2023.10.18

人事が知っておくべき24卒内定者 4つの特徴と2つのテコ入れポイント

来年春に入社してくる24卒新入社員は、大学入学をコロナ禍の緊急事態宣言下で迎え、3年生時の2022年まで閉鎖的な状況で大学生時代を過ごしてきました。
つまり、これまでの世代よりも大学時代における対面コミュニケーション機会が極端に減っている世代だと言えます。
リ・カレントでは、彼らの過ごしてきた時代背景や、そこから生まれた思考特性から24卒内定者に起きがちな4つの傾向を抽出しました。
今回の記事では、24卒内定者の傾向と、それを踏まえて内定者時代にさせておきたい経験→振り返りの習慣づけについてお伝えします。
「誰も手を上げない新人研修」を迎えないために、新人育成担当者が知っておきたい24卒内定者 4つの傾向と今のうちから彼らに伝えておくべき2つの学習ポイントを、ぜひ本記事でお持ち帰りください。

鷲尾 大樹
監修者
鷲尾 大樹
略歴
リ・カレント株式会社 ラーニングD³

監修者詳細

24卒内定者に潜む4つのネガティブ傾向

24卒内定者の傾向について考えるとき、まず気になるのが「23卒と24卒、何が違うのか」という点でしょう。
結論からお伝えすると、革新的な変化は感じられません。
ただし、23卒で既に見られる一部の特徴が、24卒においてはさらに強く表れる可能性があります。

新入社員の「二極化」は近年進みつつありますが、それは24卒内定者においても顕著でしょう。
本記事では、24卒内定者が持つ様々な特徴の中でも、彼らの成長を促進するために人事担当者に知っておいていただきたいネガティブな側面に焦点を当て、お伝えしてまいります。

  1. ストレス耐性が低い
    新たな状況や人間関係に対してストレスを感じやすく、自分のコンフォートゾーンから外れることを恐れやすい傾向があります。
    入社式や導入研修といった場も、彼らにとってはストレスのかかる状況にあたるかもしれません。
  2. 受け身な姿勢
    自分の行動が周囲に迷惑をかけるのではないかと不安に感じ、上の世代からは「受け身」であるように見える言動を選ぶ傾向があります。
    自己評価が下がるリスクのある行動を避けるため、研修など他者の目がある場で挙手しての発言をしないといったことが見られるでしょう。
  3. モヤモヤ感
    曖昧な情報に対してモヤモヤとした疑問を抱き続け、明快な答えを求める傾向が見られます。
    「分からないもの」を割り切って考えることができず、仕事や将来に関する過度の不安や悩みが日常的に続くことがあり得ます。
  4. 責任感が弱い
    組織や上司・先輩との関係に対して想像力が働かず、自分の行動による影響に気づきづらい傾向があります。
    それゆえ、上司・先輩は完璧な存在で想定通りの指示や答えをくれると考え、「言われたことはやりました」「私にはできません(先輩ならもっと上手くやれるはず)」といった言動をとることで、責任感が弱いように見えてしまうのです。

では、こうしたネガティブ傾向はなぜ生まれるのでしょうか。
私達リ・カレントでは、「曖昧さ耐性」という観点に着目しました。

なぜ「ネガティブ傾向」が生まれるのか?

「曖昧さ耐性」とは、不明確な状況にどれだけ不安を感じるかを指します。

例を挙げると、新しい仕事に挑戦する際、具体的な指示が不明確で、どのように進めるべきか、誰と協力すべきか、いつまで続けるべきかがわからない場面でどれだけストレスを感じるかというものです。

曖昧さ耐性が低いと、その不安を軽減しようと質問をし、方法を模索し、最悪の場合には、自分の将来や組織の合理性に疑念を抱くことがあります。
このような不安が長期間続くと、ストレス耐性の低さやモヤモヤ感といった傾向が顕著になっていきます。

特に現代の仕事環境では、予測が難しく、不確かさが日常の一部です。
不安を解消しようとするよりも、不安と共存し、適切に対処する方法を見つけることが重要となります。

しかし、24卒内定者は自己効力感が低く、不安を克服するための最初の一歩を踏み出しにくい状況にあります。
これは成功体験や代理体験が不足しているためであり、彼らが自分で課題を設定し、その結果を受け入れる経験が不足しているからです。
コロナ禍の中で大学4年間の大半を過ごしたという社会的要因も彼らの自己効力感を低下させる一因となっており、彼らは自分に自信を持ちづらい状況にあります。

こうした自己効力感の低さが、人事担当者や上司・先輩からは「受け身の姿勢」や「責任感の弱さ」といったように映るのです。

人事担当者が24卒内定者に向けて今からできる/やるべき2つのこと

24卒内定者のこうしたネガティブ傾向とその背景を踏まえて、彼らが新入社員として成長する4月を迎えるにはどのようなアドバイスが効果的でしょうか。
ポイントとなるのは、曖昧なものと自分に対する認知転換です。

その観点から、人事担当者の皆様に24卒内定者に向けて今からやっていただきたい2つのことをご紹介します。

1つ目は、「能動的な行動の後押し」です。
内定者期間を「自己効力感を高めるための期間」と捉え、自分が面白いと思うことや興味を持ったことに没頭することを内定者に勧めてください。

2つ目は「ポジティブな意味付けのトレーニング」です。
内定者期間の出来事をポジティブな成長の機会として捉えるよう促し、自分の成長や変化に対して意図的に前向きな意味付けをする習慣づけができるよう内定者をサポートするとよいでしょう。

リ・カレントでは特に2つ目「ポジティブな意味づけ」のためのトレーニングプログラムを提供しています。
昨今、新入社員研修や新入社員フォロー研修でも導入企業が増えている内省力強化プログラムをご紹介します。

プログラム例:内定者向け「ポジティブな意味づけ」トレーニング

「ポジティブな意味づけ」のためのポイントとなるのは、自己認知と他者からのフィードバックを受け入れて抽象化し、自己成長に繋げることで内省力を高めることです。

リ・カレントのプログラムではこの「内省力」強化に着目しています。
自身の経験とそこから得た価値観を言葉にし、内定者同士で「自分にはどんな似た経験があるだろう?」「自分だったら、この経験から何を得たと感じるだろう?」と共有しあうことで、自身の行動に意味づけをする体験を研修内で繰り返し行います。

このプログラムは入社前の内定者期間に実施するのはもちろん、新入社員に対して導入研修や入社1年間の振り返りフォロー研修に取り入れるのも効果的です。

▶「新入社員が経験を拡げて活かす内省力強化3ステップ」詳しくはこちら

まとめ

本記事では、24卒内定者 4つのネガティブ傾向と今のうちから彼らに伝えておくべき2つの学習ポイントをご紹介しました。

  • ストレス耐性が低い
  • 受け身な姿勢が強い
  • ずっと“もやもや”している
  • 責任感が弱い

今回焦点を当てたのは、24卒内定者が持つ様々な特徴の中でも彼らの成長を促進するために人事担当者に知っておいていただきたいネガティブに働き得る側面です。

ポジティブ・ネガティブ両側面に2極化することが予想されるこの世代。
この記事で取り上げた特徴が顕著に見られた場合、丁寧なケアが必要となるという視点で、貴社施策にお役立ていただければ幸いです。

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