2022.06.29

部下に任せたいけど・任せられない管理職が陥る「8つのアンコンシャス・バイアス」

〜「心理的”非”安全」から脱却させるマネジメント・エフィカシー〜

急激な環境変化に伴い、管理職の「役割・責任」と「心理的負担」は増加傾向にあります。
生産性・効率性が追及される現在、「自分がすべて確認しないと不安」「出来るのは自分しかいない」といった心理的”非”安全状態にある方を周りで見かけませんか?

今回は、管理職が陥る「8つのアンコンシャス・バイアス」と、心理的”非”安全から脱却させるマネジメント・エフィカシーについて解説します。

■なぜ管理欲はアンコンシャス・バイアスに陥るのか~将来の自分を指す“自己効力感”が足りていない?

管理職が陥りがちなアンコンシャス・バイアスは、「部下に任せると失敗する」や「○○さんはこの業務量が限界」というものです。

その背景には、部下を介した成果創出にイメージが持てず、自身のマネジメント・エフィカシーに自信が持てていない様子がうかがえます。

今回は、その心理的要因について考えてみましょう。

まず、自信は次の2つから成り立つとされています。

①自己肯定感

②自己効力感

過去から積み上げられてきた今の自分を肯定できるかが、自己肯定感につながります。
①の自己肯定感は「過去の自分の成功体験」を指しているのに対し、②の自己効力感は「未来の自分がマネジメント業務を効果的にできるという自信」を指します。

将来への自己効力感が低い場合は、無意識的に過去の自己肯定感で現状維持しようとする傾向があります。
そのため、不安を感じる管理職は、プレイングで成果を出していた自分の経験に戻ってしまうのです。
このようなことが、無意識のうちに心理的に起こっています。

コロナ禍では、多くの管理職がプレッシャーを抱えており、自己効力感が低い状態になりやすいと言えるでしょう。

■マネジメント志向性を高めるために ~ネガティブ認知からポジティブ認知への転換

では、マネジメント志向性を高めるためにはどのようにしたら良いのでしょうか。

心理的に非安全ということは、現状に対してネガティブ認知に陥っているといえます。
すなわち、過去のプレイングの状態を維持しようとしている状態です。

人は自己対話を1日に12,000回~60,000回ほど、相手との対話の2倍のスピードで行っているといわれています。
その際、否定的:肯定的=8:2といったように、ネガティブな部分が多くなり、マネジメントにおいても同様に否定的な考えに傾いてしまうことが多くあります。

マネジメント志向性を高めるためには、これらの認知をネガティブからポジティブへ変化させていく必要があります。

■「8つのアンコンシャス・バイアス」セルフチェック

あわせて、管理職の方達に行なっていただきたいのが、アンコンシャス・バイアスのセルフチェックです。
「部下には任せられない」「自分がやったほうが早い」といった、思い込みを持っていませんか?

このようなアンコンシャス・バイアスから抜け出すためには、それぞれのチェックポイントを確認することが有効です。

例えば、「①限界の設定」のチェックポイントは以下の通りです。

・メンバーが自分の能力スキルよりも低いレベルの仕事を大量に抱え込んでいないか

・メンバーは仕事に優先順位をつけ、段取りを組んで効率的に処理しているか

これらのチェックポイントを踏まえ、自身がどの点にアンコンシャス・バイアスがあるのかを把握することが大切です。

■“部下に任せられない”から脱却するために ~マネジメント主務の選択・集中

では、部下に任せられず自身がプレイングに注力してしまう点を、どのように変えていくのが良いのでしょうか。

まず有効なのが、マネジメント主務を選択し、集中するという考え方です。

マネジメント副務は、年次の高いメンバーにサポートとして入ってもらうことが必要です。
また、自分が行っているプレイング業務は、アンコンシャス・バイアスを外して部下へ権限を委譲していく必要があります。

しかし、このように業務を振り分けていくと、マネジメント側の管理負荷がより高くなると考える方もいるのではないでしょうか。

実際、管理職のリーダーシップだけでチームを機能させていると、懸念通りマネジメント側に大きく管理負荷がかかります。
ここで重要となるのが、チーム内の中核人材からフォロワーシップを上手く引き出すことです。

具体的には、リーダーのビジョンを翻訳し具体化したり、時には提言や提案をしながら建設的に批判したり、リーダーの意思を現場へ浸透しやすくさせるといった言動です。

こうしたフォロワーシップをチーム内からうまく引き出せると、管理職が孤軍奮闘せずともチームワークが機能しはじめます。

■マネジメント・エフィカシーを向上させるために必要な4要素

ここまで、管理職がチームを機能させるための心理的・業務的側面について解説してきました。
続いてご紹介するのは「マネジメント・エフィカシー」という新たな考え方です。

管理職自身がマネジメントを通して、自己成長を実感し、やりがいを見出す。
このマネジメント・エフィカシーは、マネジメント業務における「板挟み、業務過多による疲弊感」の解消に大きく影響します。
マネジメント・エフィカシーの向上には、大きく4つの要素が必要です。

自己効力感を高める

アルバート・バンデューラは「自己効力感を高める4つの要素」として、「制御体験」「代理体験」「言語的説得」「生理的状態」があることを提唱しています。

周囲からの承認の言葉はもちろん、身体的に健全であることも自己効力感に影響することがわかっています。

経験学習サイクルを回す

マネジメントの経験をしたのち、1週間から1カ月に1回程度内省をし、その結果学んだことを自身で法則化していくことが大切です。
持論を紡ぎ出しストックを重ねていくことで、新たなチャレンジに転用していくことが可能です。

加えてうまくいかなかった経験も、内省をして持論を導き出すと、効力感は上がっていくことができます。
すなわち失敗経験を見つめ直すことから逃げてはいけないということです。

チームを巻き込む

マネジメントを行うようになると、褒められる機会は極端に減少します。

チームを上手く巻き込み、互いを賞賛し合う文化づくりが必要です。
特に、管理職自身が積極的にメンバーに対してポジティブ・フィードバックを繰り返すことが、結果的にマネージャー自身の自己効力感を高めることにも繋がります。
メンバーへのフィードバックを、いわば鏡のように自身でも受け止め、自分自身のマネジメント・エフィカシーを向上させることが可能となるのです。

問いを投げかける

「そもそも何故、何のために」「何を目指して」「何を大事に」
この3つの問いを自身に投げかけることで、目的を軸とした思考が習慣化されます。

同時に、チームを運営していく上での価値軸を打ち立て、メンバーのフォロワーシップを引き出すことに繋がります。

■世界を変える行動は、リーダーの内省から生まれる

マネジメント・エフィカシーを向上させるためには、一人で抱え込むのではなく、仲間と少し賢く懸命に実装していくことが大切です。
「世界を変える行動は、リーダーの内省から生まれる」というキーワードのもと、まずは自身のアンコンシャス・バイアスを見つけるところからはじめてみてはいかがでしょうか。

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