2023.08.18

職場実践に確実につながるチーム貢献フォロワーシップ 5ステップ

役職なしの20代社員、「役割なし」になっていませんか?
近ごろ、若手社員のフォロワーシップ発揮に関するご相談が増えております。

  • 20代社員に応用力に欠ける指示待ち状態が多く、30代でのリーダー登用に向けた育成ができていない
  • 20代社員が上司とうまく関係性を築けておらず、貢献意識が薄い
  • 変化対応力を高めるために部下からの提言・提案を求めても、部下・上司双方から反発が起きる

彼ら20代社員にフォロワーシップ発揮を求めてもうまくいかない背景には、「フォロワーシップ=上司との関わりの中で発揮するもの」という誤解が根ざしているかもしれません。

20代社員のフォロワーシップ発揮に重要なのは、「貢献」の矢印を上司ではなくチームに向けること。

今回は、職場実践に確実につながるチーム貢献フォロワーシップの5ステップをご紹介します。

森 仁
監修者
森 仁
略歴
リ・カレント株式会社 人材組織開発プロデュース部

監修者詳細

1.フォロワーシップとは「リーダーとの関係性」

まずは、フォロワーシップとは何かについて、一度捉えなおしてみましょう。
フォロワーシップ=「上司への貢献」と捉えられることも多いですが、これは誤解と言えます。

リーダーシップやフォロワーシップには明確な定義はなく、様々な視点から捉えられます。これらの研究には特性やプロセスなどのアプローチがありますが、現代では特にプロセスが重要視されるようになってきました。

本コラムで扱うフォロワーシップとは、フォロワー自身が行動を通じてチームや組織の目標達成にどのように影響を与えるのかというプロセスにおける「リーダーとの関係性」を指します。

フォロワーシップのスタイルには、受動的なものから積極的なものまで様々なタイプがあります。
しかし、フォロワーシップの本質は、リーダーシップとの関係性に依存しないという点には注意が必要でしょう。
冒頭に挙げた「フォロワーシップ=上司への貢献」という誤解も、この点に端を発しているものと思われます。

フォロワーは、リーダーに依存せずにチーム全体の目標に向けて行動することが求められます。
つまり、仮にリーダーが変わったとしても、フォロワーシップの発揮は変わるべきではなく、チームの目的を優先する姿勢が重要となります。
極論を言えば、チームの目的に対してリーダーの言動が適切でなければ、フォロワーが主導してリーダーの変容や交代を求めることもあり得ます。
あくまでも優先順位はチームにあるのです。

こうした”対チーム”フォロワーシップは、単にリーダーの指導を受けるだけでなく、チーム全体の成果に貢献し、自己の主体性を持ちながら成長していくための重要な要素と言えます。

▼「リ・カレントが考えるフォロワーシップとは?」詳しく知りたい方はこちら▼

フォロワーシップになぜ着目するのか?

2.『忠臣蔵』から読み解く“対チーム”フォロワーシップ

“対チーム”フォロワーシップについては、日本でよく知られる忠臣蔵の物語を通じてその本質に迫ることができます。

この物語は浅野内匠頭と大石内蔵助の関係から始まります。
浅野内匠頭は吉良上野介に襲いかかり、切腹を命じられます。赤穂藩の藩主である浅野内匠頭の死により、大石内蔵助は主君の仇討ちを誓います。しかし、物語は単なる仇討ちの話ではありません。

物語を深く掘り下げてみると、大石内蔵助の真の目的は御家の再興でした。
彼は仇討ちを通じて藩の名誉を取り戻すことを望んでいました。

ここには、主君への忠義だけでなく、藩の発展と復興を目指すフォロワーシップの側面が浮かび上がります。

『忠臣蔵』の物語の核として描かれているのは主君への忠義です。
しかし、その先には藩や社会全体に対する忠義が存在し、これがフォロワーシップの本質とも言えるでしょう。
大石内蔵助は主君に仕えるだけでなく、藩の存続と再生を願い、そのために自己犠牲を厭わなかったのです。

総括すると、『忠臣蔵』の物語は主君への忠誠だけでなく、社会への貢献や発展を追求するフォロワーシップの側面を浮き彫りにしています。
大石内蔵助の行動は、個人の信念と社会への献身が交錯した結果に生まれたものであり、その意味でフォロワーシップの典型と言えるでしょう。

この、リーダーシップだけでなく、チーム全体の一体感が大切であるという考え方は現代においても通用するものでしょう。

指導者に対するフォロワーシップだけでなく、共通の価値観や目標に基づく一体感が大切であり、個々のチームに対しての貢献意識が組織全体の発展に繋がることを忘れずに行動することが重要だったのは、昔も今も変わらないと言えるかもしれません。

“対チーム”フォロワーシップ発揮の5ステップ

では、チームに向けてフォロワーシップを発揮するためには、具体的にどのようなことが必要となるのでしょうか。
リ・カレントでは、フォロワーがとるべき行動を以下の5ステップに整理しています。

 

  • 0.自身の立ち位置を把握する
    自分の役割や現在の立ち位置を理解し、チームへのアウトプットを行う
  • 1.チームの目的・目標・状態を知る
    チームの目的や目標、現在の状態を理解することによって、進むべき方向性をリーダーと共有する
  • 2.チームとコミュニケーションを図る
    コミュニケーションを図ることで、メンバー同士の理解を深める
  • 3.チームのニーズを把握する
    メンバーが考える理想と実際のチームのギャップや、求めている点を把握する
  • 4.チームの不足を補佐する
    メンバーのニーズやコミュニケーションを通して、チームに不足している点を理解し、自身のスキルや能力で補完する提案を行う
  • 5.チームに提言・提案する
    チーム全体の進歩を促進するために、自分から提案を行い、行動に移す

フォロワーシップの発揮は、チーム全体の目標達成や効率向上を通じて、自身のキャリアを発展させることにもつながります。

先に述べた5ステップを実践するには、常にチームの未来を想像し、チームワークを重視する姿勢を持ち続けることが必要になります。
このように現在と未来のチームのギャップについて考える習慣を持つことは、自身のキャリアを考える上でも大きく役立ちます。

自身のフォロワーシップ発揮度を知る「フォロワーシップ診断」

では、実際に自身がフォロワーシップを発揮できているかどうかは、どのようにして把握することができるでしょうか。

ここでは、自身のフォロワーシップ発揮度を理解するために私達リ・カレントが開発した「フォロワーシップ診断」をご紹介します。

  1. 設問例から自分を理解する

自分の働き方やチーム内での役割を振り返り、どのようなフォロワーシップを発揮しているかを客観的に把握する

  1. フォロワーシップの発揮タイプを知る

リーダーと協働する姿勢で働けているか、あるいは依存関係に陥っていないかを確認することで、チームメンバーとしての自立心や協力能力を考えながら、フォロワーシップのバランスを見つける

  1. チームへの貢献度を考える

チーム全体の目標達成に向けて、自分がどれだけチームに貢献しているかを振り返り、自分の役割や行動がチームの成果にどれだけ影響を与えているかを考える

フォロワーシップ診断は、自己分析やチーム内での役割確認に役立つツールです。
チーム全体のパフォーマンス向上に貢献するために、自身のフォロワーシップ発揮度を知り、その結果を元に改善策を考えることができます。
自分の成長とチームの成功を共に追求する姿勢が、良好なフォロワーシップを築く一歩となるでしょう。

まとめ

今回は、職場実践に確実につながるチーム貢献フォロワーシップの5ステップをご紹介しました。

フォロワーシップは、リーダー(上司)への貢献を指すのではありません。
フォロワー自身が行動を通じてチームや組織の目標達成にどのように影響を与えるのかというプロセスにおける「リーダーとの関係性」を示すものです。

フォロワーは、リーダーに依存せずにチーム全体の目標に向けて行動することが求められます。
こうした”対チーム”フォロワーシップは、単にリーダーの指導を受けるだけでなく、チーム全体の成果に貢献し、自己の主体性を持ちながら成長していくための重要な要素と言えます。

2章では、『忠臣蔵』の物語を通して、対チームフォロワーシップについて読み解いていきました。

フォロワーシップの発揮は、チーム全体の目標達成や効率向上を通じて、自身のキャリアを発展させることにもつながります。

メンバーが自身のフォロワーシップ発揮度を理解するには、リ・カレント独自開発の診断ツール「フォロワーシップ診断」をぜひご活用ください。

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