていくことを目指します。仕事とは価値提供です。たとえば頼まれた仕事を納期よりも1時間でも早く仕上げて相手に提出する、そうすれば相手の仕事に余裕が生まれますから、1つの価値とし相手に貢献することができます。

そこで、お伝えしているのは「読心術を捨てて質問術を鍛えよう」ということです。読心術とは「こんなことをしたらきっと迷惑だろう」と自分なりの想像で相手の状況(空気)を読もうとすることの比喩です。しかし、その推測はただの思い込みに過ぎません。もっと言うと、「余計な口出しをして怒られたくない」という自分の心の内が無意識にさせている判断なのです。そのため、「相手のためを思って」と自分なりに考えたことが「自分のためを思った」発言となってしまい、良かれと思って相手に聞かなかったことが裏目にでてしまう…ということが起こりがちです。相手が何を望んでいるのかは相手のみぞ知る。つまり、相手目線に立つ最良の方法は相手に直接聞いてみることしかないので、自分から積極的に聞きにいきましょう、ということなのです。

実は、自分のタスクに関わる「報連相も相手への貢献」と考えると動きが大きく変わります。
研修では、報連相を実践するポイントとして「タイミンgoodな報連相」ということをお伝えしています。報連相の内容や話す順番もさることながら、ネガティブ情報こそ早く報告したり、火が噴く前にわからないことを相談する等、相手がその情報を欲しいと思うタイミングの捉え方のコツを学びます。また、忙しい先輩・上司に話しかける「枕ことば」も大変有効です。例えば「すみません、今話しかけてもよろしいでしょうか」「お忙しいところ申し訳ないのですが、○○の件でいま5分ほどお時間いただけますか」といった相手の状況を気遣う言葉を最初につけることを習得すると、質問術の最初としてハードルを下げることができます。


4-8.自己開示による真の絆

「貢献あこがれ」メンタリティにおいては、人とつながりたい、相手に受け入れられていたいという心境から、職場の人間関係をとても気にします。しかし、職場で求められる人間関係とは、あくまで仕事で成果を出していくために必要な関係性であり、ただ仲良くなればよいということではありません。まして、そうした人間関係を誰かが作ってくれるという受け身な姿勢でも前に進むことができません。

組織の発達段階を示したタックマンモデルに示されているように、チームとして統一する過程においてお互いの考えや価値観がぶつかり合う必要があるとされています。新入社員にとっては、時に自分の考えや価値観を本音で発信したり、相手の考えに向き合っていくことが必要となります。しかし、これまで自分の本音をさらけ出してきたことの少ないいまどき新人にとっては、「本音の出し方」がわからない人も徐々に増えていることが、実は大きな問題だと私自身は感じています。特に対人関係における負の感情(いらだちや腹立たしさなど)については、自分自身でそう感じていることを無意識のうちにふたをしてスルーしてしまうのです。自分でも相手にネガティブな感情を持っていることに気づかないまま相対するため、はたから見ると当たり障りない表面上のやり取りが本人にとっては本音のコミュニケーションであると思い込んでいます。そのため、議論が短時間で終わってしまって深まらなかったり、なかなか関係性が深まらないのです。いわば、感情のアンテナ感度が鈍くなっているケースが増えています。

この問題に対しては、私たち人事やOJTリーダーたちが本音の関わり方を自ら示していくしかありません。特に導入研修中は長期間時間を共にしますし、合宿型の研修などで彼らの様々な姿を知る機会が多いと思います。彼らの成長のために本気で関わる中で、時に叱ることによって、人事という役割としてではなく1人の人間として本音で関わっているということを伝える場面も必要なのではないかと思います。

叱る際のポイントは2つです。1つは他メンバー(特に同期)の足をひっぱったり彼らの学びにとってマイナスになるような言動をしたとき。2つ目は、与えられた仕事に対してもっとできるにも関わらず、本気で取り組もうとせず本来の力を出し惜しみしているときです。いずれも、本人の成長のために言っているのだという思いを必ず伝えていただきたいと思います。

また、前に立つ私たちは、うまくいった成功美談ではなく時に過去の失敗談を伝えることも大切です。いまどきの新人にとって、失敗したことを表に出すことはマイナス評価を受けるとことだと思っています。しかし、他人には言いにくいことを伝えるということがいかに相手に安心を与え、距離を近づけることになるのか、自己開示の仕方と共に早めに体感させてほしいのです。講師として関わられる際には、是非ご自身の過去の失敗談を掘り起こしていただき、学びと共にお伝えいただけたらと思います。


楠 麻衣香
リ・カレント株式会社 若手人材開発事業部マネジャー

中央大学総合政策学部卒。経営コンサルティング会社、外資系研修会社を経てリ・カレントに参画。社会人1年目の挫折が原点となり、現代の新人教育のあり方の 追求に取り組むようになる。大手企業を中心とした人材開発支援に携わる傍ら、ゆとり世代新入社員育成のための「ゆとレスプロジェクト」を発足しゆとり世代 にフィットした新人研修を開発。現在は講師として登壇する傍ら、同社マーケティングや新卒採用も担う。


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