2021.06.21

【セミナーレポート】”Why”を語り周囲を巻き込む次世代マネジャー育成3ステップ~即戦力マネジャーを”6か月”で育成する”ブレンデッドラーニング”とは?~

「次世代の管理職を早く育てなければ…」

経営層から次世代マネジャー育成の課題を共有された人事部のあなた。とはいえ、どんなマネジャーを育成するべきか、経営層の中でも要望はばらばら。就業環境がオンラインに変化した中、従来と同じ育成プログラムでは、研修で学んだことを現場で実践・習慣化するのも難しい。そう悩まれている方も多いのではないでしょうか。

人事の今の課題を解決する、次の2つをキーワードとして、即戦力マネジャー育成プログラムをご紹介します。

①新しい能力要件に関する合意形成:経営層、現場を巻き込んだ、アフターコロナにおける能力要件の形成

②ブレンデッドラーニング:研修で学んだことを、オンラインの力を借りて実践する

上記2点を踏まえたプログラムにより、わずか6か月間でマインド醸成からスキルアップまでを達成した事例も。

本セミナーでは、次世代マネジャー育成のための考え方と育成プログラムの概要をお伝えしました。

次世代マネジャーの育成と選抜における問題

「オンライン研修では、マインドセットまでできないのでは…」

「研修当日は効果があるように見えても、リモートワークになりその後の経過観察が難しい…」

「そもそもマネジャーへの昇格候補者が不足している…」

このような人事のお悩みの声が聞かれます。過去の事例から、リ・カレントでは次世代マネジャーの育成・選抜において、次のような問題があると考えています。

 

マネジャー育成の問題点:スキル偏重

マネジャー育成が業務やスキルインプットに偏り、マネジメントスキルを「知っている」ものの実際には「人を動かせない」マネジャーが増えています。

行動を裏付ける価値観である、「スタンス(マインド)」がセットされないままスキルだけインプットされてしまうと、学習効果が「知っている」レベルで止まってしまいます。

自分や他者の動機付けには、「Why(何のために)」を語り情動に働きかけるアプローチが必要です。

 

マネジャー選抜の問題点①:業績偏重

昇格候補者の選抜が業績評価に偏ると、部下を育てられないマネジャーが輩出される傾向にあります。

業績のみを選抜基準にすると、一人のプレイヤーとして結果を出せていても、対人スキルが低く部下の気持ちが理解できない人や、プレイヤーの意識を抜け出せずスキルが属人化する傾向があります。

 

しかし、その選抜基準について経営層と合意形成を図ることも課題です。

 

リ・カレントでは、業績(Performance)だけでなく、人物(Personality)、潜在性(Potential)の3つのPを選抜の観点に据えることを推奨します。

業績・人物・潜在性それぞれについて、人事の方と協力しながら評価基準を作成し、選抜の観点を可視化していきます。

 

マネジャー選抜の問題点②:昇格候補者の不足

マネジャーへの昇格候補者が不足し、マネジャーになりたくない人もならざるを得ない状況が生まれています。限られたマネジャー候補に投資し、マネジャーの意味・意義を啓蒙していくことが5年後・10年後の組織のリスクを予防することにつながります。

これからの次世代マネジャーに求められる力とその育成方法

次世代マネジャーに求められる「フォロワーシップ」

これからの時代に求められる価値観は、従来のピラミッド型組織による「競争」から、ネットワーク型の「共創」へと変化しています。個人・個々の会社が1位を競い合うのではなく、お互いがフラットな関係にあり、協働しながら成果を出すことが求められています。

このように、社内・社外を巻き込む力をリ・カレントでは「フォロワーシップ」と呼んでいます。

フォロワーシップは、コアとなる「主体性」+3つのドライバーによってトレーニングします。

しかし、トレーニングがオンラインになり、対面の場では自然と行われていた受講生同士の健全な競争や、懇親会での本音を語る場面がなくなり、マインド醸成を行うため育成プロセスに工夫が必要になりました。

そこで、従来のフォロワーシップ育成プログラムに加え、マインドセットを加えた新しい育成プロセスを紹介します。

 

マインドセットを変える次世代マネジャー育成3フェーズ

現場実践を通じて、やらされマネジャーから「自分がマネジャーだったら」へマインドセットを変える、3フェーズによるトレーニングプログラムを構築しました。

<次世代マネジャー育成3フェーズ>

フェーズ1 これまでの仕事から自分のスタンス(Why)を見つける

過去の自分の行動から、それを裏付ける価値観を言語化します。

具体的には、次世代マネジャーの選抜要件を評価項目として整理し、一人ひとりの評価とフィードバックを1対1の対話によって行います。

フェーズ2 他者を動かすために職場のWhyを自分の言葉で語る

映像を活用しミッション・ビジョン・バリュー(MVV)が人を動かす力を体感した上で、職場のMVVを自分の言葉で語り、自分事化していきます。

具体的には、研修の募集案内の際、経営層からのメッセージや研修で得られる成長について映像で見てもらうことで、情動に訴えかけ、研修への参画感を高めます。

フェーズ3 現場の実践を振り返り、マネジャー候補同士で共有する

受講生同士の共有により、フォロワーシップを育てる主体性+3つのドライバーを醸成します。

研修の手法に、オンラインの力を借りて現場実践を可視化する「ブレンデッドラーニング」を取り入れ、受講生が現場実践したことやその成長をデータ化し、定量的・定性的に評価できるようにします。

育成3フェーズを経ることで、マネジャー選抜・育成の問題点を解消するだけでなく、オンラインの力を借りて短期間でのマネジャー育成も実現できるようになります。

次のセクションでは、研修の選抜要件の策定から研修の案内までの流れ、研修プログラムの全体像について説明します。

次世代マネジャーとはどんな社員?次世代マネジャー選抜要件

どんな人物を次世代マネジャー候補として選抜するべきか、その要件定義や合意形成は重要な課題です。リ・カレントでは、次世代マネジャーとなる人物の要件を3ステップで策定しています。

STEP1:能力要件の作成

次世代マネジャーに必要な能力要件を整理します。各社のコンピテンシーや、スター人材と評価される人物にヒアリングを行ったうえで、試作段階の能力要件を作成します。

STEP2:人物像について調査

次に、試作段階の能力要件の中から重要なものに順位付けを行います。経営層の中で順位付けにばらつきがある項目に対して、ヒアリングを行ったうえで認識のすり合わせをします。経営層にもこの要件出しに関わってもらうことで、マネジャーの選抜要件に対するコミットメントを引き出す意図もあります。

STEP3:再検討・最終決定

最終的に整理されたマネジャー能力要件として重要な項目を360度診断の項目に落とし込みます。また、決定した要件で現状の受講者を評価し、経営層の期待と現状のギャップを抽出した上で、重点育成課題を明らかにし、研修メニューを組み立てていきます。

経営層を巻き込んで能力要件を定義し、重点育成課題を明らかにすることで、次世代マネジャー育成に対する経営層の参画感を高めながら合意形成を進めることができます。

次に、マネジャー候補者となる受講生が自ら動機付けをし、研修に対する参画感を高めるための工夫をお伝えします。

選抜研修への参画感を高める工夫

従来の集合研修と異なり、オンライン環境では受講生自身が何を学ぶかを意識しているかによって、学べる内容が左右されます。研修のお知らせの段階から、受講生の研修に対する動機付けをいかに行うか、研修の参画感をどう高めるかが重要になります。

研修に対する動機付けの工夫として、リ・カレントでは動画活用を推奨しています。経営層からのメッセージや、育成施策の全体像を動画にし、マネジャーとなることの意味・意義を情動から伝えます。

また研修自体を手挙げ制にすることで、研修へのコミットメントを引き出します。

「ブレンデッドラーニング」による次世代マネジャー育成プログラム

育成プログラム設計の考え方・ポイント

最後に、育成プログラム設計の考え方・ポイント、リ・カレントにおけるブレンデッドラーニングモデルについてお伝えします。

プログラム設計の考え方①行動変容に焦点を当てる

現場がどう変わることがゴールなのかを事前に定義しておくことが重要です。リ・カレントからも提示したうえで、人事や経営層と対話しながら研修の目的の認識合わせをします。

プログラム設計の考え方②ブレンデッドラーニングを取り入れる

従来の研修で行っていた学習項目を取り入れつつ、それらを動画やテスト、オンライン研修等様々なツールを組み合わせ、実践しながら学ぶ「ブレンデッドラーニング」によってプログラムを設計します。

これらの考え方の元となるプログラム設計のポイントは、「学習体験」を支援すること。

7:2:1の法則に述べられるように、研修から得られる学びは1割にしか及びません。

業務経験からの学びと研修からの学びを結びつける設計をすることで、受講生が日々の業務の中で学習できるようになるようなプログラム設計がポイントとなります。

育成プログラムの流れ

育成プログラムは、大まかに次の流れで進みます。

①マインドセット

②スキルセット・プレゼン

③現場実践(②・③の繰り返し)

④経営層へのプレゼン

①マインドセットの方法として、360度診断とそのフィードバックを行います。

各社のマネジャー選抜要件に合わせた評価項目による360度評価を行い、受講生の現在地を本人・上司・講師の3者で理解します。

また、この360度診断は育成プログラム終了後の成長を定量評価する指標としても活用します。

②中間プレゼンおよび④経営層へのプレゼンでは、組織変革のため自分が実践したこととその成果をプレゼンし、受講生同士の相互フィードバックを行います。相互評価を行うことでモチベーションを高め、また定性的な評価が可視化されます。

ブレンデッドラーニングモデルとそのメリット

ブレンデッドラーニングでは、研修およびその事前事後課題だけでなく、受講生自身による現場実践・自己学習をどう導くかを重視しています。受講生が一人で現場実践することは困難なため、チャットやオンライン会議など受講生同士および現場の上司とのコミュニケーションを活性化させ、組織一丸となって学習する土壌を築くことがポイントです。

オンラインを前提に、様々な手法を組み合わせ、研修での学びと現場実践・自己学習を結びつけるブレンデッドラーニング。研修・現場実践の記録がすべてオンラインで定量データ化されたことで、業績だけでなく、人物・潜在性も含めた評価・合意形成がとりやすくなりました。また選抜基準と育成プログラムを一気通貫で設計することで、次世代マネジャーの成長と課題点が評価しやすくなり、育成期間が大きく短縮されたこともメリットです。

まとめ:マネジャーとしての”あり方”に焦点を当てる実践学習

マインドセットからの次世代マネジャー育成が重要と理解しつつも、知識・スキル等の「やり方」に偏りがちになります。しかし、土台となるマインドセットがなければどんなスキルも形骸化します。考え方・あり方を可視化・評価し、マインドセットも含めた育成が求められます。

オンラインが中心となった研修環境において、「オンラインではマインドセットまでできない」ではなく、むしろブレンデッドラーニングを採用することでリアルな定量的・定性的データで評価でき、成果・課題点が明らかになり成長のサイクルを早めることができます。

次世代マネジャーの選抜基準を設計し、現場実践・評価をデータ化することで、考え方・あり方の成長を可視化する人材育成を作っていきませんか。

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