人生100年時代の“ 航海図 ”を描く! 50代から考える「トリプル・キャリア」【第4回】トリプル・キャリアで、定年後も稼ぐための「コミュニケーション術」<その2>
- 監修者
- 大杉 潤(合同会社ノマド&ブランディング/リ・カレント プロフェッショナルパートナー)
『定年後不安: 人生100年時代の生き方』(角川新書)の著者であり50代キャリアの専門家、
大杉 潤講師による連載コラム!
50代社員が定年後を見据えつつ、モチベーション高く会社に貢献するための「トリプル・キャリア」の考え方を伝授します。
トリプル・キャリアで、定年後も稼ぐための「コミュニケーション術」<その2>
前回は、人生100年時代に、「トリプル・キャリア」という人生設計を立てて、長く働き続けるために必要な「戦略的に準備すべき4つのスキル」の2番目として、「コミュニケーション術」について説明してきました。
定年後の「孤独」の不安を解決するためには、第1の場所である家庭、第2の場所である職場とは別の第3の場所(サードプレイス)と呼べるコミュニティーを持つことの重要性を説明し、そのための「コミュニケーション術」について述べました。
コミュニケーション術の基本は、人の話をよく聴く「傾聴力」と、的確な質問をして話を深める「質問力」、そして相手のタイプに合わせて分かりやすく話す「伝える力」の3つです。その「伝える力」のポイントとして、4つのタイプを理解することが必要でした。
それは、「自分の感情を表に出す / 出さない」と、「自己主張が強い / 弱い」という2つの軸で4つのタイプに分類する方法を活用することです。
戦略的に準備すべき4つのスキル その2「コミュニケーション術」<その2>
さて今回も、定年後も稼ぎ続けるために「戦略的に準備すべき4つのスキル」のその2として、コミュニケーション術の続き<その2>について述べてみます。
まず、コーチングなどでよく使われる「4つのタイプ」は以下のようになります。
(株式会社コーチ・エィ・鈴木義幸著『熱いビジネスチームをつくる4つのタイプ コーチングから生まれた』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より)
- コントローラー(感情表出低い / 自己主張強い)
- アナライザー(感情表出低い / 自己主張弱い)
- プロモーター(感情表出高い / 自己主張強い)
- サポーター(感情表出高い / 自己主張弱い)
では、上記のタイプの組み合わせによって、コミュニケーションの取り方はどのように違ってくるのでしょうか?
まず、コントローラーの人は、いわゆるリーダータイプの人に多く、経営者か多くの部下を抱える組織の管理職に多いタイプです。物事の考え方は論理的で、沈着冷静。一見すると怖そうに感じ、自己主張も強くはっきりとしています。
部下も同じタイプであれば、あまり問題は起きませんが、例えば部下がサポーターの場合は、コントローラーは冷たいと感じ、話しにくいでしょう。
逆に、上司から見ると、サポーターは自己主張がなく、頼りなく見えてしまって評価が低くなりがちです。つい、指示や叱責の仕方も厳しくなり、コミュニケーションがスムースに行かないケースが多いのです。
ところが、お互いに相手のことが、自分とは全く違うタイプだと冷静に受け止めることが出来れば、余計なストレスはなくなります。
そして、コミュニケーションの取り方も、相手のタイプに合わせて柔軟に変えていくことでスムースに理解し合えるようになるでしょう。
これは、他のタイプ同士にも言えることで、今、取り上げたコントローラーとサポーターの組み合わせと、もう一つ、アナライザーとプロモーターの組み合わせが、最も相互の性格や表現法の特徴にギャップがあり、相互に分かりあうことが難しいと言われています。
アナライザーは、データ重視の慎重家で、感情は表に出ないし、あまり自己主張もしません。客観的な事実を淡々と述べる対応です。
それに対して、プロモーターは、情熱家のアイデアマンで、どんどん新しくて面白い提案を感情豊かに出してきます。その提案に対して、アナライザーはあまり同調せずに、冷静に客観的に、評論家のようにチェックして問題点を指摘するので、なかなかコミュニケーションがうまくいきません。
このように、タイプが正反対の組み合わせがとくに難しいのです。但し、あらかじめタイプの違いがあることを認識し、それを踏まえて「伝える」ということを心がければ、思った以上にコミュニケーションは改善します。
ですから、例えばあなたが新たなコミュニティーの中で、人間関係をつくっていきたい、という場合には、このタイプの違いをしっかりと理解して「伝える」ことが大切でしょう。
「コミュニティーの連鎖」が起きる人の特徴とは
それからもう一つ、コミュニティーの中で人間関係がどんどん広がり、いわゆる「コミュニティーの連鎖」が起きる人の特徴を挙げておきます。
それは、相手の話をよく聴く「傾聴」ができて、さらに「質問力」を駆使して話を深め、さらに相手に「貢献する」ことはないかを、伝えることです。
伝える内容は、自分のPRや詳しい自己紹介ではなく、むしろ相手を主役にして、自分は相手にどんな貢献ができるのかを伝えるのです。
例えば、相手が困っている課題の解決に役立つ友人を紹介するとか、自分で何かお手伝いできることを提案するなどです。
私の場合は、毎日1冊ビジネス書を読んで、その書評をブログに書いて公開していますので、例えば本を出版した著者の方なら、その本の紹介をブログの書評という形で行い、多くの方々にSNSなどを活用して拡散することができます。
この「貢献」が人間関係をつくっていくには最も効果的で、長く続くことになるでしょう。
あなたもぜひ、コミュニケーション力を発揮して、どんどんコミュニティーを拡げていってください。きっと、定年後の「孤独」とは無縁のライフスタイルになるはずです。
では次回は、「戦略的に準備すべき4つのスキル」のその3として、「情報リテラシー」についてお話ししていくことにしましょう。