2023.09.25

管理職向けハラスメント研修の間違いない選び方&必須3要素

「管理職にハラスメント研修を受けさせたいが、どんなものがあるのだろう?」
「そもそも、ハラスメントって、研修でどうにかなるもの?」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
実際に、ハラスメント防止策は、ハラスメント傾向のある社員自身にはその自覚がないケースが多いため、非常に対処・予防の難しいテーマです。
しかし、今回ご紹介する「必須3要素」を取り入れた研修を実施すれば、貴社の管理職の行動が変わります。
実際に、参加した管理職の受講生からは、
「普段出来ていると自負しているが、この考えがもしかするとハラスメントの原因を自分が作っているかもしれない」といった、学習内容を自身の行動と強く紐づけた学びの声があがっています。

本記事では、これまで382社をご支援してきた研修会社が、管理職向けハラスメント研修に実際に取り入れている必須3要素を、実際のプログラム例も交えてお伝えします。
この記事を読み終わる頃には、ハラスメント研修への本質的な理解が深まり、管理職にどんな研修を受けさせればいいか明快になっているでしょう。「どんなハラスメント研修なら効果があるの?」にもう悩ませません。

石橋 真
監修者
石橋 真
略歴
リ・カレント株式会社 代表取締役社長

監修者詳細

1.ハラスメント”予備軍”管理職を根本から変える研修・必須3要素

 

ハラスメント“予備軍”な管理職を根本から変えるためには、研修に次の3要素「痛みを与える」「”自分だけは大丈夫”を壊す」「自分で決めさせる」を必ず取り入れた上で、座学形式だけでなくワーク手法でインプットしてくれる研修会社を選びましょう。

次の章から、それぞれの要素がなぜ欠かせないか、実際のプログラム例や受講生の声を交えて詳しく解説していきます。

2.必須要素①ハラスメント認識の甘い管理職に「痛みを与える」

ハラスメント研修に含むべき3つの要素のうち、全ての土台になる最重要ポイントは「痛みを与える」ことです。

なぜなら、多くの管理職は、ハラスメントについてあまり危機感はありません。法改正などの外部環境変化を何となく知っている方も、「自社にもし起こったら」「自分がしてしまったら」何が起こるのか、具体的に想像できていない方がほとんどです。

そのような状態のまま学習を進め、ハラスメント防止の実践計画を立てても、上滑りした現実感のないものになってしまい、学習の効果が得られません。

「痛みを与える」設計の一例として、私たちリ・カレントの研修には2023年現在公になっている実際の事件の学習が組み込まれています。

ハラスメントの実態と、それが社会的に明らかになった際に、企業や責任者にどのような影響が及んだか、複数の実例をお伝えします。

管理職受講生の受容の様子を丁寧に確認しつつ、時にオブラートに包まず実態の生々しさもお伝えすることで、ハラスメントへの危機感を「他人事」から「自分ごとのように痛みを伴う」レベルまで引き上げていきます。

学習を通じた受講生の変化①IT企業・40代部長職Tさん
受講生Tさんは、もともと研修事前アンケートで「一日業務を止めてまで集合研修で実施しなければならない内容なのか」とハラスメント研修実施の意義を疑っていました。
しかし、この「痛みを与える」パートにおいて、ハラスメントが深刻化していった過程やそれにより人生を大きく変えられてしまった被害者・関係者のエピソードを講師が語るうち、徐々に前のめりになり、自社ではどうか・防ぐためにはどうすればいいかといったディスカッションで具体的に意見を出すようになりました。

「痛みを与える」研修設計について詳しくはこちらから

3.必須要素②無自覚ハラスメント気味管理職の「”自分だけは大丈夫”を破壊する」

ハラスメント研修に含むべき3つの要素のうち、管理職の日々の行動を変えるために重要なのが「”自分だけは大丈夫”を破壊する」です。

ハラスメントのリスクに適切な危機感を持つことができても、多くの管理職は「自分がハラスメントを行ってしまう」「自分が加害者になる」可能性について考えることができません。これは、管理職としての能力に関係なく、全ての人が陥る正常化バイアスによるものです。

「自分だけは大丈夫」という前提を引いてしまったまま学習や実践を進めても、他人ごとで人事や上長に一方的に変化を求めてしまうなど、効果が十分に表れません。

「”自分だけは大丈夫”を破壊する」要素として、リ・カレントでは動画学習や実践的なワークを豊富に取り入れています。

詳しくは5章でもお伝えしますが、ハラスメントの怖さ」がリアルかつ「身近に」伝わる動画教材での学習や、実際の現場で行われているコミュニケーションの棚卸しを起点に行うリアルワークなどを通して、「他人事・どこか遠く」から「自分・明日・現場」に危機感を引き寄せていきます。

学習を通じた受講生の変化②電子部品製造業・50代部長補佐Mさん
受講生Mさんはハラスメントのリスクについてある程度前提知識は持っていましたが、研修前半のディスカッションでは「知識としては知っている内容で、目新しさはない」といった発言も目立ち、自身や自部署などを振り返っていませんでした。
動画学習をはじめ、「”自分だけは”大丈夫」なバイアスを揺り動かす内容の研修受講後のアンケートでは、
「自分の表現により相手がどのように感じてしまうかを予想してコミュニケーションを取りたいと思った」
といった、「自分」主語での行動変容に目を向け始めている様子が見られました。

▶詳しいプログラム資料はこちらから

4.必須要素③ためになったで終わらせない!「自分で決めさせる」

ハラスメント研修に含むべき3つの要素のうち、全ての仕上げになるポイントは「自分で決めさせる」ことです。

リスクを認識し、自分だけは大丈夫というバイアスを排すことができた管理職の受講生は、その時点では強い恐れや危機感を持ってハラスメントについて考えることができていますが、こうした危機感は「喉元過ぎれば熱さを忘れる」になってしまいがちです。

「考える・感じる」で受講生の学びを終わらせず、「どう行動するか」の決定と実行に接続することが非常に重要です。

また、ハーバード大学エレン・J・ランガー氏の実験により、人間は「自身で物事を選択した場合、そうでない場合よりも、はるかに強くコミットメントを見せる」ことがわかっています。その数値は、他者が設定した場合と比較すると実に5倍です。

5倍以上のコミットメント​~エレン・J・ランガー(ハーバード大教授)の実験結果

「自分で決めさせる」研修設計として、リ・カレントの研修では研修内の学習項目がひとつごとに「自分は明日からどう行動するか」を策定していただいています。参加者同士のディスカッションや、全体に向けての発表など、言語化・具体化支援の設計を組み込み、また行動目標が具体的で実行可能なものになっているかどうか、講師からアドバイスの関わりを持たせていただくことも多くあります。

学習を通じた受講生の変化③食品企業・50代部長職Tさん
Tさんの受講姿勢は熱心で、ディスカッションにも積極的に参加していました。しかし、学習項目それぞれについての行動目標は「しっかりと考える」「自分自身にそうした(加害的な)言動がないか一層注意する」…など、やや具体性に欠け、そのままでは実行できたかどうかの検証が難しいような行動目標を立ててしまっていました。
講師からのアドバイスや、グループワークでの意見交換を通じ、「自分が部下の『話を聞く』ことを目的とした面談を月一回必ず実施する」といった、非常に具体的かつ自己決定感のある目標へのブラッシュアップが見られました。

「自分で決めさせる」研修設計について詳しくはこちらから

5.必須設計:ハラスメント管理職を変える研修はワーク形式がマスト

ハラスメント”予備軍”管理職を研修で変えるためには、3要素「痛みを与える」「”自分だけは大丈夫”を壊す」「自分で決めさせる」を必ず取り入れた上で、座学に加えてワーク形式を多く取り入れて設計できる研修会社を選びましょう。

なぜなら、第4章「自分で決めさせる」でも触れたように、講師から一方的にインプットされる形式では、その場での「なんとなくわかった」感に留まり、受講生自身が「体得」する学びにはなりにくいからです。

ハラスメント予防というテーマでは、例えば実際の部下とのやり取りをロールプレイングしたり、日々の業務での部下とのやり取りを記録してきていただき、その様子についてグループで改善を行うなどのワークが有効です。

下記は、実際にご支援したハラスメント研修において、受講生の方にご提出いただいたメンバーとのコミュニケーション分布です。

図① 課長補佐Mさんのコミュニケーション分布

図② 課長補佐Kさんのコミュニケーション分布

リ・カレントの研修内では、このように受講生自身の現場コミュニケーションを可視化し、受講生同士での比較を行うことで、実務に根差す「ハッとした」気づきの獲得を促します。上記の事例では実際に「自分のコミュニケーションは“気持ち”のオレンジがとても少ない」「Kさんのように緑やオレンジが多いほうが、仕事の話もしやすい」などの発言が見られました。

学習を通じた受講生の変化④IT企業・40代課長補佐Mさん
図①をご提出くださったMさんは
「部下を人として尊重する以前に、使えるか使えないかで見ていたかも」と印象的な発言をされていました。
ご自身の研修後の行動目標として、「部下と仲の良いナナメの関係の先輩に相談する」と非常に具体的なアクションを設定されるなど、「現場での行動を変えたい」という決意が感じられました。

▶ワーク形式でのハラスメント研修について詳しくはこちらから

まとめ:

この記事では、管理職向けハラスメント研修を実施する際に必須となる三要素「痛みを与える」「”自分だけは大丈夫”を破壊する」「自分で決めさせる」、及び、それらの効果を最大化するため必須となるワーク設計について解説しました。
これらの要素・設計を導入することで、ハラスメントについて「他人事・他所事」の管理職の”行動”が変わります。

必須要素・必須設計のポイントは次のようになっています。

■「痛みを与える」:

■「”自分だけは大丈夫”を破壊する」:

■「自分で決めさせる」

これら3要素の学習をその場での「なんとなくわかった」感に留めず、
受講生自身が「体得」し現場での行動実践に活かすため、ワーク形式のインプット・アウトプットを必ず行わせましょう。

ハラスメント研修を通し、管理職が正しい知識と「自社ごと・自部署ごと・自分ごと」な危機感を持つことができれば、彼らの現場での行動が変わっていきます。
管理職としてのパフォーマンスが向上するのみならず、組織全体の風通しが良くなり、大きなエンゲージメント向上効果が見込めます。

貴社管理職の本質的なハラスメント予防力を育む研修施策設計のポイントをぜひご活用ください。

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