3年目若手、踊り場の危機を乗り越える!コロナ後の新しい学習・育成モデルとは?
3年目社員は、成長の停滞が問題となりやすいタイミングです。特に今年は感染症対策の影響で、 教育機会・現場経験がともに減少しています。そんな中、例年に増して、自分に期待される役割や能力に対し無自覚になりやすい3年目社員の育成課題が浮き彫りになっています。With/Afterコロナにおいて、若手社員が自ら学び・成長する人材になるには、どのような育成や関わりが必要でしょうか。今回のコラムでは、従来の育成体系の問題点・3年目社員の現状についての分析と、3年目社員が自ら学ぶ人材になるための学習設計についてお伝えします。
育成機会激減の“無自覚3年目”を挑戦を通して働く意義を見出す若手へ変える
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目次
時代の変化に伴う育成のあり方・若手の仕事観の変化
育成体系の無価値化
企業戦略を起点とした計画的・連続的・画一的な教育が一般的でした。育成担当は、会社の中期/長期経営計画から逆算して、各年次に必要な人材要件を定め、研修施策を体系的に企画・実施していました。
一方Afterコロナの人材育成においては、学習者を起点とした柔軟で個人最適な学びの支援が求められるようになりました。育成担当は若手社員が自分に必要な成長と学びを選択し、成長できる体制づくりや学び方の支援を行うアプローチが必要になります。
育成体系をつくることが無駄になったということではなく、すべての社員が自分事として、学びを自分でデザインできるように育成に求められることが変化しているのです。
最新独自調査から見える若手の仕事観
一方若手社員自身は、キャリアについてどのように捉えているのでしょうか。リ・カレントではこの春に若手社員を対象に仕事観をテーマにした調査を行いました。そこでは、働く意味やキャリアイメージを明確に持たない若手の実情が浮かび上がり、次の3点は注目される結果でした。
①働く理由を明確に「持たない」が9割
②キャリアイメージを明確に「持たない」が過半数
③コロナで仕事についての価値観が揺らぐ若手、過半数
若手の間で、自分がどういう風に働いていきたいのか明確なイメージがないことが改めて明るみになった調査でした。
今回の調査で、コロナの影響による仕事軸の揺らぎも見られました。「組織・上司のコロナ対応を見て不安が強まった」と自社のコロナ対応に関する不安や、業界によって不要不急と判断された仕事に今後携わり続けることへの疑問などがフリーコメント欄に寄せられました。
3年目社員の現在
大きな時代の変化、育成体系の変化がある中、現在の3年目社員は「3年目社員」に求められる役割や責任について無自覚な状態になってしまっている可能性があります。
もともと3年目社員は、手厚い現場のサポートがあった1~2年目を卒業し、成長が停滞しがちな時期。その中でも、特に今年はコロナの影響で新年度を在宅勤務で迎え、研修などの育成機会が例年より減少したり、見送りになったりしたという企業も多いのではないでしょうか。またコロナ対応により新卒のフォローに現場が注力し、3年目社員に対する現場での指導・サポートも大きく減少していることが予想されます。
このように、3年目社員に対し現場からのフォローが後回しにされることで、3年目社員が会社から与えられた役割や期待に対し、無自覚になってしまっている懸念があります。また、これまでの経験を振り返り自己成長を自覚する機会を逃し、例年より成長実感が少ないという事態も考えられます。
3年目ともなれば、自ら挑戦した経験が蓄積され、自分なりの仕事のやりがいが見えつつあるというのが理想の状況ですが、特に今年はコロナ対応により理想の状態で3年目を迎えることが難しかったのではないでしょうか。
いま3年目社員が身に着けるべき力とは
画一的な育成体系が意味をなさなくなり、社員一人ひとりが自分に必要な成長を選択できることを迫られる時代にも関わらず、若手社員の多くは明確なキャリア観・仕事観がなく、会社から求められる役割に対しても無自覚であるという問題があることが分かりました。
そんな「無自覚3年目」が、自ら働く意義を見出す若手に変化するために、リ・カレントは次の3つの力を身に着けることを提案します。
①業務遂行:成果を創出し続ける
3年目社員は、指示を与えてもらい明らかに必要な仕事をやるフェーズから、潜在レベルで相手のニーズをとらえ、必要な仕事を自分から提案できるように成長するフェーズです。自分の仕事を点で捉えるのではなく、俯瞰的な視野・視座を持ち、業務全体の中でどんな仕事が求められるのかを考える力が必要です。また従来のやり方を踏襲するだけでなく、新たな価値を生み出すために何ができるか、能動的に仕事に取り組める力も重要です。
②関係構築:周囲と協働する
3年目にもなれば、上司や先輩、同僚と関係構築ができ、周囲を巻き込んで仕事ができるフェーズです。周囲の期待を理解しつつ、上司やチームに主体的に働きかけ、フォロワーシップを発揮できるよう成長できることが望ましいといえます。
③意味づけ:自ら挑戦領域を設定する
これまでの経験を振り返り、自身の価値観や強みを再認識することは、次のステップに進むために重要です。変化の時代において自分が理想とするキャリアを描き、望ましいキャリアから逆算することで、次の挑戦領域を設定できるようになります。何が不足しているか認識できると、指示待ちの状態から、次に自分にとって必要な仕事を考える能動性が身につきます。
これらの力を身に着けることで、与えられた仕事をなんとなくこなしている無自覚な状態から、自分にどんな成長が必要かに気づき、意図的な挑戦を通して働く意義を見出している理想の状態を目指すことができます。
自ら学ぶ社員を育成する学習設計とは
従来は、研修の設計者側が主体になって学習機会をつくり、一方的に社員に学習内容を与えていました。自らが主体となって挑戦する3年目を育成するためには、学習の仕組みそのものも「与える」から、「彼ら自身が主体になる」を重視する必要があります。コロナにより研修機会や現場のサポートも減少している今、学習者主体で学びを進めることができる学習設計はよりいっそう有効になるでしょう。自ら学ぶ社員を育てるには、どのような学習の仕組みが必要でしょうか。学習者主体の研修設計のポイントをご紹介します。
①学習者のおかれている状況、学習者の感情を想定して設計する
下図の「学習者のストーリーライン」(下段の起伏のあるグラフ)をご覧ください。学習者起点の学びを設計するためには、「点」の施策ではなく学習者の感情や意欲の推移を捉え「線」の学習(=ストーリーライン)を設計することが重要です。このストーリーラインに基づき具体的な育成施策を検討します。
②感情が下がるポイントで施策を打つ
学習者の意欲が減退しそうになるポイントで都度フォローアップを行います。タイミングに合わせて柔軟に研修やワークショップの機会を提供できるよう、オンライン・オフラインを組み合わせ育成施策を検討します。オフラインの集合研修では半日~1日、時間と場所の拘束がある中でしか実施ができませんでしたが、オンライン研修はそれらの条件にとらわれず、個別最適に提供することができます。
③職場や上司/受講生同士等の周囲を巻き込んだ設計にする
育成施策の設計において、上司の関わりもデザインすることが重要です。成長要因に研修が寄与するのは、100%のうち10%程度だと言われています。仕事の現場、普段接する周囲の上司・先輩との関わりが受講生の成長を大きく左右します。
具体的には、上司に対しても、研修で部下がどのようなことを学ぶのか研修内容の事前共有を行います。そのうえで、部下が研修で学んだことを現場で実践するための動機付けやサポートを上司から行えるような施策を提案します。
これら3点のポイントを実践するにあたり、どんなツールを選択し、どう組み合わせるのかも、これからの人事に求められる重要な能力の一つです。多くの場合、社員は普段の業務で忙しく研修に対してモチベーションが低いことが考えられます。学びに対する好奇心や、現場から学ぶ姿勢をいかに醸成するか、集合研修で用いる研修ツールだけではなく、動画コンテンツの内容や学習者同士のコミュニケーションの取り方など、現場に学びを組み込めるような育成施策をデザインすることが重要なのではないでしょうか。
組織の未来を担う若手の育成から、新しい時代の学習モデルを
若手社員を取り巻く環境や求められる能力・職場の期待の激変は、コロナ対策に伴うリモート推進によっていっそう加速しています。上司や職場・人事施策に「呼ばれる」「教えられる」時代は終わりを迎えようとしています。3年目を初めとする若手社員が次世代のリーダーとして活躍していくためには、「彼ら自身が起点になって学ぶ」ことがますます重要になります。
今、社会環境の激変に伴い、集合研修・階層別研修といった従来の枠組みの見直しが進んでいます。組織の未来を担う若手の育成から、新しい時代の学習モデルを導入していきませんか。
育成機会激減の“無自覚3年目”を挑戦を通して働く意義を見出す若手へ変える
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