2023.06.8

【管理職研修】自社に必要な育成テーマが必ず決まる2ステップ

「管理職研修のテーマを決めたいけれど、自社にもっとも合うテーマが絞れない」
「すでに実施している研修はあるが、方針変更によって1からテーマを考えなければ……」
そうお困りではないですか?

今回ご紹介する2ステップを使えば、「うちの会社ならでは」の管理職研修のテーマが必ず見つかります。

これまで100社以上の管理職育成を支援してきた研修会社が独自に考案した、自社の管理職に必要なものを本質的かつシンプルに絞り込むフレームを公開。
実際のお客様事例とともに、具体的に解説します。

ぜひ、この記事を読みながら「今、自社に必要な管理職研修は?」を考えてみてください。
複雑で大変、考えてもきりがないように思えた管理職研修のテーマ決めが、驚くほどクリアになります。

石橋 真
監修者
石橋 真
略歴
リ・カレント株式会社 代表取締役社長

監修者詳細

1.「今、自社に必要な管理職研修」のテーマが必ず決まる2ステップ

企業が成長して生き残っていくために管理職育成は欠かせないもの。
自社の管理職をどう育てたいか、ゴール像を示すテーマ決めは重要なものです。

しかし、一口に管理職と言っても、その役割は成果目標達成、人材育成、労働時間管理など多岐にわたります。
だからこそ管理職研修のテーマを決める際には、注力するポイントがぶれないよう明確にしておくことが重要です。

注力するポイントをぶらさず「今、自社に必要な管理職研修」のテーマを決めるために、やっていただきたいのがこの2ステップです。

① 経営方針から「管理職への期待」を抽出する

② 「管理職に求めるもの」を「仕事/人」×「未来/現在」の4象限で整理する

ここからは、それぞれのステップを詳しく解説していきます。

2.管理職研修のテーマ決めステップ1:経営方針から「期待」を抽出する

1ステップ目は、経営方針から「管理職への期待」を抽出する。

「現場からの声や課題に応える必要があるのに、経営層の意向まで考えるのか……」と一見遠回りに思えるかもしれませんが、このステップが重要である2つの理由があります。

① 管理職研修のテーマは、企業の未来と密接に紐づいた「管理職へのメッセージ」である

② 自身への期待を知ることで管理職の成長意欲が劇的に高まる

本章では、この2つの理由を詳しく解説するとともに、期待抽出のための情報収集、管理職研修のテーマ例についてご紹介します。

2-1.管理職研修のテーマは「管理職への期待」を伝えるメッセージ

ついつい現状の課題に目が向きがちな管理職育成ですが、管理職は企業の未来をつくる役割を持っています。
そのため、中期経営計画や社長メッセージなど、企業として今後どうなっていこうとしているのか、経営方針を管理職が理解しているか否かが、自社の5年後の姿を大きく左右します。

つまり、管理職研修のテーマは企業から「管理職への期待」を伝えるメッセージとなるのです。

それゆえ、トップダウン的に経営方針を伝えるのでなく、人事側で要素を抽出したうえで「管理職への期待」として伝えることが重要です。

2-2.「期待を伝える」ことで管理職研修の実践率が3倍上がる

管理職研修のテーマを通して「管理職への期待」を伝えることは、企業方針を管理職に浸透させる効果のほか、管理職自身の意欲にも大きく関わります。

リ・カレントが人事・研修受講者1000名を対象に行ったアンケート調査では、その傾向が顕著に現れました。

研修受講前に「社長からのメッセージ」や「研修のねらい」を伝えられた受講者のうち、職場に戻ってから研修内容を実践した人数は、なんと平均の約3倍となっています。

▼アンケート調査の詳しい結果はこちらから▼

 

こうした理由から、「管理職への期待」を経営方針から抽出することは、企業の行く末に密接に関わる管理職研修の研修効果を高めるうえでも重要なのです。

2-3.管理職の研修受講態度を前のめりにする「WHY(なぜ期待されているか)」

では、具体的にどのようなテーマが、どういった背景から掲げられているのでしょうか。

管理職研修のテーマに関わる経営方針の要素としては、例えば次のようなものがあります。

内閣官房「人的資本:開示事項・指標参考集」より、管理職育成に関する6項目を抜粋

経営方針から「管理職への期待」を抽出する目的は言わずもがな、管理職自身に「自分が何を期待されているのか」を理解してもらうことです。
そのため、WHY(なぜ、それが期待されているか)がポイントとなります。

お客様の事例をもとに、さらに具体的に見ていきましょう。

背景
業績悪化に伴う社長交代で経営方針が転換。
新社長からは「現状維持に努めるだけでなく、新たな問題提起が必要」とのメッセージが発信されました。

管理職への期待
自組織を牽引し、革新を起こす発見・解決型リーダーになる

 

背景
全社でリモートワークが浸透し、社員同士が顔を合わせる機会が減少。
エンゲージメント調査にて、職場内抱え込みによる不満と、成長実感の欠如が顕在していることが明らかになった。

管理職への期待
強みを引き出し、メンバー同士が“助け合えるきっかけ”をつくる

しかし、ここに挙げたのはあくまで一例です。
WHY(なぜ、それが期待されているか)には、各社それぞれ異なる背景や企業理念が大きく関わります。

自社の管理職にどのようなメッセージを届けるのか。
やるべきことはシンプルですが、人事の考え・工夫が色濃く反映されるものだと言えます。

2-4.研修会社が実践!管理職研修テーマ抽出のための情報収集

ここまでの記事を読んで、「管理職への期待を抽出すると言っても何を基にすればよいのか」と悩まれる方がいるかもしれません。

そこで、実際に研修会社がこうしたテーマ抽出に際して材料とすることが多い3つをご紹介します。

・中期経営計画

・企業理念

・社長メッセージ

1つ目の中期経営計画は、もっともベーシックなやり方です。
企業の3~5年後の姿が端的に表されており、管理職層に経営視点で業務を俯瞰させることも期待できます。

2つ目の企業理念は、特にグループ企業において重視される傾向があります。
ホールディングスとしての共通理念や、そこから派生した自社独自の役割を考える際に立ち返るものとなるでしょう。

3つ目は社長メッセージです。
経営者交代による方針転換があった際には、必ず確認したいものになります。
企業によっては、抽出というやり方を超えて、研修当日に社長講話の形で「管理職への期待」を届けるケースもあります。

リ・カレントでは、「管理職研修のテーマ決めにあたって、メッセージの抽出から手伝ってもらいたい」というお客様からのご相談も多く承っております。

これまで100社以上の管理職育成を支援してきた実績から、貴社独自の管理職研修テーマをご提供します。
ぜひお気軽にご相談ください。

▼管理職研修テーマのメッセージについてご相談したい方はこちら▼

3.管理職研修のテーマ決めステップ2:たったこれだけ!「仕事/人」×「未来/現在」4象限で整理

2ステップ目は、「管理職に求めるもの」を「仕事/人」×「未来/現在」の4象限で整理する。
たったこれだけで「管理職に求めるもの」が明確になります。

この4象限の図は、私達リ・カレントがのべ3万人以上に研修を提供してきた中で伺った、管理職にまつわる様々な課題感をもとに考案しました。

企業における管理職には、大きく分けて2つの役割があります。

・組織目標達成のために他者を動かして成果を出す

・企業の将来のために組織力を向上させる

企業によってどこを重視するかは様々ですが、管理職に求めるものは必ずここに帰結します。

この4象限を活用すれば、人事部門で抱えている課題感だけにとらわれず、管理職の役割を俯瞰したうえで注力するポイントが自ずと明確になります。

つまり、管理職研修のテーマを決めるには、経営方針から「企業から管理職への期待」を抽出し、「仕事/人」×「未来/現在」の4象限で整理する。これが全てです。

4章からは、この4象限のそれぞれに注力した事例をご紹介します。

4.管理職向け研修テーマ例①仕事×未来=仕事の革新(リーダーシップ)

一つ目は「仕事×未来=仕事の革新(リーダーシップ)」に注力した事例です。

背景としては、業績悪化に伴う社長交代で経営方針が転換。
新社長からは「現状維持に努めるだけでなく、新たな問題提起が必要」とのメッセージが発信されました。

研修担当者からは「現在からの延長戦ではなく、未来からの逆算で自組織のあるべき姿を描ける管理職になってほしい」というご要望をいただきました。

これらを踏まえて、管理職への期待として「自組織を牽引し、革新を起こす発見・解決型リーダーになる」がテーマとなりました。

研修全体像は、次のようなものです。
問題発見・解決力を主コンテンツとして設計されています。

リーダーシップが注力ポイントであることから、あえて研修を二度に分け、自部署で実際にリーダーとして問題発見・課題解決を行う実践期間が設けられているのが特徴です。

5.管理職向け研修テーマ例②仕事×現在=仕事の管理(マネジメントスキル)

二つ目は仕事×現在=仕事の管理(マネジメントスキル)に注力した事例です。

背景としては、人的資本の開示が推奨される中で、企業の中期経営計画が刷新。
「社員一人一人を大切にする」ことが基本理念として明記されました。

これを受けて、人事部門では「管理職が部下それぞれへ目を配ってほしい」「加えて、管理職が一人で仕事を抱え込みがちな現状を改善したい」という要望がありました。

こうした管理職への期待から、掲げられたテーマは「マネジメントの原理原則を学び、スーパープレイヤーからマネジャーへ」。

研修全体像は、次のようになっています。
コンテンツはマネジメントの基礎知識から始まり、実践的なプロセスマネジメントを学べるよう設計されています。

多様なマネジメントスキルの中でも、部下への権限移譲や業務の棚卸といった業務管理に関する内容に比重を置いているのが特徴です。

6.管理職向け研修テーマ例③人×未来=人材育成

三つ目は人×未来=人材育成に注力した事例です。

こちらは営業部の人材育成担当が主幹で行った管理職育成施策となっており、コロナ禍による業績低下を受けて「部内のメンバー全員の営業力を底上げしたい」と企画されたものです。
そのため、メンバー層の個々人に向けて営業力強化研修が実施されると同時に、管理職層には日常業務を通してのトレーニングが期待されていました。

これらを受け、掲げられたテーマは「自身の片腕として、案件を取りこぼさない営業を育てる」。

人材育成戦略の策定・実践をコンテンツの主として、研修全体像は次のようになりました。

管理職自身に自部署のMVVに紐づいた人材育成戦略を考えさせ、長期スパンで育成状況を見守る設計となっている点が特徴です。

7.管理職向け研修テーマ例④人×現在=関係性構築

四つ目は人×現在=関係性構築に注力した事例です。

背景としては、全社でリモートワークが浸透し、社員同士が顔を合わせる機会が減少。
エンゲージメント調査にて、職場内抱え込みによる不満と、成長実感の欠如が顕在していることが明らかになったことを受けて、管理職を中心とした研修が企画されました。

人事部門からは「管理職自身もやるべきことが多い中で、負担をかけずに状況改善を目指したい」と要望がありました。

そこで、「強みを引き出し、メンバー同士が“助け合えるきっかけ”をつくる」ことが管理職への期待として、テーマとなりました。

研修全体像は次のようになっています。
コンテンツはチームビルディングを主として、管理職がメンバーそれぞれの強みを把握できるよう設計されています。

対メンバーとの1on1での関係性構築だけでなく、メンバー同士の強みの掛け合わせまで管理職の視点で考えるセクションが設けられているのが特徴です。

まとめ

この記事では、自社に必要な管理職研修のテーマが必ず見つかる2ステップを解説しました。

・経営方針から「管理職への期待」を抽出する

・「管理職に求めるもの」を「仕事/人」×「未来/現在」の4象限で整理する

一口に管理職と言っても、その役割は成果目標達成、人材育成、労働時間管理など多岐にわたります。
だからこそ管理職研修のテーマを決める際には、企業から管理職への期待を伝えるメッセージとなるよう、注力するポイントWHY(なぜ、管理職にそれを期待しているか)を明確にしておくことが重要です。

4章~7章でご紹介したお客様事例も参考にしていただき、「自社ならでは」の管理職研修テーマをぜひ見つけてください。

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