アマゾン奥村様

コロナショックも想定内! Amazon流、VUCA時代のイノベーティブ人材の育成手法と自分をリードするこれからのキャリアのあり方とは

2020.06.26

Withコロナ・Afterコロナという、より不確実な時代に突入し、企業の在り方も個人の在り方も大きく変革せざるを得ない状況になってきました。
そのような時代のなかで、個人として企業人として自己成長と組織貢献を果たしていく人材になるには、どんな要素が必要なのでしょうか。

今回は、リ・カレントグループ主催のHRラーニングイベント『なんじゃ祭』(2020年5月27日~29日開催)で行われた、アマゾンジャパン合同会社・奥村氏のセミナーレポートをお送りします。

「Amazon流、VUCA時代のイノベーティブ人材と自分をリードするこれからのキャリアのあり方とは」の講演資料はこちらよりダウンロードいただけます。

■登壇者プロフィール
奥村 倫也 氏
アマゾンジャパン合同会社 人材開発部 リーダーシッププログラムマネージャー

米国大学卒業後、国際教育支援の事業開発、新規事業立ち上げに従事。
その後、再渡米し、ニューヨークに拠点を構える人材サービス企業へ入社。
多国籍メンバーから成る部門を率いて、グローバル教育支援の新規事業の立ち上げ、アジア・中南米における国際マーケティングに従事。
帰国後は、グローバル社会に向けた人材育成、教育研修、キャリア開発支援などに取り組む。
現在はアマゾンジャパンにてリーダーシップ開発と育成支援に従事。

米国CTI認定プロフェッショナル・コーチ
最近のハマりごとは、健康な体づくり、筋トレ&ボディメイキング

■モデレーター
森 強士
リ・カレント株式会社 人材組織開発プロデュース部 事業部長

・日本大学大学院 農学研究科卒
・国内食品メーカーの人事にて新入社員の採用および育成(研修)、開発にて自社製品のマーケティング・販促に従事。
研究所にて成人病予防研究(特許申請・論文投稿)、営業部門にてコンシューマー向け製品および業務用製品の販売、
新工場建設のプロジェクトに従事。
・アルー株式会社にて、法人営業機能を担うHRコンサルティング部のマネジメントに従事。
自社営業部門のマネジメント活動のかたわら企業のコンサルティングおよび研修の講師も務める

VUCA時代、アフターコロナで求められる人材とは

いま、私たちはVUCA時代(予測不可能な変化の時代)に直面しています。

新型コロナウィルスの影響によるリモートワークや休業など、よもや自分がそのような状況になるとは、と思った人もいるのではないでしょうか。
このように起こった働き方の変化は、VUCA時代における変化の一つだと言えます。
アマゾン奥村氏講演 VUCAの時代

コロナ禍において、不透明・不確実とはこういうことだと実感しキャリアを自ら描く必要性があるとに一人一人がまさに直面していることでしょう。

N.Y在住時に9.11やリーマンショックを体験した奥村氏によれば、予想もしていないことがおき想像がつかない、何が全体で起きているか予測不能で全体把握できないというのは今回と似ている感覚のようです。

そのとき奥村氏は、自身のキャリアについては「長期的な目線で見て、そこにたどり着く方法や術が変わったとしても、どちらに向かっていくか、大きな方向性はぶれないようにしたい」と考えていたと言います。

不透明・不確実な状況に置かれると、人間は誰しもつい目先の1年後2年後のことを考えてしまいます。

しかし、予測不可能な変化のVUCA時代の現在、短期的な視点に立っていると目の前に起こることに右往左往してしまい、自身が進む方向を見失うことになります。一方で、キャリア形成においては長期的な視点を持ち、自分はどこへ向かっていくのか、自分を損ねない自分らしさを保持し、自己実現を図るためには、自分にとって本当に大切なことは何か、といったことへ意識を向け、自身の「内なるリーダー」にアクセスすることで「ブレない自分軸」を認識することが大切になります。

自分をリードするキャリア形成のあり方とは

VUCAの時代が実際に訪れ社会構造が変化している現在は、組織依存のみのキャリア開発はもはや機能しない時代と言えるでしょう。

「これまでは、組織主導の人材づくりにおいて『完成形』が明確であり、社会構造的にも分かりやすい時代がありました。
今後は、グローバル化やコロナ禍などでVUCA時代に突入しており、変化の激しい社会構造において完成形が不明確で多様になるでしょう。組織依存のみのキャリア形成はもはや機能しない時代となり、より一層、キャリア形成の個別化が進む中、個人個人の価値基準に沿った心理的な成功を目指す、「自律型」のキャリア開発が必要になります
と奥村氏は言います。
なんじゃ祭奥村氏講演資料 キャリア形成

あらゆることが予測不可能なVUCAの時代においては、あるべき姿を定義するのがそもそも難しいという側面もあります。

例えば、これからの若手人材とされるZ世代(1995年以降生まれの世代)の傾向として、以下のような点が挙げられます。

Z世代の傾向
・キャリアを「個別化」して考える
・個を重視する
・自分らしさをより追及する
・「働く意義」が以前と変わってきている
・多様化をより受け入れる
・SNSなどで発信して「つながり」を求める
・個の確立と共に、互いの違いに対して、協調性を意識する

この若手人材の傾向からも見て取れるように、キャリアの開発においても個人を尊重する自律型のキャリア開発は企業にとっても取り入れやすいのではないでしょうか。また、個人が互いの尊重と共に、「繋がりや協調性」に重きを置いている点においても、インクルーシブな人材の素地が高いと捉えることもできるでしょう。

アマゾンにおけるキャリア形成のベースとなる2つの大事な考え

キャリアという観点において。「アマゾンでは次の2つの考えが重要になる」と奥村氏は言います。
なんじゃ祭奥村氏講演資料_アマゾンキャリア形成

Have BACKBONE, LEAD the Self(ブレない自分軸)

自分の軸になっているものである、「ブレない軸」を持って自ら考え、発信し、行動をする。自分らしさを損ねない個人が持つ自分の軸を持つ。

Own Your Development(自律したキャリア形成)

キャリア形成のオーナーは会社ではなく、個人にある。自律したキャリア形成・自分の目指すありたい姿を実現するために、会社や組織のリソースを活用する。

つまり、キャリアを考えるうえで、会社のなかで何ができるかを考えるのではなく、まず自分がありたい状態を描き、そこに向かっていく過程でいまの自分が属している組織や仕事が自身の目指すあり方と合致しているかを考えるということです。

アマゾンにおけるキャリア形成のあり方「Backwards Visioning」

アマゾンではキャリアについて、まず自分が「どうありたいか」と、自らのあり方(Being)に想像をめぐらし、そこからいまの自分として起こす行動(Doing)を考えることを大切にしていると奥村氏は語ります。
なんじゃ祭奥村氏講演資料_バックワーズビジョニング

アマゾンではまず「カスタマーを起点」として、お客様の顧客体験を想像し、そこから遡ることでアマゾンに属する個人は「いま何をすべきか」を考えています。(アマゾン行動指針の一つ:Customer Obessesionにも示されている通り)
個人のキャリア形成においても、お客様を「将来の自分」に置き換えて、同じようにそこから遡っていま何をなすべきかを考えるということです。

キャリアについてBackwards(Being→Doing、あり方を起点にやり方をとらえる)で考えるということは、「将来の自分がどうありたいか」を常に先に考え、その時、自分はどんな人たちに囲まれ、どんな経験をしているかを想像するということです。何をしたいかという[Doing]を先に考えるのではなく、どうありたいか[Being]をまず考えて、そこから「Backwards」をし、いま自分は何をするかを考えていくということでもあります。

アマゾンではさらに、キャリアについて考えるとき、「『個人の目的』と『会社の目的』を統合させることを重要視している」と奥村氏は言います。

「自分の仕事は会社の目的(Organization Goal)のためであり、その業務ひとつひとつについて意味づけがあり、意味づけのつながりの先には個人の目的(Personal Goal)がある。この2つを融合することで会社に属する理由が明確となり、結果的に会社や仕事へのコミットメントが高まることになります」(奥村氏)

アマゾンにおけるイノベーティブ人材とは? アマゾンがダイバーシティ&インクルージョンの先に描くもの

現在、さまざまな企業で「これからの変化の時代、イノベーションを起こさなければいけない」「イノベーション人材を育成することが急務だ」と言われています。アマゾンは数ある企業のなかでもイノベーティブな風土が整っているように見えます。では、アマゾンではどのようにイノベーティブ人材を作り出しているのでしょうか。

アマゾンでは、イノベーティブ人材について考えるとき、まず「大前提として私たちはそもそもさまざまな違いのなかで生きている(ダイバーシティ)という認識が必要である」と、奥村氏は述べます。
なんじゃ祭奥村氏講演資料_ダイバーシティ

ただし、ダイバーシティ(違いを認めている)だけではなく、インクルージョン(その違いを活用する)も大事にしなければならないと、奥村氏は指摘します。
もちろん、雇用機会の公平さ・均等さを目指す「法令順守のため」や、より効率的な労働力を目指す「生産性向上のため」にダイバーシティを推進するという側面もあります。しかし、そもそもダイバーシティとインクルージョンしていくことの本質的な目的をどこに置いているのかを、捉えることが大切になります。

インクルージョンを推進し、個々の違いを活用することで、企業として本当は何を求めているのか。その先に、どんな世界を描いているのか。

アマゾンではダイバーシティ&インクルージョンの先に、「お客様の豊かな経験」を想像し『社会に対する新しい価値の提供』を目指しています。そのために「ビジネスや組織にイノベーションを起こす」ことが組織としてインクルージョンを推進していく目的と捉えているのです。

組織の目的(Organizational Goal)だけを考えると、「ビジネスにイノベーションを起こすこと」ですが、イノベーションを起こすのは、やはり「人材」です。
ビジネスでイノベーションを起こすことを、目的を達成するひとつのプロセス(手段)と捉え、イノベーションを起こす過程で、最終的には社員一人ひとりが、何を本当は成し遂げたいのか、自分はどうありたいのか、といった個人の目的(Personal Goal)が明瞭になっていることが大切です。

組織としての目的実現に留まることなく、その先の個人としての自己実現を見据えた取り組みが、結果的に組織や仕事に対する高いコミットメントを生み出すと奥村氏は指摘します。

「自分にイノベーションを起こすことなく、ビジネスにイノベーションを起こすことはできません。ビジネスや組織が『一人ずつの個』によって成り立つと考えたとき、自分のあり方に常に向き合う姿勢が大切になってきます」(奥村氏)

自己変革の入り口は、自らを想像すること

自己変革の第一歩は、自身の適応課題を見い出すことからです。
なんじゃ祭奥村氏講演資料_イノベーション

変革を起こそうとする時、私たちの多くは、新たな手法や知識を用いて、今までとは違うやり方に変える、ことを考えます。こうした技術的に解決できる事柄(Technical Problem)とは別に、もう1つの要素となる適応の課題(Adaptive Challenge)を捉えることが大切です。

適応の課題とは、どんなに知識やスキル、手法を変えたとしても、決して乗り越えることができない壁、外的な技術では解決できない事柄を指します。
つまり、自分自身のなかにある「何か」を変えたり、適応させない限り、決して乗り越えられないもの、解決できないことです。

「やり方(Doing)を変えるのではなく、あり方(Being)を変え、自らを適応させることです。自分自身の固執した視点や考え方、価値観、捉われは何だろうか、それによりどんな自分を守ろうとしているのだろうか、そうしたこうあるべき、あって欲しいから自らを解放したとき、自分にはどんな新たな可能性が切り拓けるだろうか。その解放のために、自分はどんなことに向き合い続ける必要があるだろうか。まさに自分自身のあり方を新たな視点に立たせるための適応の課題ということになります」(奥村氏)

キャリア開発は自分のなかのあり方を変えて自分の世界を持つことから

キャリア開発には、持論や世界観を養うことが重要だ、と奥村氏は言います。

「自分が正しいと思っていることをまずやってみて、自分の世界を持ってみる。正解を探すと難しいけれど、それが自分の価値観に紐づいている。自己認知を深めることにつながっている」(奥村氏)

アマゾンが考える、自分をリードする、これからのキャリアのあり方について。最後に奥村氏はこう締めくくりました。

「適応していくことを受け入れ、ありたい姿へと自己へ導くこと。やり方の適応は日本人は得意でしょう。『あり方(Being)』への適応は難しいと思います。しかし、ありたい姿に向き合うにはいまの先が見えない時代は良いタイミングです。自身の存在意義やBeingを意識することで、普段の仕事へのコミットも高くなるのではないでしょうか」(奥村氏)

「Amazon流、VUCA時代のイノベーティブ人材と自分をリードするこれからのキャリアのあり方とは」の講演資料はこちらよりダウンロードいただけます。

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